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【ロレックス(ROLEX)】通信 No.002|読者が選んだ欲しいロレックス、人気ベスト6

 ロレックス通信の2回目は、いまユーザーが欲しいと思っているモデルはどんな機種なのかに注目してみたいと思う。

 弊社が刊行している高級腕時計の専門誌「POWER Watch」において毎年1月発売号で創刊時より行なっているロングランの好評企画に「読者が欲しい腕時計」がある。これは毎年11月〜12月に読者に対してアンケート調査を実施。欲しい時計として最も得票数の多かった銘柄20機種をランキング形式で紹介するというものだ。そこでここでは同企画の2019年版の結果(3月号No.104/2019年1月30日発売)に基づいて紹介したいと思う。そして今回20位以内にランクインしたロレックスが以下の6機種というわけである。

1位:デイトナ(総合1位→1位)
2位:GMTマスターⅡ(総合ランク外→3位)
3位:サブマリーナデイト(総合5位→4位)
4位:エクスプローラーⅠ(総合11位→6位)
5位:サブマリーナ・日付なし(総合12位→13位)
6位:デイトジャスト41(総合15位→20位)

 カッコ内は、ほかのブランドも含めた総合ランキング内の順位で、左が2018年度で右が2019年度の順位である。ちなみに2018年はこの6機種に、シードゥエラーとヨットマスターも加わり計8機種とランキングの半数近くをロレックスが占めていた。それに対して今回は、減っただけでなく機種もかなり限定されたものとなってしまった。実勢価格高騰が大きく影響していることを示す結果と言えるだろう。

 なお、このランキングを詳しく見ていく前にひと言触れておきたいことがある。それは時計専門誌の調査に基づくため、どちらかというと時計好きの方々がアンケートに参加している。そのためデイトナとGMTマスターⅡという、現在の実勢価格が国内定価の倍以上もする超プレミアム価格で流通する、あまり一般的でないモデルが1位と2位にランクインしている。これは「欲しい=購入」だけでなく「憧れ」としての思いも込められた結果であることをあらかじめ含み置きいただきたい。

1位:コスモグラフ デイトナ

価格高騰も影響なし
もはや投機的な意味合いも

定価127万4400円(2019年1月の実勢価格257万円)
Ref.116500LN(白文字盤)。SS(40mm径)。100m防水。自動巻き(Cal.4130)
現在の実勢価格をチェック

 さて1位のデイトナだが、1990年代後半にイタリアで起こったデイトナブームで火が付き、ロレックスファンにとっていずれは手にしたいと思うほど憧れの的だった。当時はロレックス唯一のクロノグラフモデルだったことも大きかったに違いない。

 そのため日本での実勢価格が常にプレミアム価格という、ロレックスの中でも希有な存在だった。なぜ、デイトナが日本市場でプレミアム価格だったかというと、製品の割り当てが極端に少なかったため正規店店頭に並ぶことはほとんどなかったのである。にも関わらず需要多かったために並行輸入市場では定価以上のプレミアム価格で販売されていたというわけだ。

 ただ、このプレミアム価格が足かせとなり、人気ランキングとなると以前は上位には当然入るが1位になることはほとんどなかった。それが2015年に現在のスタイルにモデルチェンジされると、2016年度のランキング以降は常に総合1位となるほど異常な人気を博した。そのため実勢価格もどんどん上昇、定価127万4400円に対して、いまでは200万円台後半というとんでもない価格となってしまったのである。

 ここまで上がってしまうと正直5〜10万円の変動は当たり前。もはや憧れ的な存在を越えて投機的な意味合いも強くなってしまった感は否めない。

2位:GMTマスターⅡ

ここ1年間で実勢価格が
突出して高騰!

定価95万400円(2019年1月の実勢価格200万円)
Ref. 126710BLRO。SS(40mm径)。100m防水。自動巻き(Cal.3285)
現在の実勢価格をチェック(黒ベゼル仕様)

 定価51万2400円に対して30万円台前半という2000年代前半の当時の実勢価格からもわかるように、かつてはまったくと言っていいほど人気のなかったGMTマスターⅡ。ステンレススチールのベーシックモデルが現在のスタイルにモデルチェンジされた2007年以降は一変、そのデザイン性が高く評価され人気上位に常に顔を出す存在になった。そしてここ1年間で実勢価格が突出して高騰してしまうなど、ある意味ではいま一番手を出しにくいモデルということもできる。

 その背景には、新生GMTマスターⅡとして最初に登場した黒の単色ベゼルタイプが、ロレックスの公式HPから姿を消してしまった。そのため生産終了するのではという憶測から実勢価格が高騰している。加えてGMTマスターⅡ本来のスタイルである青赤ツートンベゼルの通称“ペプシベゼル”が、ロングパワーリザーブの新型キャリバー3285を搭載して2018年に復活(写真のモデル)。かつて同モデルだけに採用されていた5連ジュビリーブレスを採用するなどの演出もありロレックスファンからも高い評価を得たこともGMTマスター人気に拍車をかけた。

 実は2017年、18年のランキングでは20位圏外だったことからも、この異常さがおわかりいただけるだろう。

3位:サブマリーナデイト

定番を好む傾向も
後押しして順位が上昇

定価87万4800円(2019年1月の実勢価格125万円)
Ref. 116610LN。SS(40mm径)。100m防水。自動巻き(Cal. 3135)
現在の実勢価格をチェック

 筆者の記憶が正しければ、この「読者が欲しい腕時計」16年間の歴史のなかでこのサブマリーナデイトが3位以内から漏れたのは今回を含めて2〜3度しかなかった気がする。しかも総合1位になった回数でいえば1番多い。つまりロレックスだけでなくすべての時計ブランドを通してみても最も安定して人気をキープしているモデルと言えるかもしれない。

 その最大の理由は、1953年の誕生以来60年以上もの間、その基本スタイルを変えていないという、この不変さと安心感にほかならない。また、モノトーンでシンプルなデザインのため、年齢を問わず着けられるうえビジネスシーンでも着用できる汎用性の高さも大きく支持されるゆえんなのではないかと思う。

 ただ、残念なことにロレックスの2016年後半から実勢価格上昇に伴い、いまでは定価どころか100万円をも超えてしまった。

4位:エクスプローラーⅠ

ロレックスの定番スポーツで
数少ないアンダー100万円

定価66万9600(2019年1月の実勢価格83万円)
Ref.214270。SS(39mm径)。100m防水。自動巻き(Cal.3132)
現在の実勢価格をチェック

 エクスプローラーⅠもサブマリーナデイトと同じ1953年に誕生している。しかも60年以上もの間、そのスタイルはほとんど変わっていない。

 1990年代後半に放映されたテレビドラマにおいて、当時ファッションリーダー的な存在だったキムタクこと木村拓哉氏が、ドラマの中で着用していたことから人気に火が付き、当時30万円ぐらいだった実勢価格がなんと60万円まで跳ね上がった。デイトナと同じく1990年代後半からのロレックスブームを牽引した存在としても知られる。

 ロレックスのスポーツ系モデルに分類されるものの、見た目はいたってスッキリとしたデザインのため、サブマリーナデイト以上に着用シーンでの汎用性は高い。そのためこの使い勝手の良さに魅力を感じる人は多い。しかし、その端正さゆえか、他ブランドなどから個性的で注目度の高い新作が出たりすると、その年その年で順位がだいぶ上下してしまうなど順位は安定していない。とは言え総合20位圏外になったことは1度もなく、派手さこそないが根強い人気を誇るそんな存在と言えるだろう。

 2017年は15位、18年は11位とトップテン圏外だっただが、今回は6位といきなり上位にランクイン。定価を上回っているものの実勢価格は80万円台と、スポーツ系モデルで100万円以下という実勢価格相場なのもプラスに影響したのではないだろうか。

5位:サブマリーナ

日付けなしのシンプルな意匠が
近年高い
評価を得る

定価76万6800円(2019年1月の実勢価格105万円)
Ref.114060。SS(40mm径)。300m防水。自動巻き(Cal.3130)

 3番目に紹介したサブマリーナデイトの日付け表示を備えていない機種である。同じサブマリーナ名であってもムーヴメントが違うことから明確に区別するために、日付け表示を備えたものをサブマリーナデイト、ないものをサブマリーナと呼んでいる。

 サブマリーナデイトの高騰に伴い、定価では10万円ほどしか差がないのに対して実勢価格だと20万円ほど安い。このお得感が人気を押し上げていることは言うまでもない。

 また、4〜5年前からは日付け表示のないすっきりとしたこのデザインのほうが、誕生した1953年当時のスタイルを継承しているとしてロレックスファンから再評価された。このこともグンと人気を押し上げている。しかも、かつてはサブマリーナデイトに比べて性能面でも明らかに差があったが、いまではその違いは日付け表示の有無だけといっても過言でない。そのためどっちにするか悩む人はかなり多い。

6位:デイトジャスト41

存在感と完成度を高めた
ドレス系ラインの新機軸

定価75万6000円(2019年1月の実勢価格79万円)
Ref.126300。SS(41mm径)。100m防水。自動巻き(Cal.3235)
現在の実勢価格をチェック(デイトジャスト36コンビモデルの場合)

 ロレックスの人気モデルは何もスポーツ系モデルに限ったことではない。ドレス系のデイトジャストもランキングの常連である。恐らくはロレックスで最も所有率が高いのは、このデイトジャストだろう。

 デイトジャストの魅力は、素材違いや文字盤、インデックスなどのバリエーションが豊富なため、自分のライフスタイルに合わせて選択肢が多いこと。加えて価格帯も幅広かったため買いやすかった点にある。

 ただ、既存のデイトジャスト36はケースサイズが36mmと、40mmが当たり前となった現在の腕時計からすると、存在感に物足りなさを感じてしまうのは否めない。そこでその上位機種として42mmのデイトジャストⅡが登場したのだったが、デザインバランスが悪く不評だった。

 そして、それに代わって2017年に登場したのがこのデイトジャスト41である。デザイン面の改善はもちろん、70時間パワーリザーブを誇る最新のムーヴメント、Cal.3235が搭載されるなど、存在感に加えて性能面も遜色のないものとなったのである。

 そのため2017年以降のランキングからは、通常のデイトジャストに変わってこのデイトジャスト41がランクインしている。いまやメンズのデイトジャストの主流となりつつあるようだ。

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菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。

 

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