毒蝮 三太夫 -男の肖像時計の選択(パワーウオッチVol.57)

【上写真】「丈夫で見やすい」と愛用のロレックスはスイスで自ら購入。右は「大沢悠里のゆうゆうワイド」の放送番組記念の品【下写真】「MAM」の文字入り時計(左)や、巨人軍の日本一記念品(中)から、ホワイトゴールドにダイヤをちりばめたオーデマ ピゲ(右)までファンからの贈り物もいろいろ。毒蝮さんにとってはどれも「差異性」を感じさせる大切な品だ

 

「男にとって時計ってのは、最小限のアクセサリー兼実用品だよね。オレなんて飾らないほうだから、目立つものや何百万円もするようなものを着ける気はないんだよ。ただ人に見られる商売だから、あんまりチャチなものや、みんなと同じ時計ってわけにはいかないよな」

そもそも流行を追いかけるようなタイプではない。携帯電話は持ち歩かないし、家にはパソコンはおろかファックスも留守電もない。しかし、流行でも金額でもない独自の価値基準が、毒蝮さんにはあるのだ。

「言葉にすると『差異性』ってことなんだよ。同じ1万円のものでも、人とは違うものを持つ、という点には気をつけてるんだ」

その意識は、時計のコレクションを見ても明らかだ。大沢悠里さんからプレゼントされた番組記念のセイコー。ファンクラブからの贈り物には「MAM」の文字とまむしのイラスト入り。巨人ファンである毒蝮さんにとファンが贈ってくれた優勝記念ウオッチは、長島、王両監督が対戦した年の品。そんな時計の傍らに、結婚記念日に奥様と交換したカルティエや、事業を営むファンから贈られた、無数のダイヤをちりばめたオーデマ ピゲがさりげなく並ぶ。「数千円だろうが数百万円だろうが、見やすく丈夫で、他とは違う何かがある」ならば、毒蝮さんにとってその価値は同じなのだ。

そんな毒蝮さんを、「木綿のよう」と評した学者がいたという。

「木綿は絹と違って大衆的だけど肌触りよく長持ち。そんな中で差異性を求めることが、文化や芸術、平和につながるんだよな。江戸で言えば元禄時代。木綿の日常着の中で他とは違う何かを求めた結果、『伊達男』が生まれ、自由で成熟した文化が生まれたわけだ。ベンツでもロレックスでも、いいものってのは100年変わっていないようでもどこかが変わっているでしょう? 本質を変えず、古いけれど新しいことが大切なんだね」

毒蝮さんも番組では、今風の流行語は一切使わない。しかし「ババア!」「くたばり損ね!」といった毒舌はまさに差異性の最たるもので、現代においても新鮮で刺激的。きっとだからこそ、長く変わらずみんなに愛されるのだ。

 

毒蝮 三太夫タレント
SANDAYU DOKUMAMUSHI 1936年3月31日、東京都生まれ。12歳で舞台「鐘の鳴る丘」にて子役デビューし、高校卒業までに東宝、大映の青春映画に出演。日本大学芸術学部映画学科を卒業後は「ウルトラマン」ほかTVドラマにも多数出演し、俳優として活躍する。1968年、立川談志の助言により、芸名を本名から「毒蝮三太夫」に改名。翌年スタートしたTBSラジオ「ミュージックプレゼント」にパーソナリティーとして出演、以後40年を超える長寿番組としての人気を支えてきた。現在は聖徳大学で客員教授(老人福祉担当)も務める。

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