【年産30本以下】スイス独立時計師アカデミーのメンバー、“ベアト・ハルディマン”が作るセンタートゥールビヨン時計とは?

「コンピューター制御の機械を使えばコストも下げられるが、使わない。何かを失うかもしれないので。敢えて100年前の方法で作る。」ーBeat Haldimann

Beat Haldimann 16.-19.2.2005
Reportage über Beat Haldimann 16.-19.2.2005 in Thun

 スイス独立時計師アカデミー(AHCI)のメンバーである“ベアト・ハルディマン”氏により1991年に設立された時計ブランド、“HALDIMANN(ハルディマン)”の時計が、タカシマヤ ウオッチメゾン 東京・日本橋にて展示を開始した。

 

HALDIMANN(ハルディマン)
H1 フライングセントラル

■Pt(39mm径)。3気圧防水。手巻き(Cal.H-Zen.A)。2420万円

■その他/60秒フライングトゥールビヨン搭載、ハルディマン耐震装置、ハルディマンスイスレバー式脱進機

 ブランドの代表モデルであるH1 フライングセントラルとは、アブラアン・ルイ・ブレゲの発明した画期的機構であるトゥールビヨンをセンターに配置したモデル。その大きさは、ムーブメント直径31.58mm(14リーニュ)の半分以上にあたる、直径17.8mm。

 巻き上げひげ・チラネジのベリリウム銅製テンワがロービート(毎時18,000振動)で時を刻みながらゆっくり回転する様子に伝統を感じるが、それが中央にあることで斬新な印象を与えてくれる。

 同モデルは約300あるパーツのうち、90%以上にあたる280以上を自社で製作。例えば、外注品としてひげぜんまい(Nivachron社製)が挙げられるが、ひげぜんまいも素材を仕入れ、自社で巻いていく。

 280以上のパーツはアンティーク時計の修復などにも使われる昔ながらの製作機械を用い、パーツの一つひとつを手作りしている。時計自体の機構、手作業で施された仕上げの美しさは、まさに数百年前のスイス時計作りの景色を映すかのようだ。

 H1 フライングセントラルは2日間かけて、鋼板の切削から、BIRD‘S TONGUE(鳥の舌)と呼ばれるやすりによる面の角を落とす工程、そしてローズウッドによる磨きまですべて手作業で行われ製作。これらの工程で生み出されたトゥールビヨンのケージは、繊細な線で構成される美しい形状をしている。

 加えてフライングトゥールビヨンの組み立て時は、通常のトゥールビヨンよりもさらに繊細な手作業での調整が求められる。

 また構造の特徴として、三つの香箱と脱進機が挙げられる。

 香箱のうちのひとつ(9時位置)は時分針を動かすためのものであり、残りのふたつ(7時と11時)はトゥールビヨン用である。

 脱進機は、スイスレバー脱進機をトゥールビヨン用に拘束角を適正化した“ハルディマンスイスレバー式脱進機”を使用。ハルディマン家がかつて製作した懐中時計に使われていた脱進機に着想を得たもので、ユニークな形状のアンクルを特徴とし、ガンギ車の横側にアンクルの爪石が接する。

 また時分針のチクタク音は、文字盤の上の風防に囲まれた大きなスペースで反響する。この音はアブラアン・ルイ・ブレゲの懐中時計のそれを目指したものだ。なおハルディマン氏によると「アブラアン・ルイ・ブレゲが今も生きていたらきっと中央にトゥールビヨンを配置しただろう」とのこと。

 

H2 フライングレゾナンス

■Pt(39mm径)。3気圧防水。手巻き(Cal.H-Zen.B)。3960万円

■その他/60秒ダブルフライングトゥールビヨン搭載、ハルディマン耐震装置、ハルディマンスイスレバー式脱進機

 センタートゥールビヨンを発展させ、クリスティアーン・ホイヘンスが発見した“共振(レゾナンス)”を取り入れたH2 フライングレゾナンス。ふたつのトゥールビヨンが共振する仕組みだ。

 いずれのモデルも中央にトゥールビヨンを配したことにより、時分針は付け根にあたる部分がない。トゥールビヨンから生えているようにも見えるこの針は、文字盤上のトゥールビヨンの外周付近の小さな溝から出ており、文字盤の下にコニカルホイール(傘回しの傘のような歯車)が入り動かしているのだ。

 

 彼が作る時計は、かつてハルディマン家が製作した時計のように“世紀を超えて使えること”に重きをおいている。例えば文字盤や針には、長きにわたり使える素材であるステンレススチールを使用するなどだ。

 修理に関しても、その時計が存在する限りオーナーが交代しても修理を行うと明言。そのため、現在ブランドではハルディマン家が時計の製造を開始した1642年以降のすべての時計の修理を受け付けており、この姿勢は彼の後継者にもいずれ継承されることになっている。

 またハルディマン氏を含むおよそ5名の時計師により作られる時計の年間製造本数は、腕時計は2~30本、掛け時計においてはわずか2~3個ほど。そんな貴重なタイムピースがタカシマヤ ウオッチメゾン 東京・日本橋にて展示中というのだから、これはチェックしておくべきだろう。

【タカシマヤ ウオッチメゾン 東京・日本橋】
住所・・・東京都中央区日本橋3-1-8
電話番号・・・03-3211-4111
営業時間・・・10:30〜19:30

 

ベアト・ハルディマン
 1964年、スイス生まれ。スイス独立時計師アカデミー(AHCI)のメンバーであり、スイス国家認定職人マイスター。2009年には時計界のノーベル賞とも言われる、国際時計博物館(スイス、ラ・ショー・ド・フォン)のガイア賞を授賞。

 ハルディマン家は1642年より先祖代々時計産業に従事しており、ベアト・ハルディマンはゾロトゥルン時計学校卒業後、ETAに入社。その後、アンティークの修復に従事し、1991年に自身のブランドである“ハルディマン”を設立。2001年バーゼルワールド初出展(クロック)。2003年初の腕時計となる「H1」を発表。

 

【問い合わせ先】
スイスプライムブランズ
TEL.03-5962-8948

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