【ロレックス】通信 No.025|新旧デイトジャスト41を実機で比較してみた!

ステンレスモデルはいまやプレミアム価格

 2019年12月22日のロレックス通信 No.20で取り上げた「デイトジャスト36を実機で比較してみた」に引き続き、今回は「デイトジャスト41」について新旧モデルを比較してみたい。

 デイトジャストのなかで、36㎜径モデルの上位機種として2009年に登場したのが旧型のデイトジャスト IIである。何とサブマリーナなどの定番のスポーツモデルよりも大きい41mmケースが採用された。当時は時計のトレンドが大型モデルに傾倒していた、いわゆるデカ厚ブーム真っ盛りの時代。確かに40mmオーバーが主流だった当時、既存の36mmモデルではかなり物足りなさを感じたに違いない。特に欧米人ならなおさらだろう。さすがのロレックスもその流れを無視することは難しかったのかもしれない。

 ムーヴメントは当時の主力機Cal.3135に、エクスプローラー Iなどの一部のモデルにのみ採用されていたパラフレックス ショック・アブソーバーという耐震装置をプラスした3136が搭載された。そして、このデイトジャスト IIの後継機として16年に登場したのがデイトジャスト41なのである。

 最大の違いは、その3136に代わって今後の主力ムーヴメントとして開発された3235が搭載された点である。革新的な技術によってエネルギー効率を高めることに成功したこの3235。極めて高い精度を維持することはもちろんのこと、パワーリザーブもデイトジャスト II の48時間から70時間へとユーザビリティーも格段に向上している。

新旧のデイトジャストを実機で比較してみた

右側が現行のデイトジャスト41(Ref.126300)、左側が旧モデルのデイトジャスト II(Ref.116300)である。実機を実際に見比べても外装面での明確な違いは感じなかった。ただ、あくまでも筆者の私見だが、デイトジャスト41のほうがラグ部分やベゼルが細身で全体のフォルムもシャープになったように感じた。ブレスレットのレファレンスがRef.72210から72610に変更されているので、デイトジャスト36同様に設計上は多少手を加えているのかもしれない

 今回、実際に実機を見比べながら外装面の違いについても比較してみたのだが、見た目ではその違いはあまり感じられなかった。ただ、デイトジャスト IIと比べるとラインナップ的にはバリエーションが増えているため、かなり選択肢が広がっている。なかでも特筆すべきはジュビリーブレスが新たに選択できるようになったことだろう。それによってかなり見た目の雰囲気が変わってくるからだ。

 さて気になる価格だが、両者の国内定価を税抜き価格で比べると68万円に対して73万6000円と5万6000円の差(実は2020年1月1日の定価改定で値上げされる前は70万6000円で、その差は2万6000円だった)。最新ムーヴメントの高性能さを考えると致し方ないのかもしれない。

デイトジャスト36よりも5mm大きいため、着けたときの存在感はまったく違う。人気の文字盤は圧倒的にバーインデックスタイプで、カラーはブルー、ブラック、シルバーとこの3色が人気

 また、並行輸入の価格だと、2018年9月頃までは定価以下でも買えたデイトジャスト41も残念ながらオールステンレス系は80万円台半ばから90万円前後と定価よりも高いプレミアム価格で流通するようになってしまった。ただ、ゴールドとステンレスのコンビ系は、ベゼルがホワイトゴールドのタイプは若干定価を上回るが、イエローやピンク系ゴールドとのコンビモデルは、人気が低いせいか1割弱ほど定価を下回るようだ。

 一方の旧型のデイトジャストIIも値上がりし、ユーズドでも70万円台と、当時の定価が73万4400円だったことを考えるとこちらもプレミアム価格と言えるほどだ。デイトジャスト41のユーズドも70万円台半ばから流通しているが、まだ流通して3年ぐらいしか経っていないため80万円台前半が多く、新品との差が大きいと感じるほどでもない。そのためデイトジャスト41なら少し頑張って新品を狙った方が良さそうである。

スムースベゼルにも展開された5連のジュビリーブレス

 デイトジャスト41から新しく展開されるようになったのが、この5連のジュビリーブレスタイプだ。スポーツモデルにも採用される3連のオイスターブレスに比べて、ドレッシーな雰囲気はずいぶんと強まって見える。

 しかも今回は、ホワイトゴールド製のフルーテッドベゼルだけでなく、写真のようなステンレススチール製のスムースベゼルタイプにも用意されたことは大きい。オイスターブレスレットモデルに比べて、国内定価ベースでは2万円ほど割高だが、見た目の高級感を高めたい人にはジュビリーブレスがおすすめだ。

■Ref.126300。SS(41mm径)。100m防水。自動巻き(Cal.3235)。国内定価80万9600円(オイスターブレス)、83万1500円(写真のジュビリーブレス)

菊地 吉正 – KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。