笹野 高史 -男の肖像時計の選択(パワーウオッチVol.39)

左から時計回りにロレックス バブルバック、カシオ プロトレック、フィリップ・スタルク。アンティークから新鋭モデルまで、その趣味は幅広い

 

出演シーンは短くても、スクリーンに絶大なインパクトを残す笹野高史さん。出演作が多いだけにそのスケジュールは忙しく、時計は絶対に欠かせない道具だ。デジタル時計はずっと使ってなかったそうだが、実際使ってみると意外に便利なことに気づき、最近はカシオのプロトレックを愛用している。

「最近のデジタル時計って軽いでしょ。とにかく重いのがイヤなんです。家が八王子なんですけど、都心から家に帰るとどんどん寒くなるんですよ。それで家の標高が気になってプロトレックを買ってみた(笑)。高度だけでなく、方位、気温、気圧なども測れるので、ロケに行くたびに、そこの標高や方位を測って遊んでます」

ほかにも取材時には数本持参していただいた。モダンなフィリップ・スタルクから、半世紀は優に経過しているロレックスのバブルバックまで、そのコレクションは笹野さんの役柄のように多彩だ。

都心から家に帰るとどんどん寒くなるんですよ。
それで家の標高が気になってプロトレックを買ってみた(笑)

「今年は(中村)勘三郎さんの芝居でニューヨーク公演があるし、海外での仕事が意外に多いんです。以前はアナログのGMTウオッチも使っていたんですけど、あれって意外に見にくいんですよね。ぼくは意外にインターネットで物を買ったりするのが好きで、このフィリップ・スタルクもネット通販で見つけました。ボタンを押すだけで簡単に日本時間が表示できるんで、現地から電話かけるときなんか便利ですね。表示も大きくて軽いし、そんなに高くないのもいい(笑)。こっちのロレックスは香港で買いました。夜店みたいなところで売ってたんだけど、気に入っちゃってね。毎晩見に行って、最終日に思い切って買っちゃったんですよ。夜店のおやじも少しだけまけてくれた。ニセモノだったらどうしようかと思ってたけど、日本でロレックスに持ち込んでみたらちゃんと本物だって言ってくれてほっとしました」

意識はしてなかったけど、これだけ持っているってことは時計が好きなんでしょうね。
機会が凝縮されている感じに惹かれるのかな---

高価な時計は持っていないと謙遜するが、コレクションには独特の美意識が感じられる。

「意識はしてなかったけど、これだけ持っているってことは時計が好きなんでしょうね。機械が凝縮されている感じに惹かれるのかな。子供の頃から機械ものは好きで、例に漏れずラジオなんかを分解してはまた組み立てる、なんてこともしました。時計もそうやって壊したのが何個か引き出しに入ってますね。最近も気になって携帯電話なんかばらしてみたことがある。ネジが特殊で専用のドライバーが必要なんだけど、それもちゃんとネット通販で手に入れました(笑)」

どうやら好奇心は相当に強いご様子。その強烈な好奇心はおそらく時計や機械だけでなく、生身の人間に対しても向けられているのだと思われる。さまざまな役柄を細かく演じ分けていくあのセンスは、人間に対する卓越した観察眼が生み出しているのだろう。

 

笹野 高史俳優)
TAKASHI SASANO 1948年6月22日、兵庫県生まれ。日大在学中に自由劇場に入団し、1972年に初舞台を踏む。山田洋次監督『男はつらいよ』シリーズの常連出演者であったほか、独特の存在感が評価されて、数多くの映画やテレビドラマでバイプレーヤーとして活躍。2007年には日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞している。近作では映画『母べえ』『歓喜の歌』『カンフーくん』などに出演。

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