【懐中時計の魅力に開眼!?】英国の時計文化を継承する、ジョセフ&トーマスウインドミルズとは?

 イギリス発のクラシックウオッチ、ジョセフ&トーマスウインドミルズ。懐中時計のエッセンスと腕時計に取り入れた独自のコレクションを紹介していこう。

》産業革命以前の古典的な雰囲気を継承するクラシックウオッチ

 一般的に時計と聞いてまず頭に浮かぶのは圧倒的な知名度を誇るスイスのブランドか、セイコー、シチズン、カシオといった国産ブランド、もしくは近年のシンプル時計人気に火をつけた北欧の時計ブランドあたりなのではないだろうか。
 
 しかし、北欧ブランドがカジュアルウオッチ界を席巻している影で、さりげなくブランドの数を増やしている国がある。それがイギリスだ。

 イギリスの時計ブランドに関して、その特徴をまとめるなら、トラディショナルでやや無骨なデザインというのがポイントとして挙げられる。1940年から50年代に労働者たちが使用していた実用時計をベースにしたモデルや、伝統を重視するお国柄も影響し、産業革命以前に作られていた伝統的な懐中時計の影響を感じさせるデザインが継承されている。今回紹介するジョセフ&トーマス・ウィンドミルズもそのひとつだ。

 ジョセフ&トーマスウィンドミルズは、ジョセフとトーマスのウインドミルズ親子が17世紀にロンドンに設立した時計工房を原点にする時計ブランド。父親のジョセフ・ウインドミルズは17世紀後半のロンドンで最高の時計職人のひとりとされる人物であり、国王の勅命により設立された、時計師のギルドであり、教育機関でもあった“ワーシップフル カンパニー オブ クロックメーカーズ(1631年設立)”のマスターに選出された経歴をもつ。その作品は大英博物館にも展示されており、17世紀〜18世紀に多くの名品を残しているのだが、1737年にトーマスが逝去したことで時計メーカーとしての歴史は一度終焉を迎えることとなる。

 現在のジョセフ&トーマスウィンドミルズは、かつてウインドミルズ家が製作した懐中時計にオマージュを捧げて2006年に創設され、産業革命以前、大ブリテン王国として発展を迎えた18世紀に製造されていた時計や、当時の時計からインスピレーションを得た腕時計のコレクションを展開し、時計好きからもコアな支持を獲得している。


J & T WINDMILLS(ジョセフ&トーマスウインドミルズ)
ミルトン

 この“ミルトン”は、復活を遂げたジョセフ&トーマスウィンドミルズを代表するモデルのひとつ。伝統的な懐中時計に倣ってケースの素材にはシルバー925を使用しており、 現在では主流となっているステンレススチールと異なる、独特の温かみを感じさせる質感が魅力的だ。

■素材:シルバー925ケース(付属のチェーンはステンレススチール製)
■サイズ:ケース径56mm×T17mm(チェーンを含まず重さ130g)
■防水性:日常生活防水
■ムーヴメント:手巻き(ETA社製 UNITAS 6498-2)
■搭載機能:時刻表示
■価格:28万6000円


》優美なルイ14世針を配したツートンダイアル

 文字盤中央とスモールセコンドをゴールドに色分けをしたツートンダイアルが昔ながらの趣を醸し出す。同心円状の装飾を配して文字盤よりも一段下に配置されたスモールセコンド、表面に凹凸を加えて梨地に仕上げた中央部分など、質感を変えることで奥行き感と高級感を演出した点にもこだわりが光る。

シースルーバックの裏ブタから手巻きムーヴメントを鑑賞

 1960年代後半に完成したユニタスの懐中時計用ムーヴメントの流れを汲んだ、ETA社の手巻きムーヴメントを搭載。直径56mmのシルバー925ケースは裏ブタがシースルーバック仕様になっており、サファイアガラス越しに簡潔にして堅牢な設計と、ロービートで駆動するテンプの動きを楽しむことができる。コート・ド・ジュネーブ装飾を施した受け板に刻印された、ウインドミルズ家のホールマークもマニア心をくすぐる。


J & T WINDMILLS(ジョセフ&トーマスウインドミルズ)
スロッグモートン

 懐中時計“ミルトン”を腕時計にアレンジした同社の代表作。ケース、文字盤のクラシックなデザインをそのまま継承しており、文字盤中央とスモールセコンドをゴールドに色分けをしたツートンダイアルが昔ながらの趣を醸し出す。

■素材:シルバー925ケース
■サイズ:ケース径37.5mm×T8.8mm
■防水性:非防水
■ムーヴメント:手巻き(Cal. ETA2804-2)
■搭載機能:時刻表示、デイト表示
■価格:17万6000円


》二つの仕上げで高級感を高めたエレガントな文字盤デザイン

 文字盤中央とスモールセコンドをゴールドに色分けをしたツートンダイアルには、装飾的で優美な雰囲気を醸し出すルイ15世針を配置。表面に凹凸を加えて梨地に仕上げた中央部分など、質感を変えることで奥行き感と高級感を演出した点にもこだわりが光ります。元になった懐中時計ミルトンはスモールセコンド仕様でしたが、スロッグモートンはセンターセコンドに仕上げられているのも特徴だ。

》コンパクトなサイズながら懐中時計を思わせるデザインが個性を主張

 ケースサイズは37.5mmで、厚さは8.8mm。懐中時計にベルトを付けて腕時計にアレンジしたかのような形状がクラシックでエレガントな雰囲気を主張します。ケースの素材に採用されているシルバー925は、化学変化を起こしやすいため表面が経年変化で黒ずんでくるのが特徴。クロスなどで優しくケースを拭くことで美観を保ちつつ、黒ずみ自体をエイジングとして楽しむのも魅力となっている。

》シースルーバックから搭載するスイス製手巻きムーヴメントを鑑賞

 裏ブタはシースルーバック仕様。中央部分にミネラルガラスがはめ込まれており、搭載している機械式の手巻きムーヴメント(Cal. ETA2804-2)の動きを楽しめます。裏ブタの外周にはジョセフ & トーマス ウィンドミルズの伝統的な装飾である花模様(ウィンドミルズ・フローラル) のレリーフが刻まれ、エレガントな雰囲気を加えている。

【問い合わせ先】
シーズ・ファクトリー(TEL.03-5562-0841)

【発売サイト:ジョセフ&トーマスウインドミルズ発売サイト
https://timegear-onlineshop.com

 

文◎船平卓馬(編集部)