年末は腕時計にも大掃除が必要かも!? メンテナンスQ&A

お気に入りの時計を長く愛用したいのであれば、定期的なメンテナンスは欠かせない。ここでは時計にまつわる身近なトラブル・疑問を三つピックアップ。それらを修理のプロフェッショナルがズバっと解決していこう!

Q-1
避けては通れない時計メンテナンスの基本
人の場合、身体を悪くしたら医者に頼る。それと同じように、時計の調子が悪いときは時計修理技術者に頼るべし。“時間遅れる”“止まる”という症状が現れたのなら、まさにそのタイミングだ。
この症状は時計内部、つまりムーヴメントの不具合が原因。人で例えるなら臓器に当たるパーツだが、これは小さな歯車やレバー、ネジなどから構成されている。特に機械式ムーヴメントならば、そのパーツの数が多いだけでなく、構造も非常に複雑。それゆえ本来のパフォーマンスを発揮するには、定期的なメンテナンスが不可欠なのだ。
時間の遅れ・止まり”は油の劣化、もしくは歯車やその軸などの摩耗、などが考えられる。早急に修理業者に相談し、オーバーホール(分解洗浄)を施したい。上に紹介したのは、普段見ることができないその工程だ。

【オーバーホールの手順をダイジェストでご紹介】
Q-1b
1.カルテ作成
オーバーホールを実施する前に、個体のカルテを作成。顧客情報・時計の状態・過去の修理履歴などを記入し、すべてコンピューターで管理する。
Q-1c
2.状態確認
ここからオーバーホールの作業開始。まずは外装や動作状況をくまなくチェック。もし新たな不具合が見つかれば、再度見積もりとともに確認する。
Q-1d
3.分解開始
外装・動作状況を確認したら、分解スタート。分解しながら各パーツに異常がないかもチェックする。技術者の技量が試される工程だ。
Q-1e
4.クリーニング
分解したパーツは、洗浄用のステンレス皿に収めていく(写真左)。すべて分解したら、超音波洗浄機へ(写真右)。こびりついた古い油をごっそり除去する。
Q-1f
5.注油&組み立て
洗浄が終了し、しっかり乾燥させたら、ムーヴメントを元の形に組み上げていく。重要なのは注油だ。各パーツによって使用する油の種類、量が異なるため慎重な作業が求められる。
Q-1g
6.各種テスト
ケーシングする前に、まずはムーヴメント単体で歩度調整。それをパスしたら、外装にムーヴメントを納める。精度が問題なければ、防水チェックへ。
Q-1h
7.納品
各種性能テストをクリアしたらオーバーホール終了! 依頼主の元に時計が返却される。共栄産業の場合、その納期はおおよそ3週間とのこと。
G-1
OHは3~5年が目安です
「ブランドや使用状況などで変化しますが、オーバーホールの目安は3~5年。このくらい経過すると、ムーヴメントに使用されている潤滑油が劣化し、パーツ同士の摩耗が急激に進行してしまうんです。もしパーツ交換になると、修理料金がずっと高額になるので、忘れずに対応したいですね。機械式同様、クォーツムーヴメントも精密機器であることには変わりなく、当然歯車なども使用されています。長年愛用しているとやはり精度が落ちてしまうので、5年前後でオーバーホールを行うことがベストです」

 

 

Q-2
クォーツ時計の意外な落とし穴!
使用されるパーツが少ないため、比較的丈夫だと言われるクォーツムーヴメント。精度も非常に優れており、実用性という面では機械式よりもはるかに勝っている。そんな“死角なし”とも思えるクォーツにおいて、ユーザーが唯一気にかけてほしいことがある。それが“液漏れ”だ。
腕時計に限らず、電池を使用する全製品に共通していることだが、電池切れの状態でそのまま長期間放置してしまうと電池の“液漏れ”が生じてしまう。時計の場合、これは大問題。なぜなら、電池はムーヴメントに直接セットされることがほとんどだからだ。つまり、電池から漏れた液(電解液と言う)が、回路やコイルなどムーヴメントの重要パーツにも及んでしまうというわけ。
そうなってしまうと、修理することが難しくなり、クォーツムーヴメント自体を丸々交換しないといけない。当然修理料金は跳ね上がるので、電池が切れたら、早急に交換しよう。
Q-2b
写真は電池交換の手順。まずは専用オープナーで裏ブタをこじ開け、工具を使用し電池を取り出す。その後、新しい電池を装着し、裏ブタを閉める。これで作業終了だ。
Q-2c
上の写真は、液漏れしてしまったボタン電池。電解液が漏れ出し、電池やムーヴメントに白い粉が付着している。こうなるとムーヴメントを丸々交換しないといけない。
G-2
電池切れから3カ月以内に対応を
「針が止まってから、3カ月程度で液漏れしてしまうケースもあります。ついつい後回しにしがちですが、電池交換は出来るだけ早いほうが良いでしょう。また、日本製よりも海外製の電池のほうが液漏れしやすい。国産の電池は日本の高温多湿な風土に適した作りになっているんです」

 

Q-3

ブレスのコマは実は意外と外れやすい
スポーティさを演出できるブレスレットタイプの時計ストラップ。その見た目は非常に堅牢だが、カジュアルウオッチにおいてはそうとも言い切れないらしい。事実「ブレスのコマが外れてしまったから修復してほしい」という依頼は、しばしば修理の現場に舞い込む。
ブレスのコマが外れてしまう原因は、コマとコマを繋ぐ役割を果たすピンにある(ピンでなくネジが使用されているものもある)。要はこのピンが緩んでしまうことが問題なのだ。その引き金となるのが“汚れやゴミの蓄積”。
ピンの周辺に汚れやゴミが溜まると、使用する度に摩耗が生じてしまう。これがピンの緩みの主な原因となってしまうのである。そのため、ブレスは常に清潔に保ちたい。セルフメンテナンスを怠らないだけでも、ブレスの寿命を大幅に伸ばすことができる。当然、美観的にも衛生的にも良いのでぜひ習慣づけていただきたい。
Q-3b
ブレス調整の様子。コマを繋ぐピンをハンマーで取り外し、調整を行う。プロに任せれば、ブレス洗浄も行ってくれるため、見た目も新品同様に。
Q-3a
外れたコマは必ず無くさないよう保管したい。高級時計の場合は、コマ1個購入するだけで、数万円もかかってしまうことがあるのだ。
Q-3f
ラバーストラップは“加水分解”に注意が必要。耐久性が高く、着け心地の良いラバーストラップだが、最大の弱点は“加水分解”だ。症状が進行していると、ストラップが裂けてしまう。
G-1
ブレスの状況を常に確認すべし
皮脂汚れやゴミが蓄積されると、ピンが緩みやすくなり、コマが外れてしまう原因となります。例えば、時計を着用した時、シャツの袖口にブレスの黒ずみが付着するような場合は危険信号。ご自身でケアするのであれば、洗面器などにぬるま湯を溜め、歯ブラシでブレスの隙間を磨いてあげましょう。

【取材・撮影協力】
共栄産業
K-1
国内最大規模の修理部門を擁する時計総合商社。修理部門には経験豊富な技術者が50名以上在籍し、月間1万本以上の時計と向き合っている。メンテナンスのことならココに聞けば間違いなし!
住所/東京都豊島区巣鴨1-11-1 巣鴨ダイヤビル(☎03-3944-7676(修理))
※電話受付/9:00~12:00、13:00~17:30
【<共栄産業>公式サイトへ】へ

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