真木 蔵人 -男の肖像時計の選択(パワーウオッチVol.27-2)

ニクソンでは初となる自動巻きモデルを愛用。腕時計はアナログのタイプを好んで使うとのこと。デジタルは「この世に存在しないもの。物質じゃないから」という理由で嫌っているそうだ

 

「俺はサーフィンの中で生きてるんですよ。波を待っている途中で都会に出てきたり、仕事をする」

サーフィンと海をこよなく愛し、海外の大会でも好成績を残している真木蔵人さんは、まさに波の上に生きている。その腕に巻かれているのは、ニクソンの自動巻きモデル。腕時計もサーフィンとの繋がりが深いものだ。

「ニクソンはモダンデザインとサーフィンを繋げたブランドで、波乗り、横ノリを必要とする人種には伝わるものがあるんですよ。サーファーのいい加減な部分とちょっとコアな部分がいい感じでバランスが取れていてね。デザイナーもスケーターなんでそのまま街に出てもおかしくないし」


その時計を着けて初めて学校に行ったら、同じタイプで色違いを着けているヤツがいて、
『ああ、こいつもサーファーなんだな』と共感を覚えたりしましたね。

初めて真剣に選んで買った腕時計も、フリースタイルというサーフブランドだった。「その時計を着けて初めて学校に行ったら、同じタイプで色違いを着けているヤツがいて、『ああ、こいつもサーファーなんだな』と共感を覚えたりしましたね」と、懐かしそうに思い出を語る。

真木さんにはサーフィンとは別に腕時計に対する深い思い入れがある。それは父や祖父と過ごした幼い頃の記憶に刻まれたものだ。

「俺には父や祖父の革のバンドの時計が机の上にある記憶が強烈に残ってるんです。普段からロケに出たりしていた人たちだったから、時計が家においてあったりすると、『ああ、親父がいるんだ。帰ってきてるんだ』と感じれるものでしたね。この時計も機械式だからゼンマイを巻くじゃないですか。その作業に父や祖父の面影を思い出したりしますね」


腕時計は失くされるというのがひとつのルールだと思いますから。
どこかで失くしてショックを受けるのは、俺の手元にこの時計が来た時点で付いてくるルール。

祖父の革ベルトの時計は父であるマイク真木さんに形見の品として受け継がれた。家族の記憶は1本の腕時計で紡がれていく。真木さんも、「いつか俺のところに来ちゃうかも。でも、それは寂しくなるときかな」と複雑な気持ちで、自分の腕に革ベルトの時計が巻かれる日を思い浮かべている。

しかし、そんなエピソードとは裏腹に、真木さん自身は自分の時計への執着心が意外と薄い。

「腕時計は失くされるというのがひとつのルールだと思いますから。どこかで失くしてショックを受けるのは、俺の手元にこの時計が来た時点で付いてくるルール。飲んでどこかに置いてきたりして、取りに行くのか行かないのか、届けられるか届けられないか、そういう出会いや運命が付いてくるんですよ。だから失くしてある程度ショックは受けるけど、本気で落ち込まないくらいのギリギリの感覚で持てる時計が自分には丁度いいかもしれないですね」

とはいえ、時計は真木さんのなかで大きなウェイトを占める存在である。サーフィンをしているときには、「太陽と俺と時計の三角関係を感じることがある」という。家族や自然、そしてサーフィンといった、自分と大切なものを繋ぐ絆。真木さんにとってはそれが腕時計なのだろう。

 

真木 蔵人俳優)
CLAUDE MAKI 1972年生まれ。東京都出身。1987年にNHK大河ドラマ『武田信玄』で俳優デビュー。武田信玄の少年期を演じる。その後、北野武監督作品『あの夏、いちばん静かな海』『BROTHER』などに出演する一方、サーファーとしても活躍。海外の大会に出場するほか、サーフィン関連のビデオの監修も手がけている。また、「AKTION」という名前でアーティストとしても活動する。

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