ジン、ボール ウォッチ、プリム 実機レビュー!何が買いなのか調べました。【予算30万円台①】

 お手頃な“10万円以下”から“10万円台”“20万円台”そして“30万円台”まで、四つの価格帯で購入できる機械式腕時計を編集部がピックアップ。その一つひとつを編集部が実際に見て、触って、試着した、その感想を本音でレビューする。いま何が買いのモデルなのか。編集部のリアルな意見を、ぜひ購入の際の参考にしてもらいたい。

 今回は予算30万円台で購入できる機械式腕時計をセレクト!

【予算30万円台①】
ブランドの個性が発揮される価格帯
ほかにはない魅力。独自性に注目


 30万円台の機械式腕時計には、独自性が際立った時計が多くなってくる。
 例えば、本格スペックを備えた実用時計を展開することで知られているボール ウォッチやジンなどでは、そのハイスペックを実現する技術や構造を独自開発することで、機能性という点で他社との差別化を図っている。

 また、デザインとしても特徴があるクロノグラフやワールドタイム、ムーンフェイズといった多機能モデルもチョイスできるなど、選択の幅はいっそう広がるのだ。

 

》Model 1
PRIM プリム
オルリーク

 あまり時計のイメージがないチェコ共和国だが、実はかつて同国出身の優れた時計師は多かった。そんなチェコで現存する唯一の時計メーカーがプリムだ。さらに言うとムーヴメントをはじめ、ケースや文字盤、針に至るまで完全自社一貫生産を行う世界的にも希少なマニュファクチュールでもある。
 このオルリークは、旧チェコスロバキア軍に採用された軍用時計の後継として、1965年に製造された同社初の防水腕時計の意匠を継承したモデル。スイスブランドとはまた違った雰囲気の、少しクセのあるデザインが時計好きの心をくすぐる。
■Ref.PR.ORA.38.BK ORLIK。SS(38mm径)。100m防水。自動巻き(Cal.95)。36万8000円(税抜き)

 

》Detail Check

【自社製ムーヴメント】毎時2万1600振動の自社製Cal.95を搭載。最近では珍しい赤金メッキが施されているほか、青焼きネジを用いるなど古典美が追求されている。

【風防】風防はチェコ伝統のボヘミアンサファイアグラスを球体に成形している。内側にカーブさせたベゼルもほかにはない独特な雰囲気だ。

【実際に着けてみました】時針の形状やインデックスのフォントなど、ほかにはない独特のセンスが随所に光るオルリーク。まるでアンティークのような雰囲気や自社製ムーヴメントを搭載する点など、マニアにはたまらないポイントだろう。一方、その作り込みを考えると価格はかなり良心的でイチオシモデルである。

 

【問い合わせ先】

ブレインズ TEL.03-3510-7711

》プリム公式サイト
http://prim-watch.jp

 

》Model 2
BALL WATCH ボール ウォッチ
エンジニア ハイドロカーボン レーサー クロノグラフ

 機械式時計にとっての弱点である衝撃、水、暗闇を高次元で克服するフラッグシップモデルとして発表された2019年の新作。2カウンター式のクロノグラフモデルで、反転カラーを採用したいわゆるパンダダイアル仕様。一方で、ベゼルにブラックセラミックを採用することで、表情を引き締め静観な雰囲気も強調された。またボール ウォッチ独自の最先端テクノロジーも満載だ。
■Ref.CM2198C-S1CJ-SL。SS(42mm径)。100m防水。自動巻き(Cal.RR1401-C)。35万円(税抜き)

》Detail Check

【インデックス】自発光マイクロ・ガスライトをセットしたインデックスは、より立体感が増して夜光性能も向上した新型が採用されている。

【拡大レンズ】12時位置のデイト表示には拡大レンズが付いているが、一般的な風防にセットされたタイプではなく、文字盤に埋め込んだ珍しいタイプだ。

【実際に着けてみました】COSCクロノーメーター認定のクロノグラフモデルという点だけでもお買い得感があるが、それに加え、独自のテクノロジーも随所に盛り込まれて30万円台という価格設定は大きな魅力。ただハイスペックモデルがゆえに仕方がないが、重量は約221gとかなり重い。購入前には一度、装着感を確かめてみることをおすすめする。

【問い合わせ先】
ボール ウォッチ・ジャパン TEL.03-3221-7807

》ボール ウォッチ公式サイト
https://www.ballwatch.com/global/jp/home.html

 

》Model 3
SINN ジン
836

 計器としての機能性と、腕時計の実用性やデザインの美しさを併せ持たせたジンの3針モデル。シンプルな意匠である一方、実は独自の最新テクノロジーが盛り込まれたハイスペック機でもある。そのひとつが8万A/mという高耐磁性能を実現したマグネチック・フィールド・プロテクションだ。またケースにはセラミックと同等の硬度を実現するテギメント処理も施されている。
■SS(43mm径)。10気圧防水。自動巻き(Cal.ETA2892-A2)。35万5000円(税抜き)

》Detail Check

【ケースの造形】デザインだけで見ると無骨な印象だが、ケースはあえて角を落として肌触りを良くするなど、装着感を高める作り込みがなされている。

【デイト表示】耐磁時計のなかには構造上、デイト表示を備えられないモデルもあるが、ジンの場合、問題なし。836でも6時位置にデイト表示を備える。

【実際に着けてみました】“ザ・ジン時計”と呼びたくなるほど、同社の製品哲学が顕著に反映された836。シンプルだが大振りで、優れた視認性を確保しつつ存在感もアピールする意匠。テギメント加工などの独自テクノロジーを盛り込み、実用を追求した作り込みがなされている点など、普段使いにおいて非常に頼りになる1本。

【問い合わせ先】

ホッタ TEL.03-6226-4715

》ジン公式サイト
https://sinn-japan.jp

 

文◎堀内大輔/写真◎笠井 修