2019年、シンガポールを舞台に16日間にわたって開催されたパテック フィリップの一大イベント“ウォッチアート・グランド・エグジビション”は、過去最高となる6万8000人という来場者数を記録し、大成功に終えた。
イベントのハイライトは、本国のミュージアムに収蔵される歴史的なタイムピース展示のほか、シンガポールマーケットに限定された新作コレクションの発表だ。
新作は世界にも公開されたが、それらコレクションが“超絶すぎる”と大きな話題を集めた。
その超絶すぎる新作のひとつが12個のみ限定製作される新しいミニット・リピーター・トゥールビヨンである。
ミニット・リピーター・トゥールビヨン
Ref.5303
■K18RGケース、アリゲーターストラップ。ケース径42mm。非防水。手巻き(Cal.R TO 27 PS)。限定12本。時価
本作における最大の技術的特徴が、一見しておわかりのようにオープン・アーキテクチャー、簡単にいうとスケルトン仕様によって、文字盤側にチャイム機構のメカニズムを余すことなく現した点だ。
オープン・アーキテクチャー仕様の永久カレンダーモデルRef.5304(2014年発表)の美的要素を、今度はミニット・リピーター・トゥールビヨンモデルで表現したというわけである。
搭載しているのはCal.R TO 27のバリエーションで、通常裏ブタ側にあるゴングとハンマーを文字盤側に配置したこのR TO 27 PSだ。文字盤をなくしたことで高さを相殺し、これに加え、ゴング自体も中央部分を薄く仕立てて、針に干渉しない設計となっている。
また日光によって潤滑油の劣化が早まるのを防ぐため、サファイアガラスにUV保護コーティングを施し、ムーヴメントを保護しているところなど、細かな点にも配慮しているのは、さすが最高峰の時計ブランド。
ミニット・リピーター・トゥールビヨンが技術的な賞賛を受けたのに対して、芸術作品として来場者を魅了したのが、ハンドクラフトコレクションである。
動植物やバティックといった東南アジアの独自の文化や自然と、マルケトリやエナメルといったパテック フィリップの伝統技術が融合。懐中、腕、置き時計と様々なスタイルによるアートピースが展開された。
“中国の帆船”
Ref.992/118
バックケースに27種類の木材、200のパーツを用いて、精巧な寄木細工の手法による芸術作品を描いた18金イエローゴールド製ポケットウオッチ。他方、文字盤側も非常に精巧である。手彫りによるギョーシェ加工を施したサンバーストモチーフの文字盤は、さらにエナメルコーティングを施し、繊細さを際立てている。
■K18YGケース。ケース径44.1mm。手巻き。時価
“シンガポール”
Ref.25003M
七宝焼きエナメルの下にギョーシェ模様のモチーフが付いた置き時計。1950年代の同社の置き時計にインスパイアされた本作では、文字盤から立体的なケースにかけて、シンガポール中心部の地図が描かれている。 ■ケース径126mm、高さ53.33mm。時価
カラトラバ・ウッドマルケトリー (左)“ドラゴン” (右)“フェニックス”
Ref.5089
東南アジアで最も重要なシンボルであるドラゴンと、神話に登場する不死鳥フェニックスをそれぞれ文字盤に描いたアートピース。実は、この文字盤の表現はクロワゾネなどによるものではない。伝統的な寄木細工の手法を用いたもので、カエデやクルミなど16種類近くの木材、200以上のパーツによって組み上げられている。超薄型の自動巻きCal.240を搭載する。 ■K18WGケース、アリゲーターストラップ。ケース径38mm。自動巻き(Cal.240)。ともに時価
文◎堀内大輔(編集部)
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