
STOWA
ストーヴァ
ストーヴァの新作を携えシャウアー氏が来日
去る6月8日・9日に、ストーヴァを率いるヨルク・シャウアー氏が来日を果たした。
今回の目的は、同ブランドにとって重要なマーケットのひとつである日本での新作披露だ。
その新作とは、「若い人たちにもストーヴァの時計をもっと楽しんでもらいたい」というシャウアー氏の想いから誕生した、定番のフリーガーとアンテアのエントリー版である。
「スチールであったりサファイアガラスであったりといった素材は変えずに、ムーヴメントや針など主に装飾的な部分で職人の作業工程をいくつか減らすことで、価格を下げることに成功しました。一方で、デザインはまったく同じではなく、同じシリーズであっても手を加えてどこかに遊びを取り入れていくというのが私の哲学です」

「いつくかの工程を減らしていますが、若い人にもっと機械式時計の面白さや良さを知ってもらいたいと想いがあり、精度やケースの仕上げなど手をかけるべき工程にはきっちり時間をかけています。もちろん既存モデル同様、完成前の最終チェックはすべて私自身が行い、クオリティ管理も徹底しています。あくまでエントリー版であって量産品でないのです」

フリーガー ウェールス
SS(40㎜径)。5気圧防水。自動巻き(ETA 2824-2 basic version)。10万8000円

アンテア 1919
SS(39㎜径)。5気圧防水。自動巻き(ETA 2824-2 basic version)。10万8000円(2018年9月発売予定)
シャウアー氏が最後に語った「量産品ではなくエントリー版」という言葉は、オーナーという立場からというよりか、むしろ職人としての矜持から出た言葉であろう。確固たる信念のもと、ひとつのプロダクトを仕上げるというシャウアー氏の時計作りへの姿勢はいまも昔も変わらない。
だからこそ、ストーヴァは多くの時計愛好家から支持され、急成長を遂げることができたのだろう。
「需要があるのはありがたいのですが、ストーヴァが急成長し、年産が4500〜5000本に達しているため、製作に割ける時間が少なくなってきてしまいました。シャウアーは私自身のブランドで思い入れも強いため、いつかはきちんと復活させたいと考えています」とのこと。
この言葉どおり、いつの日かシャウアーブランドが再始動されることを期待したい。
(写真/人物◎服部希代野)

http://www.tictac-web.com/brandlist/detail/?bid=60&/