【女性編集者】行ってみました BAUME&MERCIER(ボーム&メルシエ)展示会レポート

 2019年7月12日(金)、BAUME&MERCIER(ボーム&メルシエ)が1日限りの展示会“アーカイブコレクション特別展覧会 in Tokyo”を開催した。
 日本ではおよそ10年ぶりに東京・渋谷で開催されたこの特別展覧会に、おじゃましてきた。

 新人の私にとって、これが人生3度目の展示会。
 その様子を、新参者ならではの新鮮な視点からレポートしてみたい。

 会場には、ボーム&メルシェの歴史的モデルから、現行品まで約20本の時計がショーケースに並べられていた。
 見たところ、来場者は若干女性の方が多く、興味深そうにケースを眺めたりしていた。

 場内には同ブランドの歴史を紹介する立て札があり、文中に出てくるモデルのなかには、会場に展示されているものもあった。
 歴史を知りながら、本物をその場で見られる。まるで小さな博物館のようだ。

 現行も過去のモデルも、メンズとレディースの両方が展示されており、見応えは十分。そんな会場で個人的に気になったモデル、音叉時計とレディース時計を紹介したいと思う。

音叉時計。イエローゴールド(ケース)。1971年製。

 まずひとつ目がこの音叉時計。
 音叉時計といえば1960年にBULOVA(ブローバ)が開発した電池式時計で、世界初の音叉時計“アキュトロン”が有名で、音叉時計といえばスペースデザインのアキュトロンのイメージが強い人も多いかもしれない。個人的にも、ラグジュアリーブランドのボーム&メルシェが音叉時計を出していたのはとても意外だった。

 さらに驚いたのが発表年。1971年といえば、クォーツ時計の登場により音叉時計が淘汰されはじめた頃。そんな頃になぜ音叉時計を発売したのだろう……。個人的な話しだけれども、実は音叉時計からクォーツの開発までの歴史が好きなので、とても興味深かった。

 

マルキーズ。イエローゴールド(ケース)。手巻き。1950年製。

 そして二つ目、女性として興味を持ったのが“マルキーズ”。

 昔からいまも変わらず、時計メーカーが心血を注いで開発するのはほぼメンズ時計。
しかし女性としては、凝ったレディースモデルも見てみたい。そんな気持ちを抱えていたなか、見つけてしまった。

 マルキーズは、ボーム&メルシェが“単に男性の時計を小さくしたものではない”という理念のもと、活発化する女性の解放運動に目を向けて開発されたモデル。ブレスから文字盤までほぼ同じサイズで作られており、遠目から見ると、まるでブレスレットのよう。
 細いブレスに合うようにこんなに小さなムーヴメントを作っていたとは。昔の職人の技術力に驚かされた。

 時代の変化を読み取り、取り入れてきたボーム&メルシェ。歴史的背景を、時計を通じて感じられる展示会だった。

文◎佐波優紀(編集部)