最近の時計業界のトレンドに、マイクロブランドの台頭がある。マイクロブランドとはその名のとおり小規模な時計ブランドで、その製造数も1アイテムあたり数百個程度と少ない。それゆえにオンラインなどを活用した直接販売をメインにして、流通コストを削減。さらに規模の小ささをメリットとして生かしており、時計ファンからの直接フィードバックを生かした質の高いプロダクト、フレキシブルな製品展開などで、メジャーな時計ブランドにはない個性を生み出している。
時計好きの間ではすでに注目のジャンルとなっているマイクロブランドだが、そんななかで日本で流通していないマイクロブランドを独自にセレクトし、話題を集めている時計ショップが表参道にある。今回は、店長兼バイヤーである飯島さんに、バイイングのこだわりやマイクロブランド動向について聞いてみた。
エイチエムエスウォッチストア表参道の店長兼バイヤーである飯島さん(写真左、通称は“イージー。”)と編集部の船平(写真右)
エイチエムエスウォッチストア表参道の店長飯島さんは、日本にまだ入ってきていないマイクロブランドを見つけ出し、現地と交渉して仕入れてくる腕利きのバイヤーだ。
2023年の1月にフランスでバルチックと商談した際のひとコマ。飯島さんは商談よりも時計談義で盛り上がってしまったらしい
「ふだんからインターネットなどで、日本に入ってきていない面白そうな時計ブランドを探していますよ。アクアスターは自分としてもぜひ売っていきたいブランドだったので、去年の始めくらいからずっとオファーを出していた成果が実って、今年になって契約まで至ったのでうれしいですね。ほかにもコーニッシュやバルチックなどは、年内に別注モデルをいろいろ仕掛けていく予定です」
販売を開始する時計をセレクトの基準はいろいろあるが、飯島さんが重視するのは最初に見たときの直感だという。
「見た瞬間にこれを売りたいって思える時計は間違いないです。それとお客様の好みに合うかどうかはやはり考えます。このエリアはハイブランドのショップも多いし、数百万円の時計をしている方がふらっと訪ねてくることも珍しくないんですよ。そういう本物を知り尽くしている方々が、ふだん使いの時計としてマイクロブランドの時計を買っていくケースがよくあります。もちろんハイブランドとは価格帯が全然違いますが、実物を見てもらえるとこの価格帯でこの完成度は素晴らしいってことに気づいてもらえるし、目の肥えた方ほどマイクロブランドに理解がありますね」
「向こうのスタッフも、日本からのフィードバックは常に気にしていますね。こういう商品は日本で受けるかな? って質問はしょっちゅうされます。逆にこっちから、こういうのが日本では人気があるって提案することもありますし、それが別注モデルにつながっていくことも多いですね。お互いに小回りが効くビジネスなので、フレキシブルな対応ができるんですが、ショップ側の人間としては新たな挑戦もできるので楽しいですよ」
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【編集部も注目する狙い目のマイクロブランド3選】
アクアスター
ディープスターⅡ
1960年代に人気を博したクロノグラフを、2020年に3針モデルとして復刻。モノサブダイアル、特許取得の多重潜水減圧ベゼルなどを備え、ダイバーズとしての実用性も高い。
■Ref. ASDP36GREYBOR。SS(36.75mm径)。20気圧防水。自動巻き(Cal.SW290)。34万5400円