【初代Gショック5000系の展示も!】WLN女子部がカシオの創業者の1人、“樫尾俊雄“の発明記念館に行ってきました。

 タフネスウオッチの代表格として人気を博すG-SHOCK(Gショック)などを手がける、カシオ計算機株式会社。同社は樫尾四兄弟(忠雄・俊雄・和雄・幸雄)が、次男の俊雄を中心に設立したと言うのは有名な話です。

 今回は、昨年の4月に腕時計専門の出版社に入社し、日々時計について学ぶ毎日である女性編集・松本が、同編集部の女性編集・佐波とともにカシオの創業60年以上の歴史を学ぶべく、2013年に設立された“樫尾俊雄発明記念館”に勉強しに行ってきました。

 東京・世田谷の閑静な住宅街の中心にある樫尾俊雄発明記念館は、樫尾俊雄のアイデアやこだわりが随所にちりばめられたかつての彼の邸宅を改装し、無料で一般解放したもの。

 入場は完全予約制、現在は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため1日の組数を規制しているため、予約の際はご注意ください。

撮影/佐波 優紀(編集部)

 樫尾俊雄の住居であったため記念館ではありますが表札やインターホンなどが設置されていました。それでは早速、カシオの歴史を学んでいきます!

 記念館に入るとまず最初に出迎えてくれたのは、1957年に販売されたカシオの代表モデルである計算機、“14-A”。これをきっかけに、同年カシオ計算機株式会社は設立されました。

 それまでの計算機は桁ごとに0から9までの数字ボタンが縦に並ぶ“フルキー”方式でしたが、14-Aは10個のみのボタンで構成される“テンキー”方式を採用。まさに革命的な計算機だったのです。ちなみに左手で操作して右手で算出された数字を書く、という手法をとるために計算機は左側に設置したそうです。

 また世界に4台しか現存が確認されておらず、うち記念館に展示されていたこのモデルのみ稼働するとのこと。副館長の染谷さんが実際にテンキーを叩いて操作をしてくれたのですが、電卓が当たり前の世代の筆者は大変驚きました。計算を弾き出すまでにカシャカシャと時間をかけて動く数字は、見ているだけでワクワクします。

 加えて当時(昭和32年)の大卒の初任給が1万円以下なのに対し14-Aは48万5000円と、当時の自動車とほぼ同じ値段。いまでは考えられない、とても高級な計算機であったことにも驚愕です。

 


 ここからは時計の総合ニュースサイトらしく、カシオの腕時計について学びます。

 写真はカシオが発売した初めての腕時計、“カシオトロン”。時・分・秒をデジタル表示する機能に加えて、31日まである月と、30日や28日までしかない月を自動判断するオートカレンダー機能を世界で初めて搭載しています。また発表当時のスイス・バーゼルワールドで好評を博したそう。

 カシオにとってオートカレンダー機能を開発するより、それを守る外見(ケース)の製作が1番大変だったそうです。ここからGショックの樹脂性ケースや耐衝撃構造といった革新的なモデルが登場。まさに誕生のルーツとなったモデルと言えます。

 カシオが手がけた時計が年代別に、年表とともにズラリと並び、なかには不滅のベストセラーモデルである初代5000系、通称“オリジン”の展示も。

 発売が1983年とありますのでおよそ40年前に登場したことになります。現行の5000系と比べてもデザインにあまり相違はありません。

 なかでも1番気になったモデルが、2000年に誕生した、世界で初めてデジタルカメラを搭載した“WQV-1”。一旦どういうこと?と思ったのですが、ケースサイドの上部にカメラがついており、ケース下部のシャッターボタンを押すと写真が撮れるそう。ガジェット感たっぷりの時計で、ひと味違った目を引く時計が好きな自身としては心を引くものがありました。

 

 発明王エジソンに憧れていたという樫尾俊雄。世界初を次々と打ち出した彼が生涯で所得した特許は313件もあります。そんなカシオの代表アイテムをひと通りみた感想としては、時代を先取りしていたんだなと思います。

 記事では書ききれませんでしたが、ゲーム機能や紫外線量を測れるもの、またパソコンとリンクできる機能などを搭載した時計も発売されています。もちろん時計に限らず、取得した特許のなかには、当時兄弟たちがハマっていたボウリングのスコアを自動集計するものまで様々。

 スマートフォンなどの電子機器を駆使し、ボウリングのスコアが瞬時に表示できるのが当たり前の時代に生きていますが、便利に生活できているのも樫尾俊雄の発明のおかげと言っても過言ではないと感じました。

 また玄関からふんだんに使われているマホガニーの木材や、自身や家族をイメージして製作されたという目を引くステンドグラスなど、建物としての魅力もある同館。樫尾俊雄の思いやこだわりがつまっているため、発明品に限らず建築物を楽しむのも面白いかもしれません。

 

【樫尾俊雄発明記念館】
住所・・・東京都世田谷区成城4-19-10
開館時間・・・9:30〜17:00
入館料・・・無料
eメール・・・info@kashiotoshio.org
URL・・・https://kashiotoshio.org/

 

文◎松本由紀(編集部)/協力◎カシオ計算機