世界にたった1本。 TAG HEUER(タグ・ホイヤー)がモナコ50周年を記念して発表した“モナコ ピース ダート”って何だ!?

 残念なお知らせがある。

 先日、モナコの誕生50周年を祝う特別なモデルとして連作で発表されている“モナコ リミテッドコレクション”に関する記事を掲載した。
 すでに第1〜4弾モデルまでは完売しているが、一連のモナコ リミテッドコレクション最後のモデルとなる第5弾、モナコ 2009–2019 リミテッドエディションは10月29日(火)に発売されたばかりということ。そして発売間もないとはいえ、第5弾モデルもおそらくすぐに完売してしまうだろうと記事に書いた。

 売れてしまう前に2009–2019 リミテッドについて記事にしようと、その後の動きを確認したところ、なんとこちらもすでに完売してしまったというのだ。しかも発表からわずか数日のこと。恐ろしいほどの人気ぶりである。
 そのため、もう買えないモデルの詳細を紹介しても無駄に物欲が刺激されてしまうだけなので、モナコ 2009–2019 リミテッドについては、その詳細解説を見送ることにした。

 だが、50周年というまたとないゴールデンアニバーサリーを迎えたモナコ。実はまだ特別なモナコには隠し球があるらしい。

 それが“モナコ ピース ダート”だ。
 モナコ50周年セレブレーションのクライマックスを迎え、タグ・ホイヤーは“モナコ ピース ダート”と名付けたモデルを創作した。
 このモデル、実は一連のモナコ リミテッドコレクションとは、まったく性格の異なるモデルとなっている。
 というのも、モナコ ピース ダートは、1969年当時のモナコのなかでも最もアイコニックなモデル、Ref.1133Bをベースに装飾を施した特別な1本なのだ。

モナコ ピース ダート

 モナコ ピース ダートは、タグ・ホイヤーのヴィンテージ・アフターセールス部門のエキスパートがアレンジを施したモデル。この特別なモデルには、スイス、ラ・ショー・ド・フォンのブランド本社に併設されているタグ・ホイヤー・ミュージアムが厳選した、69年発売のモナコに搭載された世界初の自動巻きクロノグラフムーヴメント、オリジナルのキャリバー11が搭載されている。しかも、ムーヴメントに合わせるケースもブレスも当時のオリジナルだ。

 このモデルについて、タグ・ホイヤー・ヘリテージ・ディレクターのカトリーヌ・エベルレ=デュヴォー氏は、次のように話している。

「この重要なマイルストーンを迎え、50周年のお祝いにヘリテージ部門はモナコに何をプレゼントできるかと考えました。そして、ワンピース・エディションを創ることにしました。私たちのアイコンを祝し、その唯一無比の存在を称賛する一品です。私たちは発売当時の構成部品を手に取り、それに装飾を施しました。これは過去に例のないことです」

 そう。モナコ ピース ダートは、世界にひとつしかないワンオフモデルなのである。では、一体どんなモデルなのか。具体的にその詳細を紹介しよう。

 最もわかりやすい特徴は、装飾を施したムーヴメントだろう。
 オリジナルのケースバックはシースルー仕様ではなかったが、裏ブタを円形に切り抜き、そこにサファイアクリスタルをはめ込んでシースルーバック仕様に変更。これにより、装飾が施されたムーヴメントが鑑賞できるようになっている。

 さらに驚きなのが、ムーヴメントは一度すべて分解され、クロノグラフモジュールを構成するすべてのパーツに面取りとヘアライン仕上げが、そしてネジ頭にはポリッシュ仕上げが施されたということだ。さらにオリジナルのキャリバー11は17石仕様だが、モナコ ピース ダートでは新たにルビーを3石加えて、20石に変更された。

 また、印象的なのがブリッジのエングレーブだ。
 クロノグラフ秒針と30分積算計の歯車を抑えるクロノグラフブリッジの表面には、1970年代のスタイルを彷彿させる書体で“Cal.eleven”の文字が、また12時間積算の歯車を抑えるブリッジには“Monaco”の文字が、それぞれ手彫りでエングレーブされている。

 特筆すべきは、このパーツが新造されたものということだろう。
 発売当時のオリジナルのブリッジでは、手の込んだエングレービングを施すには薄すぎるため、この二つブリッジが作り直された。さらにデイトディスクも交換され、ブラックの代わりにレッドの数字を採用した。

 手作業による腕時計の装飾には、職人による非常に高い技術が求められるが、モナコ ピース ダートでは、なんと4人の専門職人が製作にあたり、3カ月もの時間が費やされた。
 しかも作業に必要な工具がなかったため、まずはそのための特別な工具を作ることから始めたというから驚きだ。
 貴重なオリジナルモデルをベースとして使用することから、わずかなミスも許されないため、仕上げはすべて手作業。結果、ムーヴメントやケースなど、至るところにそれぞれの職人の特徴を残すこととなった。

 なお、画像がないのが残念だが、モナコ ピース ダートはレッドのラッカー仕上げの特別な木製ボックスに収められるという。
 資料によれば、ボックスの中のホワイトレザーには、ケースバックから切り抜かれた円形のステンレススチールとルーペがはめ込まれて、モナコ発売当時に発行されたリーフレットも添えられる、とある。

 また、そのほかの付属品としては、著名なビジュアルアーティスト、ジュリー・クラウリスによる時計ボックスと同じ素材による18インチのモノクロ描画の木製アートワーク、そして、タグ・ホイヤーの名誉会長ジャック・ホイヤーの署名が入った書籍『Paradoxical Superstar (逆説的なスーパースター)』も含まれる。これは、モナコ50周年を記念して発行された書籍で、アーカイブからの抜粋のほか、このアイコニックな腕時計のデザインやムーヴメントのスケッチなどが収められるようである。

 ワンオフモデルにふさわしい 豪華仕様だが、このモデル、実は一般に販売されるものではない。
 2019年12月10日、ニューヨークのオークションハウス、フィリップスで開催される“Game Changers”時計オークションに出品されるというのだ。

 しかも、営利目的で作られたものではないため、オークションの売り上げは、恵まれない子供や家庭の生活環境を改善し、子供たちの識字率向上を促進するキャンペーン“Read NYC”の活動を行っているアメリカの慈善団体“United Way of New York City(ユナイテッドウェイ・オブ・ニューヨークシティ)”に寄付される。

 

TAG HEUER(タグ・ホイヤー)
Monaco Piece d’Art(モナコ ピース ダート)
モナコ50周年を祝うグランドフィナーレとして製作された、世界にただひとつしかない特別なモナコ。
■1133Bをベースとしたワンオフモデル。SS(39mmサイズ)。自動巻き(オリジナルのCal.11をベースとしたカスタム仕様。20石)

 

文◎佐藤杏輔(編集部)

 

【問い合わせ先】
LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー
TEL:03-5635-7054
タグ・ホイヤー 公式サイト
https://www.tagheuer.com

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