【わずか数日で目標金額1000%】俳優・木下ほうか氏が語るオリジナル機械式腕時計への思いとそのこだわり!

 個性派俳優として知られる木下ほうか氏は、時計愛好家としても知る人ぞ知る人物だ。そんなほうか氏が自身初となるオリジナルの機械式腕時計の製作にチャレンジを始めたのは2019年6月のこと。それから1年間の開発期間を経てこのほど完成した。自らが命名したという名前は“アウトライン・パートナー1”。そこには「毎日の良きパートナーとして愛用してもらいたい」という思いが込められている。

 去る7月3日より時計専門のクラウドファンディングサイト「ウオッチメーカーズ(WATCH Makers)」にて先行予約をスタート。何と開始からわずか数日で目標金額の1000%以上を達成するほどの高い人気を博す。今回の出来については大変満足しているというほうか氏、このパートナー1について、その思いを語ってくれた。

——— 今回の商品についてどのようなものを目指したのか、その思いを聞かせてください。

オリジナルの時計について木下ほうか氏は「とにかく自分が欲しいと思えるものを作りたかった」と語る

 僕はアンティークロレックスのファンですが、ロレックスの素晴らしさは、完璧なデザインと、絶対的に飽きがこないところ、そして実用性を前提に開発されており道具としてプロフェッショナルさを常に追求しているところに惚れ込みました。

 そして、20年以上前からコツコツとお金を貯めては少しずつ買ってきましたが、アンティークの場合は文字盤の焼け具合だったり、ベゼルの経年変化であったりと、意図的に作られたものではないだけに、すべて自分が求めているようなコンディションのものというのはなかなか出合うのは難しく、常に妥協との戦いでした。しかも、最近は昔と違いとんでもなく高額になったために、よりハードルが上がってしまった感じですよね。

 そのため、今回の開発にあたっては、これまでの経験を生かしながら、とにかくこんな時計があればいいなという理想的な時計、つまり自分が欲しいと思えるものを作ろうと思ったのです。

 人によってはどっかで見たことあって、寄せ集めだなと思うかもしれませんが、文字盤の色であったり針の形であったりと、あくまでも色々なものを見てきたなかで、こういうものがあったらぜったい欲しい、と思えるものとして考えました。

——— 今回、特にこだわった点を教えてください。

時計愛好家の間で「トロピカル」と呼ばれて珍重されているブラウン文字盤。ほうか氏はこの色味にこだわり何度もやり直してもらったと言う

 大きく二つあります。ひとつは文字盤の色ですね。昔のものは文字盤が焼けて変色してきます。なかでもブラウンに変色したものは愛好家の間で「トロピカル」と呼ばれて珍重されています。今回はこの色にこだわり、何度もやり直しをしてもらいました。スタッフは大変だったと思いますよ。内心では相当腹が立っていたでしょうね(笑)

 裏ブタも、通常では小さく刻印されるシリアルナンバーを、愛好家の間ではビッグナンバーと呼ばれていますが、それに倣って(ロレックスのコメックスモデルに表示されたシリアル刻印のこと)あえて大きく刻印してもらいました。これを所有した人たちが「あ〜これは何番目のモデルなんだ」とか常に思ってもらえるようにです。

これも今回こだわったもののひとつ。1950から60年代半ばにかけて、ロレックスのスポーツモデルに使われていた、リベットブレスレットを忠実に再現

 二つ目はブレスレットですね。今回は1950年代半ばから60年代半ばにかけて、ロレックスのスポーツモデルに使われていた、リベットブレスレットを再現したんです。このタイプは現在も、チューダーの現行モデルに対して古っぽさを出すために採用されたりしていますが、それは単に装飾的なものなので、確かに強度と実用性はあるかもしれないですけど、厳密にいうとまったく違う。

 それに対して今回は当時のものに忠実に再現できたのでとてもうれしいです。薄く仕上がっているし、エクステンション付きで伸縮もする。しかも昔はできなかった自分でのコマ詰めもできるようにしたんですよ。実はこれをいちばん実現したかったのです。それと実際にアンティークロレックスにも付けられる仕様にしているため、代替えブレスレットとしてもオススメなんです。

——— 今回、実際に時計作りに携わってみてどう感じましたか。

木下ほうか氏は「自分が描いていた理想の時計を自らも手にできて、しかも人の手に渡って使ってもらえるというのは何よりもうれしい」と語る

 僕が作ったというほど大げさなことはしてないですよ。ただ、自分のアイディアを生かせて、それがすべてひとつに集約されて形になる。しかもそれが世の中に残るという意味でいうと、もう夢ですね。それと、今回何よりもうれしかったのは、何気なく思いついて「パートナーとしての一品」という意味でつけた“パートナー 1 ”がモデル名として使えるとなったときは、さらにうれしかったですね。

 もちろん大きな時計メーカーの製品というわけではないですが、自分が描いていた理想の時計を自らも手にできて、しかも何よりもうれしいのは、人の手に渡って使ってもらえる。買う人たちは僕と同じ気持ちですから、それを共有できるのは本当にうれしいことだと思います。

 また、スタッフにも恵まれたことも大きいと思います。めちゃくちゃ細かくわがままな要求をちゃんと聞いていただいて、それが反映されている。やはりドラマなどもそうですが、ジャンルこそ違いますが、ゼロから何かを作っていくということは、やはりそこに優秀なスタッフあってこそなのだとあらためて痛感しました。

——— 最後に次回作について教えてください。

 みなさん、気が付いたかどうかはわかりませんが“パートナー 1”と末尾に“1”を付けたのは、もちろん“2”があればいいなということを目論んで付けました(笑)。今回みなさんからいい評価をいただいて、ぜひ“パートナー 2 ”を実現したいですね。当然、ぼやっとですが企んでいます。ちなみに、今回がダイバーだったのでそれに準ずるタイプのモデルを考えています。ぜひご期待くださいね。

 このアウトライン・パートナー1は、セイコーエプソン社の自動巻きムーヴメントを搭載する機械式時計。サファイアクリスタル製のドーム形風防に防水性能も10気圧と日常使いにもガンガン使えるスペックだ。現在、WATCH Makersでは、通常定価6万6000円(税込)のところ、数量限定ながらその15〜10%OFFの特別価格で先行予約の受付を実施している。

WATCH Makers

菊地 吉正 – KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。