- chapter1 解説に使われる基本用語
- chapter2 腕時計の基本を知る
- chapter3 機械式時計の仕組みを知る
- chapter4 ショップの特性を知って賢く購入
- chapter5 失敗しない中古モデル購入のチェックポイント
金属製の微細なパーツを精密に組み上げた機械式腕時計のなかでも、手巻き式の腕時計は最も機械の味わい深さを感じることができる機構といえます。文字どおり、人の手で巻いて駆動させるのですが、今回は「リューズで何を巻くの?」「どうして動くの?」という“動力”の観点から手巻き式を解説していきます。まず、「何を巻くの?」という重要なポイントですが、機械式時計の動力源には、細長い金属を曲げて渦巻き状に加工したゼンマイが使用されています。これは、身近なものだと、懐かしのチョロQや古くはブリキの玩具などに使用されているものと同じ動力源です。チョロQは後輪をバックさせるとゼンマイが巻き上がり、手を離すと走り出すという構造ですが、まさに、機械式腕時計は、この仕かけと同じ要領の構造を採用しているのです。手巻き式の腕時計のゼンマイを巻き上げる方法は、外装のケースに突起して備えられたリューズを手で回すことにより行われます。リューズを回すことで、時計内部のムーヴメントに組み込まれたゼンマイが徐々に巻き上げられ動力が蓄えられていくというわけです。ちなみに機械式腕時計の場合は、チョロQなどのように巻き上げたゼンマイが瞬時にほどけて動作を終了させてしまうようでは時計の役割が果たせません。そのため脱進機という機能が備わっており、短いものでも1日半、長いものでは8日間もの時間をかけて、ゆっくりと動力を消費しながら動き続けることができるのです。このゼンマイがほどけるのにかかる時間が、いわゆる腕時計のパワーリザーブということになります。このパワーリザーブという言葉は時計の解説によく出てくる用語ですので覚えておくと良いでしょう。さて、ゼンマイがすぐにほどけないようにする脱進機については、次回以降の「動力の伝達編」で詳しく紹介します。



