1970年代にクォーツ時計で世界を席巻して以降、先進技術を取り入れたウオッチメイキングで独自の進化と発展を遂げてきた日本の時計界。いま国産時計ブランドで新たな付加価値として注目されているのが、日本古来の伝統工芸だ。
その先鞭をつけたのは、2014年にレギュラー化された“ほうろう文字盤モデル”だろう。国産機械式時計の魅力が改めてフィーチャーされる傾向が強まるなかで、手の届く価格、信頼性の高さという国産機械式時計の特徴を土台に、さらに付加価値を高める要素として “日本らしさ”を強調したほうろうダイヤルモデルが注目を集めたのだ。
プレザージュではこのヒットを受け、漆、七宝といった伝統工芸系のモデルを展開。現代は、メジャーブランドだけでなく、新興の国産ブランドからも伝統工芸をデザインに採用したモデルが登場するようになった。
デザインについては、麻の葉文様や着物などに採用された伝統色を採用するなど、あからさまではないより洗練された表現に進化している点も近年の傾向と言える。今回は、“伝統文様”と“伝統色”、二つのカテゴリーで、注目のモデルを紹介していく。
【伝統文様のおすすめモデル】
SEIKO PRESAGE(セイコー プレザージュ)
SARX077
ほうろうや漆塗り文字盤など、時計と伝統技術を融合し、日本的な美を追求したプレザージュ。本作では、クラシカルな雰囲気の強かったこれまでのラインナップから一転、伝統的な麻の葉文様を時計のデザインに落とし込み、現代的なスタイルに昇華させている。 特徴的な文字盤は、麻の葉をイメージした伝統紋様を施し、その上を透明のコーティングを施して平面に仕上げている。日本的な美を感じさせつつも、バーインデックスや直線的なラグを持つケースなどが採用され、スタイリッシュな雰囲気に仕上げられているのも人気を集めた理由だろう。
■SS(ダイヤシールド加工/39.3mm径)。10気圧防水。自動巻き(Cal.6R35)。11万円
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