【国産時計の語れるうんちく】知れば知るほど面白い時計の“歴史”-第5回

第5回 – 知れば知るほど面白い時計の“歴史”②

 調査技術歴史の三つの項目に分けて、国産時計にまつわる“うんちく”を紹介する短期連載企画。第5回は“歴史”項目の第2回目。早速紹介していこう。

 

》クレドールは“セイコー特選時計”を再編したもの?

 セイコーは、1960年代末より“セイコー特選時計”として高級品の需要にこたえる貴金属や宝飾品を用いた高級腕時計を開発していた。

 そして74年、貴金属を素材として使用した時計をグループ化しフランス語で“黄金の頂き”を意味する“CRET DOR”が誕生した。後にステンレスを素材とした高級腕時計“ACIER(アシエ)”とともに79年に再編され、品格と現代性をコンセプトにした“CREDOR(クレドール)”として刷新された。

1974年、クレドールが登場した当初のメンズ・レディースモデル。18金、14金などを用いた華やかな腕時計は、クォーツ式ドレスウオッチとして評価された

 

》戦時中に日本軍が使用していた時計を知りたい

 明治、大正時代とセイコーが国内生産40〜60%と高いシェアを占めていたが、1930年代に入ると吉田時計店などの販売店が、自らも時計製造に本格的に乗り出してきた。

 しかし39年に第2次世界大戦が勃発すると、多くの時計工場は兵器類の製造を担うことを余儀なくされ、国産時計の供給は減少した。

 セイコー製の将校用時計が残されていることからして、セイコーなど一部ブランドは戦中も製造を続けていたようだ。

 

ここもポイント – 爆弾が落下するまでを計測

 第1次世界大戦以降に導入され、旧日本軍で使用された八九式活動写真銃改二、いわゆるガンカメラ用の計測時計。ワンプッシュクロノで30分積算計を備える。セイコー製。

 

ここもポイント – “時”表記が特徴の航空時計

 第2次世界大戦下でパイロットが使用。出車式センターセコンドで“100式”と呼ばれる。写真では見えないが、文字盤6時位置上に“(一日捲)飛行時計”という表記をもつ点が特徴。

 

 次回は同企画の最終回。続けて“歴史”項目をお届けしていく。1964年開催の東京オリンピックについて詳しくお届けするため気になる方は次回もチェックだ。

 

構成◎松本由紀(編集部)/文◎Watch LIFE NEWS編集部