【実機拝見!】美しさにこだわるモリッツ・グロスマンらしい初のGMTモデルが登場

 ムーヴメントの90パーセント以上を自社で製造するドイツの高級時計メーカー、モリッツ・グロスマン。同社初となるGMT機能を搭載した2019年新作が入荷したというので、早速モリッツ・グロスマンブティックへ。入荷したばかりという実機を見せていただいた。

 真っ先に感じたのがGMT針とその表示方法のユニークさである。本来、ホームタイムを指し示すGMT針は、別名を副時針と言われるように、時分針と同軸上に備えられるのが一般的だ。そのためセンターセコンドの場合は特に、同軸上に時針、分針、秒針、そしてGMT針の4本がセットされることになる。しかもそれらの形状は視認性を考慮してすべて異なるデザインが採用されるため、特にシンプルで古典的なデザインの時計には、若干煩雑な印象になりかねないため合わせにくい。

ブラウンバイオレットに焼き戻しされたアロー型針。これが時分針と連動して文字盤外周を24時間で1周しながら、第2時間帯を表示する

 その点このGMTは、デザイン性にこだわるグロスマンらしく、基本デザインを損なわないよう配慮した結果なのだろう、文字盤の外周にさりげなくアロー型のマーカーで指し示すという独特のスタイルを採用する。スッキリとまとめられており、GMTウオッチだということさえ忘れてしまうほどごく自然だ。このバランス感覚はさすがと言えよう。

筆者が実際に着けてみた。ご覧のとおりGMTウオッチと言われなければわからない。それほど古典的なデザインにうまくなじんでいる

しかも操作性にも優れており設定もいたって簡単だ。10時位置の専用リューズを操作することによって時分針に影響することなくアロー型針を単独で任意の時間帯に設定ができるクィックアジャスト機能が付いているためやりやすい。時差のある海外に渡航する際はもちろん、仕事柄日本にいて時差のあるヨーロッパと仕事のやり取りで、常に現地時間を把握する必要がある場合にもかなり重宝するに違いない。

モリッツ・グロスマンの最大の魅力はムーヴメントの仕上げを抜きに語れない。19世紀の古典設計を再現した美しい仕上げが堪能できる

 搭載するムーヴメントは手巻きのCal.100.8。文字盤外周に独自のデイト機能を備えた新型として2017年に開発されたCal.100.3をベースに、インジケーター式24時間表示に再設計された専用のムーヴメントである。そして、シースルーバックからは、徹底して美しく仕上げられたそのムーヴメントを楽しむことができる。

文◎菊地吉正(編集部)/写真◎笠井修

INFORMATION
モデル名:GMT
型番:Ref.MG-002225
ケース素材:18金ホワイトゴールド
ベルト素材:アリゲーター
サイズ:ケース径41mm、ケース厚11.85mm
防水性:日常生活防水
ムーヴメント:手巻き(Cal. 100.8/毎時1万8000振動/パワーリザーブ42時間)
機能:時・分表示、セカンドタイム表示
税抜き価格:420万円(このシャンパン文字盤ほかに、同じ価格でシルバー文字盤のホワイトゴールド素材とローズゴールド素材もラインナップ)

 

菊地 吉正 – KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。