竜 雷太 -男の肖像時計の選択(パワーウオッチVol.63)

ロレックスのチェリーニ。上品さのなかにも個性を感じる雰囲気ある一本。一生ものの時計に、と購入した思い入れの強い時計だ

 

ベテラン俳優にして今でも第一線で活躍する竜雷太さんにとって、今回持参していただいたロレックスのチェリーニは、非常に特別な思いのある時計だ。

「84年に松本清張さん原作の『黒の回廊』というテレビドラマに出演したんです。ヨーロッパの観光ツアーを題材にしたミステリーで、実際にロケも全編ヨーロッパで行われました。そのロケ地の一部がスイスのバーゼルだったんです。バーゼルに行けるのならぜひ一生ものの時計を買おうと、撮影前から心に決めていました。当時のマネージャーがいい時計店を知っているってことで、現地で連れていってもらったお店で買ったのがこのチェリーニ。当時の自分の年齢からするとちょっと渋い気もしたんですが、今はそう感じてもやがてはこれが似合う年齢になるだろう。この時計と一緒に時を刻んでいけたらいいなって、思い切って買ったわけです。手に入れたときはとても嬉しかったですよ」

そんな大事な時計だが、次のロケ先のオランダでぶつけて、買ってすぐに破損させてしまった。

「ひどく落ち込みましてね。サファイアガラスも割れちゃったから、相当ひどいぶつけ方でした。日本に戻ってからすぐにサービスセンターに持ち込んだんです。担当の方が非常に親切で、『純正ガラスはスイスから取り寄せになります。それまで仮のガラスをはめておいて、届いたらご連絡しましょう』って言ってくれたんです。やがてその純正ガラスが届いたって連絡をもらったんですが、忙しかったのとなんとなく億劫だったのが重なって、結局行かずにいたんですよ。その後何回か連絡をもらったんですがそれっきりになっちゃって、今日まで時間が経ってしまったんです」

仮のガラスをしたままタンスにしまい込まれたチェリーニ。しかし竜さんも忘れていたわけではなく、ずっと心にひっかかっていたという。

「せっかく取り寄せてくれたロレックスの方にも申し訳ないって気持ちがあるし、時計に対してもかわいそうだなって。街中でロレックスの看板を見るたびに思い出したりしてね(笑)。今回の取材をお受けしたのも、これがいい機会になるかなって気持ちがあったんですよ。記事になったら、すぐに雑誌を持ってロレックスのサービスセンターに行きます。事情もお話しして今度こそちゃんと修理してもらいますよ。直ったらちゃんと使いたいと思っています。これを手に入れた若かった頃の気分が取り戻せるような気がするし、やがては自分の息子に受け継いでもらってまた年月を重ねていってほしいですね」

 

竜 雷太俳優)
RAITA RYU 1940年1月21日、大阪府生まれ。66年に日本テレビの学園ドラマ「これが青春だ」に主役として抜擢され、一躍スター俳優に。72年から刑事ドラマの金字塔「太陽にほえろ!」のゴリさん役を10年間務めた。その後もテレビドラマや、映画「釣りバカ日誌」「ケイゾク」「20世紀少年」など多くの作品に出演している。4月7日公開の映画「SPEC~天~」に係長の野々村光太郎役で出演。韓国で活躍しているギタリストの長谷川陽平は実の息子。彼が所属しているバンドが2011年度の韓国大衆音楽賞で四冠を達成した。

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