セイコーの伝統工芸“愛”がスゴすぎる、“プレザージュ”から発売された有田焼&琺瑯モデルに注目!

 いま国産時計ブランドで新たな付加価値として注目されているのが、日本古来の伝統工芸だ。文字盤やストラップにこうした伝統工芸を取り入れることで、日本的な美が強調されたモデルから、有田焼と琺瑯(ほうろう)に焦点を当てて、注目の4モデルを紹介しよう。

日本で育まれた伝統工芸の“美”を腕時計のデザインに融合

 近年になって日本古来の伝統工芸を融合した腕時計が増えてきている。その先鞭をつけたのは、いまやセイコー プレザージュを代表するモデルともなっている“ほうろうダイヤルモデル”だ(2014年にレギュラー化)。
 このモデルの販売戦略で巧みだったのは、一般的な呼び方である“エナメル”ではなく、“ほうろう”という和名を用いて打ち出した点だろう。折しも当時は国産機械式時計の魅力が改めてフィーチャーされていた。そんななか、日本的な表現を用いて“日本色”が強調されたほうろうダイヤルモデルに注目が集まったのは、必然だったとも言える。それまでほとんど高級時計にしか用いられてこなかったエナメル文字盤を手の届く価格帯で展開したという点も見逃せないだろう。
 プレザージュではこのヒットを受け、漆、七宝といった伝統工芸系のモデルを展開。2019年には有田焼まで投入し、いまやこのジャンルにおける牽引役となっている。
 今回は、そんな注目の伝統工芸系モデルから、編集部がおすすめしたい4モデルをクローズアップしていこう。

【伝統工芸と腕時計-其の一】
有田焼とは?
 1616年に生まれた日本初の磁器。 “有田焼ダイヤルモデル”の文字盤は著名な陶工、橋口博之氏によって製作されており、初期の有田焼に用いられていたという柞灰(いすばい)釉の淡く青みがかった白を再現し、美しさと視認性を両立させた。一方、特筆すべきは原材料から見直しを図り、耐久性という磁器の弱点も改善されている点だ。新たに開発した高強度の磁器素材を用いて、なんと従来の4倍以上の強度を実現しているという。

》有田焼文字盤ができるまで

01:鋳込み
 はじめに行われる鋳込み工程では、立体的な文字盤の生地を作り上げる。次に、文字盤生地を約1300℃で焼き固め、腕時計にふさわしい強度を得る。

02:施釉・焼き上げ
 人の手作業で釉薬(うわぐすり)を施された文字盤を、再び焼き上げることで、表面に有田焼らしい淡く青みがかった美しい光沢が生まれる。

03:仕上げ
 最後に針の軸穴やカレンダー部分が切り抜かれ、仕上げ焼きを行う。これにより断面がスムーズになり、強度を兼ね備えた文字盤のベースができあがる。

》編集部のおすすめモデル-01
SEIKO PRESAGE(セイコー プレザージュ)
有田焼ダイヤルモデル
 有田焼を文字盤に採用したプレザージュの話題作。新たに開発された硬度を高めた磁器素材を採用し、腕時計の文字盤としての耐久性を獲得している。磁器の質感が味わえるわずかに青みを帯びた白の文字盤に、6時位置にカレンダー表示、9時位置にはパワーリーブインジケーターを搭載している。また文字盤に映えるブルーの針やローマンインデックスを採用し、クラシックな雰囲気を演出。12時のレッドカラーも、アクセントとなっている。

■Ref.SARW049。SS(40.6mm径)。10気圧防水。自動巻き(Cal.6R27)。22万円

【問い合わせ先】
セイコーウオッチお客様相談室(TEL.0120-061-012)
https://www.seikowatches.com/jp-ja/products/presage/sarw049

 

》編集部のおすすめモデル-02
SEIKO PRESAGE(セイコー プレザージュ)
有田焼ダイヤルモデル
 高級時計などで採用されるエナメル文字盤とも、また違った質感を楽しめる有田焼文字盤。この質感に合わせて、細く繊細な針が採用されており、上品かつ温もりある雰囲気が魅力だ。ちなみに国産初の腕時計、ローレルの意匠が取り入れられている。著名な陶工、橋口博之氏の監修により製作された有田焼文字盤は、磁器ならではの独特の質感を生み出しつつ、文字盤としての強度を両立させるため、新たに高強度の磁器素材を開発。従来の約4倍以上の強度を実現し、実用にも耐えうる文字盤を作り上げた。

■Ref.SARX061。SS(40.5㎜径)。10気圧防水。自動巻き(Cal. 6R35)/19万8000円

【問い合わせ先】
セイコーウオッチ お客様相談室(TEL.0120-061-012)
https://www.seikowatches.com/jp-ja/products/presage/sarx061

 

【伝統工芸と腕時計-其の二】
琺瑯(ほうろう)とは?
 ほうろうとエナメルは単に呼び方の違いであり、基本的には同じである。ちなみにほうろうでは下地に鉄やアルミが用いられているのに対して、金や銀を用いたのは七宝と呼ばれる。わかりやすく言うなら前者が実用、後者が工芸というように区別できるだろう。さらに言うと、エナメルには、高温で焼成したホットエナメルと低温で乾燥させたコールドエナメルの2種があり、ほうろうは前者に分類される。

》琺瑯(ほうろう)文字盤ができるまで

01:前処理
 文字盤の原型となる金属には酸化防止の油分が付着している。その油分を抜くために脱脂をしてから、酸洗、ニッケル処理、中和処理を行う。この前処理がほうろう製品の品質を左右する。

02:釉製造
 文字盤に最適な釉薬を作り、これをベースの表面に塗布。釉薬は気温や湿度の影響を受けやすいため、その日の天候に合わせた調合をしなくてはならない。

03:焼成
 釉薬を塗った文字盤を乾燥させて炉で焼く。この工程によって、釉薬のガラス質が溶け、ほうろう独特のやさしい美しさが生まれる。

》編集部のおすすめモデル-03
SEIKO PRESAGE(セイコー プレザージュ)
ほうろうダイヤルモデル
 国産初の腕時計、“ローレル”にも用いられた、100年経っても色褪せない琺瑯(ほうろう)を使用した文字盤がポイントのプレザージュ 琺瑯ダイヤルモデル。鉄製素材の文字盤に、不純物の極めて少ない粘土、純水、ガラスなどを原料とするうわぐすりを塗布し高温で焼成した琺瑯文字盤は、職人の技でしか生み出せない極めて希少なモデル。デザインはセイコー初の懐中時計、タイムキーパーに用いられたレイアウトを継承している。

■Ref.SARK013。SS(42㎜径)。10気圧防水。自動巻き。27万5000円

【問い合わせ先】
セイコーウオッチお客様相談室(TEL.0120-061-012)
https://www.seikowatches.com/jp-ja/products/presage/sark013

 

》編集部のおすすめモデル-04
SEIKO PRESAGE(セイコー プレザージュ)
ほうろうダイヤルモデル
 独特の柔らかい光沢を放ち、温かみある雰囲気を醸し出す“ほうろう”を文字盤に採用したモデル。また経年変化しにくく、美しい色合いを保ち続けるというのもほうろうの特長だ。西洋ではエナメルと呼ばれ、高級腕時計に採用されるため、発表当時、10万円台という価格が大きな話題となった。

■Ref.SARX053。ステンレススチールケース、レザーストラップ。ケース径40.5mm。10気圧防水。自動巻き(Cal.6R15)。11万円

【問い合わせ先】
セイコーウオッチお客様相談室(TEL.0120-061-012)
https://www.seikowatches.com/jp-ja/products/presage/sarx053