SIHH 2019年 新作時計レポート【vol.06】リシャール・ミル

先進技術で生み出されたカラフルポップなユニセックスライン

 SIHHの会場内でもひときわ異彩を放っていたのがリシャール・ミルのブース。下の写真のように、全体がピンクを基調としたカラーリングで、オレンジやキャンディをモチーフにした可愛らしい巨大なオブジェが天井のあちらこちらにある。まさにカラフルポップな世界が表現されている。どちらかというとブラック系を基調とするイメージのこれまでのリシャール・ミルからは想像もつかない、ある意味かなり斬新なものだった。

 今回がSIHHへの出展最後となるシャール・ミルが発表したのは、そんな甘いスイーツやフルーツを表現した新作モデル、その名も“リシャール・ミル ボンボン コレクション”。その名のとおりキャンディ状のお菓子をイメージしたという驚きのコレクションだったのである。

 同ブランドを代表する自動巻きモデルをベースにした、RM 07-03、RM 16-01、そしてRM 37-01の3型を基本に10種類のモデルを展開。そしてさらに文字盤に表現されているモチーフによって“スイーツ”と“フルーツ”の二つのプロダクトラインに分けて、それぞれに違う製造方法がとられている。

 プロジェクトの責任者であるアーティスティック・ディレクターのセシル・ゲナは、この新コレクションについて「コンセプトは、カラーを巧みに使いながら、既存のコレクションを再解釈することでした。その結果、遊び心あるポップな雰囲気が出せたと思います。このユニセックスのコレクションには、合計60種類ものカラーを採用しました」と説明する。つまり、可愛らしい見た目とは裏腹に、その開発にあたっては、しっかりとリシャール・ミルの高度な技術力によって表現されているというのである。

 ちなみに今回、スイーツ、フルーツそれぞれのラインから、比較的トーンの渋めなものを1本ずつ選んで着けさせてもらったのだが、さすがに使えるシーンこそ限られるものの、こういった遊び心のあるデザインでしかもこの高額なものをさらりと着けられたら、それはそれで結構楽しいのではないか、と素直にそう思ってしまった。ある意味それが常に最先端をゆくリシャール・ミルの凄さなのかもしれない。

 では、“スイーツ”と“フルーツ”の二つのプロダクトラインについて、それぞれ詳しく見ていくことにしたい。

“スイーツ”ライン

 “スイーツ”ラインは、RM 07-03 カップケーキ、RM 07-03 マシュマロ、RM 37-01 スセット、そしてRM 16-01 レグリスと四つのモデルで構成されている。ベゼルとケースバックにはセラミックスを使用、文字盤に表現されたカラフルなスイーツのモチーフにはなんとグランフーエナメル技法によって作られている。

 また、渦巻き状の黒いお菓子、リコリス飴を表現したRM 16-01 レグリスの文字盤は、チタンをプレス加工し、ブラッククロム加工で仕上げるという新たな試みが採用された。

INFORMATION
モデル名:RM 07-03 オートマティック マシュマロ
ケース素材:ホワイトとラベンダービンクセラミックス、K18ローズゴールド
ベルト素材:パテントレザー
サイズ:ケースサイズ45.32×32.30mm、ケース厚11.93mm
防水性:50m防水
ムーヴメント:自動巻き(Cal.CRMA2/毎時2万8800振動/パワーリザーブ約50時間)
機能:時・分表示
税別予価:1720万円(世界限定30本/2019年夏発売予定)

 

 

INFORMATION
モデル名:RM 07-03 オートマティック カップケーキ
ケース素材:ダークブルーセラミックス、K18ホワイトゴールド
ベルト素材:パテントレザー
サイズ:ケースサイズ45.32×32.30mm、ケース厚11.93mm
防水性:50m防水
ムーヴメント:自動巻き(Cal.CRMA2/毎時2万8800振動/パワーリザーブ約50時間)
機能:時・分表示
税別予価:1720万円(世界限定30本/2019年夏発売予定)

 

 

INFORMATION
モデル名:RM 16-01 オートマティック レグリス
ケース素材:ピンクとイエローセラミックス、K18ホワイトゴールド
ベルト素材:パテントレザー
サイズ:ケースサイズ50.20×38.00mm、ケース厚9.88mm
防水性:30m防水
ムーヴメント:自動巻き(Cal.CRMA2/毎時2万8800振動/パワーリザーブ約50時間)
機能:時・分表示
税別予価:1600万円(世界限定30本/2019年夏発売予定)

 

 

INFORMATION
モデル名:RM 37-01 オートマティック スセット
ケース素材:TZPハンターグリーンセラミックス、K18ローズゴールド
ベルト素材:パテントレザー
サイズ:ケースサイズ52.65×34.40mm、ケース厚13.8mm
防水性:50m防水
ムーヴメント:自動巻き(Cal.CRMA1/毎時2万8800振動/パワーリザーブ約50時間)
機能:時・分表示
税別予価:1840万円(世界限定30本/2019年夏発売予定)

 

 

“フルーツ”ライン

 “フルーツ”ラインを構成するのは、シトロンとフリーズ(RM 16-01)、フレーズとリチ(RM 07-03)、キウイとスリーズ(RM 37-01)の六つのフルーツ。ケース素材は、“スイーツ”ラインがセラミックスだったのに対して、こちらはカーボンTPT®とカラークオーツTPT®︎というリシャール・ミルならではのハイテク素材が使われている。

 カーボンTPT®とは、30ミクロン程度のカーボンファイバーの層を何層も重ねて作られたもので、レーシングカーのモノコック構造でも採用されるほど剛性と耐衝撃性が極めて高いという特性を持つ。

 一方のカラークオーツTPT®は、45ミクロン未満のシリカ繊維の層を何層も重ねて作られるという、リシャール・ミルとノース・シン・プライ・テクノロジー社とのコラボレーションにより開発された新素材だ。そして、さらにリシャール・ミルが独自に開発したというレジン液によって着色(ターコイズカラーはブランド初)。これらを交互に積層させる際、層数に変化を付けてグラデーションを再現しているというのである。デザインはキュートだが、作り自体はまさに“ザ・リシャール・ミル”というわけだ。

INFORMATION
モデル名:RM 07-03 オートマティック リチ
ケース素材:カーボンTPT®、ホワイトクオーツTPT®
ベルト素材:ラバー
サイズ:ケースサイズ45.32×32.30mm、ケース厚11.93mm
防水性:50m防水
ムーヴメント:自動巻き(Cal.CRMA2/毎時2万8800振動/パワーリザーブ約50時間)
機能:時・分表示
税別予価:1420万円(世界限定30本/2019年夏発売予定)

 

 

 

INFORMATION
モデル名:RM 07-03 オートマティック フレーズ
ケース素材:カーボンTPT®、ターコイズクオーツTPT®
ベルト素材:ラバー
サイズ:ケースサイズ45.32×32.30mm、ケース厚11.93mm
防水性:50m防水
ムーヴメント:自動巻き(Cal.CRMA2/毎時2万8800振動/パワーリザーブ約50時間)
機能:時・分表示
税別予価:1420万円(世界限定30本/2019年夏発売予定)

 

 

 

INFORMATION
モデル名:RM 16-01 オートマティック フリーズ
ケース素材:カーボンTPT®、レッドクオーツTPT®
ベルト素材:ラバー
サイズ:ケースサイズ50.20×38.00mm、ケース厚9.88mm
防水性:30m防水
ムーヴメント:自動巻き(Cal.CRMA2/毎時2万8800振動/パワーリザーブ約50時間)
機能:時・分表示
税別予価:1540万円(世界限定30本/2019年夏発売予定)

 

 

 

INFORMATION
モデル名:RM 16-01 オートマティック シトロン
ケース素材:カーボンTPT®、イエロークオーツTPT®
ベルト素材:ラバー
サイズ:ケースサイズ50.20×38.00mm、ケース厚9.88mm
防水性:30m防水
ムーヴメント:自動巻き(Cal.CRMA2/毎時2万8800振動/パワーリザーブ約50時間)
機能:時・分表示
税別予価:1540万円(世界限定30本/2019年夏発売予定)

 

 

 

INFORMATION
モデル名:RM 37-01 オートマティック キウイ
ケース素材:カーボンTPT®、グリーンクオーツTPT®
ベルト素材:ラバー
サイズ:ケースサイズ52.65×34.40mm、ケース厚13.8mm
防水性:50m防水
ムーヴメント:自動巻き(Cal.CRMA1/毎時2万8800振動/パワーリザーブ約50時間)
機能:時・分表示
税別予価:1600万円(世界限定30本/2019年夏発売予定)

 

 

 

INFORMATION
モデル名:RM 37-01 オートマティック スリーズ
ケース素材:カーボンTPT、ディープレッドクオーツTPT
ベルト素材:ラバー
サイズ:ケースサイズ52.65×34.40mm、ケース厚13.8mm
防水性:50m防水
ムーヴメント:自動巻き(Cal.CRMA1/毎時2万8800振動/パワーリザーブ約50時間)
機能:時・分表示
税別予価:1600万円(世界限定30本/2019年夏発売予定)

 

(取材・文◎菊地吉正/現地写真◎神戸シュン)

 

 

お問い合せ:リシャール・ミル ジャパン  TEL.03-5511-1555

菊地 吉正 – KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。