年末は腕時計も大掃除、プロが教える正しい“セルフメンテナンス”

時計を長く愛用したいのであれば、オーナー自身が行うセルフメンテナンスが重要だ。ただ、それを間違った方法で行ってしまうと、逆に時計にダメージを与えてしまうことだってありえる。そこで今回は、意外と知らない正しいセルフメンテナンス方法を時計技術者が徹底指南。ぜひ参考にしていただければ幸いだ。

お気に入りの時計であれば、日々いたわる習慣を身につけよう!

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セルフメンテナンスの基本は“乾拭き”だ。要は汗や汚れを時計から取り除く、という作業である。その正しいやり方は簡単で時計を使用した1日の終わりに、乾いたタオルで全体を優しく拭くだけ。
何気ない作業だが、これを怠ると様々な不具合の引き金になる。たとえば、深刻な例だと“水入り”。裏ブタに水や汚れが溜まっていくと、それが緩みやすくなったり、本来あり得ない隙間が生じたりする。そこからケース内部に水が侵入してしまうというわけだ。当然、ムーヴメントまで水が入ってしまうと、その修理代金は多大なものになってしまう。万が一の大事故を防ぐためにも、毎日の拭き掃除は重要なのだ。
また日々拭いてやること(=時計とじっくり向き合う)で、外装の変化にも敏感に気が付くようになる。擦り傷や打ち傷など、外装のコンディションを常に正確に把握することで、日々の使い方を見直すこともできるのだ。
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時計の拭き掃除は乾いたタオルを使用しよう。ただ、力を入れてゴシゴシやってしまうとポリッシュ面などを不用意に傷付けてしまう恐れもあるため、優しく丁寧に。
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「夏場はもちろんですが、厚着をする冬も実は汗の影響が出やすいシーズンです。たとえ錆びにくい性質をもつステンレススチールでも汗や水気をそのままにしておくと、錆びが発生してしまうんです。見ため的にも衛生的にも良くないですよね。(共栄産業・大月さん)」

 

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いわば時計の本体であるケースは、常にキレイにしておきたい。なぜなら、ケースは文字盤そして最もデリケートなムーヴメントを覆うパーツであり、使い方次第で水や汚れが時計内部に侵入してしまう恐れがあるからだ。
オーナーができるセルフメンテナンスは、わずかな隙間に入り込んだ汚れ(=異物)を定期的に除去すること。汚れが溜まってしまうと、スペック通りの防水性能を確保できなくなるだけでなく、汚れそのものが時計内に侵入してしまうことだってありえる。
こういった異物を除去するには、歯ブラシもしくは爪楊枝を使用すると便利。歯ブラシを使うのであれば、外装の隙間にブラシ部分を当てて、汚れを掻き出すように磨く。大抵の汚れはこれで除去できるはずだ。歯ブラシでは取り除けない頑固な汚れがある場合は、爪楊枝の出番。爪楊枝の先で汚れをつつき、砕いていく。ある程度砕き終われば歯ブラシで一掃できるだろう。
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軽い汚れであれば、歯ブラシで十分ケアできる。掻き出し方のコツは、歯磨きをするように、様々な角度・方向から磨くこと。
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ベゼルとミドルケースの間も汚れが溜まりやすいポイントだ。とくに回転ベゼルの場合、凝固した汚れのせいで、回転させることができなくなることもある。
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盲点になりがちな裏ブタの隙間もしっかりケアすべき。異物がぎっしりこびりついているなら、爪楊枝で大まかに削り出し、その後歯ブラシで!
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「最も注意すべき外装部品は“リューズ”。時刻合わせやデイト修正、ゼンマイの巻き上げなど、何かと手に触れる機会の多いパーツなので、自然と汚れや異物が蓄積されてしまうんです。(共栄産業・井原さん)」

 

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レザーストラップよりもはるかに長持ちするメタルブレスだが、肌と直接触れ合うパーツなので、しっかりケアしないと劣化が目立つようになるので要注意。
メタルブレスのセルフメンテナンスは、皿洗いなどで使用する中性洗剤と、ケース同様歯ブラシを使用すべし。歯ブラシに洗剤を付け、軽く泡立ててからブレスを磨く。これで付着した汚れは大方落ちるはずだ。磨いた後は、洗剤が残らないよう、水で洗い流す。
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まずは作業しやすいように、ケースからメタルブレスを取り外す。レザーストラップを外すよりも若干難易度は高くなるが、バネ棒外しがあれば対応可能。
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次は歯ブラシと中性洗剤の出番。ブラシ部分に少量、中性洗剤を付けて、軽く泡立てる。この中性洗剤は特別なものでなく、台所にある家庭用でまったく問題なし。
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後は洗剤の付いた歯ブラシでコマ、バックルを丁寧に磨き上げる。特にコマとコマの間は皮脂汚れが溜まるポイントなので、入念に磨きたい。
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磨き終わった後も重要だ。洗剤がブレスに残っていてはいけないので、水でしっかりと洗い流す。最後に乾いたタオルの上に置き、乾燥させればセルフケア終了!
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「実は皮脂汚れやゴミ、塵などがブレスに溜まると、コマ同士を繋ぐ役割を果たすピンが外れやすくなるんです。異物がブレスに溜まると美観が悪くなるだけでなく、そういった不具合も起きてしまうんです。
(共栄産業・大月さん)」

 

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そもそも大前提として、レザーストラップは“消耗品”だ。見た目や衛生面を考慮すれば、使用してから1年程で新しいモノへと交換すべきだろう。ただレザーストラップを少しでも長く、そして美しく愛用したいのであれば、日々のセルフメンテナンスを怠ってはいけない。
いちばん良いのは使い終わった後、革を乾燥させること。使用後のレザーストラップは、汗による湿気を多く含んでいる(夏場は特に)。その状態のまま室内に置いてしまうと、カビや異臭の原因となる雑菌が繁殖してしまうのだ。そのため、使用後は風の通しの良いベランダなどで一時保管すると良い。
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“①基礎編”通り、使い終わったらタオルなどでその日の汗や汚れを除去(写真右)。その後はベランダなど、風通しの良い場所で一時保管(写真左)。これだけでもレザーストラップの寿命をグッと伸ばすことができるのだ。

》ムーヴメントは手出し厳禁
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クォーツ・機械式問わず、ムーヴメントだけはすべてをプロに任せたい。時計の心臓部であるムーヴメントは非常に繊細で、しっかりとした専門知識がないと到底扱えないのだ。もし気になる点があるのなら、直ちに修理業者へ。また、実のところ、ムーヴメントを触るどころか裏ブタを開ける行為すらもあまりオススメしない。なぜかと言うと、ブランドによって開け方に微妙なクセがあったりするからだ。素人が力任せにこじ開けてしまうと裏ブタを破損させてしまうケースも…。

 

【取材・撮影協力】
共栄産業
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国内最大規模の修理部門を擁する時計総合商社。修理部門には経験豊富な技術者が50名以上在籍し、月間1万本以上の時計と向き合っている。メンテナンスのことならココに聞けば間違いなし!
住所/東京都豊島区巣鴨1-11-1 巣鴨ダイヤビル(☎03-3944-7676(修理))
※電話受付/9:00~12:00、13:00~17:30
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