【普通のダイバーズで満足ですか?】今年の夏は、“70年代レトロ”な個性派ダイバーズウオッチに注目

 1960年代後半から70年代にかけて生まれた時計にインスパイアされ、レトロなデザインを採用した腕時計が勢力を拡大している。今回は、この“レトロデザイン”を取り入れた本格ダイバーズウオッチを紹介していこう。

見た目はレトロだが、本格スペックを備えたおすすめの4機種

 弱点である水を克服すべく開発された防水時計が進化し、“ダイバーズウオッチ”という新たなジャンルが生まれたのは1950年代のこと。53年に発表されたロレックスのサブマリーナがその原点的モデルのひとつとされているが、当時、そのダイバーズウオッチの製造は容易ではなく、独自に開発できたのはほんのひと握りだった。市場に普及し、一般のユーザーに浸透しはじめるのは60年代以降である。

 このダイバーズウオッチの普及にひと役買ったのが、EPSA社というケースメーカーだ。同社は独自に開発し、特許を取得したコンプレッサーケースと飛ばれる防水ケースを様々な時計メーカーに供給。多くのメーカーからコンプレッサーケースを採用したダイバーズウオッチが発売され、その特徴であるインナーベゼルと二つのリューズを備えていた設計が、当時のダイバーズウオッチを象徴するスタイルのひとつとして定着したというわけだ。

 他方、ケースの造形に関しては当時流行したスペースエイジデザインを取り入れたものも多かった。このスペースエイジデザインとはアメリカとソ連の宇宙開発競争が本格化していった60年代に一斉を風靡したデザインで、近未来的で奇抜なスタイルを特徴としている。その代表例のひとつである、オーバル(卵形)ケースは見た目どおり耐久性も高いため、オメガのシーマスター1000をはじめとして、様々なダイバーズウオッチに採用されたというわけだ。

 右はEPSA社のコンプレッサーケースを採用して1960年代頃に製造されたサンドスのダイバーズウオッチ。左はオーバルケースを採用したサーチナの1000m防水ダイバーズ。いずれも1960年代〜70年代ならではのアイコニックなデザイン魅力的だ。今回は、この“コンプレッサーケース”と“オーバルケース”をクローズアップし、時を超えて再現した個性的なダイバーズウオッチを紹介していこう。

》 “コンプレッサーケース”採用モデル-其の1
ORIENT(オリエント)
ウィークリーオートオリエント キングダイバー
 オリエントブランドの誕生70周年を記念して発表されたリバイバルコレクション第1弾は、同ブランドのダイバーズウオッチの系譜を築いた1965年発表のキングダイバーだ。本作はそのバリエーションとして70年代に入って展開され一世を風靡した“ジャガーフォーカス”と呼ばれるグラデーションダイアル仕様の復刻版(ISO 規格に準拠したダイバーズウオッチではない)。当時、日本で流行したグラデーションカラー文字盤の先駆けとなったモデルが忠実に再現された。

■Ref.RN-AA0D14G。SS(43.8mm径)。20気圧防水。自動巻き。国内限定1000本。4万9500円

【問い合わせ先】
オリエントお客様相談室(TEL.042-847-3380)
https://www.orient-watch.jp/product/category/item/?item_id=1563&category_id=288

 

》“コンプレッサーケース”採用モデル-其の2
ALPINA(アルピナ)
シーストロング ダイバー ヘリテージ
 1960年代にアルピナが製作したダイバーズウオッチ“アルピナ10”の復刻モデル。当時、採用していたスーパーコンプレッサーケースに範を取ったダブルリューズタイプのケースを採用する。インナーベゼルと文字盤が反転カラーとなったレトロな顔つきだが、30気圧防水を備える本格派だ。

■Ref.AL-525S4H6。ステンレススチールケース、ラバーストラップ。ケース径42mm。30気圧防水。自動巻き。19万6900円

【問い合わせ先】
フレデリック・コンスタント相談室(TEL.0570-03-1988)
https://citizen.jp/flagshipstore/brands/index.html

 

》“オーバルケース”採用モデル-其の1
BULOVA(ブローバ)
アーカイブスシリーズ オーシャノ グラファー デビルダイバー
 1970年代当時、約200m(666フィート)防水を実現したダイバーズウオッチ、オーシャノグラファーの復刻版。防水性の数値が、聖書のヨハネの黙示録に登場する獣(悪魔)の数字“666”であることから“デビルダイバー”と呼ばれるように。2018年の登場以来、1、2を争う人気モデルとなっているが、今年は新色として傑作“アキュトロン”を彷彿とさせるグリーン文字盤が登場した。

■Ref.96B322。SS(44mm径)。20気圧(666フィート)防水。自動巻き。9万2400円

【問い合わせ先】
ブローバ相談室(TEL. 0570-03-1390)
https://bulova.jp/collection/list.php?collection=archivesseries&type=mens&parm=allitems

 

》“オーバルケース”採用モデル-其の2
ZODIAC(ゾディアック)
スーパーシーウルフ68
 ダイバーズウオッチをいち早く開発し、1968年には世界初の飽和潜水用750m防水の“スーパーシーウルフ”を発表するなどで名を馳せたゾディアック。本作はその歴史的モデル、スーパーシーウルフを忠実に再現しつつ、現代の技術を取り入れることで100気圧防水(1000m防水相当)の驚異的なスペックを実現した復刻版だ。オーバースペックのオーバルケースの特徴的なフォルムに加え、オレンジとネイビーの印象的な文字盤の組み合わせが、抜群の存在感を放つ。

■Ref.ZO9504。SS(44mm径)。100気圧防水。自動巻き(Cal.STP1-11)。20万9000円

【問い合わせ先】
フォッシルジャパン(TEL.03-5992-4611)
https://zozo.jp/shop/watchstationinternational/goods/31552490/

 

文◎船平卓馬(編集部)