徹底した顧客サービスもパテック フィリップの魅力。その国内拠点であるサービスセンターに潜入取材!

 高級機械式時計を選ぶ際にはプロダクトのクオリティもさることながら、アフターサービスがいかに充実しているかが重要なポイントとなる。
 この点においても徹底したこだわりをもって実践しているのがパテック フィリップだ。

 多くの時計ファンにとって周知のことではあるが、パテック フィリップが時計界における世界最高峰ブランドとして称賛されるのは、完璧な顧客サービスを維持し続けている点も大きい。

 徹底した顧客サービスの一例には、自社の時計であれば100年以上前のものであっても必ず修復することを公的に打ち出している点が挙げられる。
 これを実現するためには、部品の維持管理や優秀な時計師の育成など費やしているコストも莫大なはずだが、しかし非効率にすら思えるこの体制を維持し続けることで、同ブランドのステイタスが保たれていることも確かである。

同社のインターナショナル・カスタマーサービスを統括するフランソワ・バウダー氏。スイスの主要時計メーカーで国際カスタマーサービス業務に携わってきた経歴がある業界の重鎮でもある同氏はWOSTEP Foundation(スイスの時計職人トレーニングおよび教育プログラム)の要職も務めている

 

 さらに、同ブランドでは世界のどこでも最良の顧客サービスを提供するため、世界38カ所にサービスセンターを設置している。
 そのひとつが東京・神田にある“パテック フィリップ ジャパン・サービスセンター”だ。

パテック フィリップでは完璧な顧客サービスを実現するため、過去に製造されたすべての時計がアーカイブ化されており、古い台帳を探ればその時計の来歴がわかるようなシステムが確立されている

 

 2019年10月に482.27平方メートルという広さに拡張リニューアルされた同センターでは、現在、修理・メンテナンスを担当するスタッフとして時計師14名、ポリッシャー2名、QC(品質管理)1名、そして顧客対応に当たってくれるアドミニストレイターが4名という布陣(2020年1月時点)。ちなみに作業内容によって担当できる時計師を以下のように厳格にレベル分けしている点も特徴だ。

●クイックサービス……ブレスレット交換、電池交換、防水検査などの簡単なレベルのサービス
●レベル2……クォーツやシンプルな手巻き、自動巻きのオーバーホール
●レベル3……コンプリケーテッドムーヴメントのオーバーホール
●アドバンス……グランドコンプリケーションのオーバーホール


 豪奢な複雑機構を持ったグランドコンプリケーションはパテック フィリップの華とも言えるモデルだが、日本のサービスセンターにはその修理を担当できるアドバンストレベルの時計師が5人も在籍しているのである。いずれもスイス本社でトレーニングを受けた一流の技術者だ。

 コンプリケーションの修理となると国内では対応できず、スイス本国送りになって修理期間も必然的に長くなるというブランドが多いが、パテック フィリップにおいてはごく限られた歴史的タイムピースの修復や超複雑なタイムピースの修理を除いては、日本国内で対応できる。世界的な高級時計への需要増大に伴って、優秀な時計師の不足がささやかれているが、パテック フィリップに関してはそのような不安とは無縁というわけである。

銀座や日本橋といった繁華街からもアクセスしやすい神田エリアに位置するサービスセンターは、500平方メートル近い広いフロアとなっている。管理体制がしっかりしているブランドだけに、正規のサービスセンターでメンテナンスを受けるメリットは計り知れない

 

パテック フィリップ ジャパン・サービスセンター
〒101-0047  東京都千代田区内神田3-6-2アーバンネット神田ビル7F

TEL.03-5209-8016

 

文◎巽 英俊