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ぜひ手に入れておきたいヴィンテージ [第1回]|エクスプローラー、Ref.1016|ロレックス通信 No.170

 最近は秋を通り越して、いきなり冬になったような感じだが、いよいよアンティークウオッチが楽しめる季節がやってきた。ということで今回から数回にわたって「ぜひ手に入れておきたいヴィンテージ」と題して、アンティークウオッチの初心者でも楽しめる、1500系の自動巻きムーヴメントを搭載する4桁レファレンスに注目してみたいと思う。

 その第1回はエクスプローラーのRef.1016である。369インデックスが代名詞のいたってシンプルなデザインに36mm径の小振りなサイズで、筆者も一番好きなモデルである。そして取り上げる1016はエクスプローラーで3代目にあたるレファレンス。1963年から88年までと約25年間も製造されたロングセラーだ。そのため現在でも比較的に市場では見つけやすい。

エクスプローラーの第3世代、Ref.1016。3・6・9だけをアラビア数字にしたデザインは視認性を高めるために考案されたもの。このスタイルは69年経ったいまでもほとんど変わっていない

 購入にあたっての大きなポイントは、途中でムーヴメントがブラッシュアップされたため、前期と後期に分けられている点だ。

 前期型が搭載する自動巻きムーヴメントは毎時1万8000振動のクロノメーター仕様、Cal.1560。対して72年頃にCal.1570となった後期型は毎時1万9800に振動数をアップ、精度の安定度が高まっている。加えて精度調整は緩急針からマイクロステラスクリューに変更されメンテナンス性も向上。ゼンマイの巻き上げ効率も高まり秒針停止機能(通称ハック)も装備された。

 このように性能面でいうと当然おすすめはブラッシュアップされた後期型となるのだが、前期型はそのぶん価格が若干割安だったりする。前期、後期ともにカレンダー機構も装備されていないとてもシンプルな構造のため、ムーヴメントだけでいえばどちらも壊れにくく扱いやすい。

Ref.1016のひとつ前の第2世代、Ref.6610の写真。分目盛りが円を描くようにつながったこの通称ミニッツサークルが1016の初期の個体にも採用されている。当然文字盤は艶のあるミラーダイアル仕様のいわゆるMMダイアルである

 なお前期型には、生産初期のモデルに黒文字盤に艶があるミラーダイアルと呼ばれるものや、分目盛りが外周に沿って線でつながっているミニッツサークル(上の写真)と呼ばれる仕様が存在する。これは極めて希少ということからグンと高額となるため注意を。ちなみに「ミラーダイアル+ミニッツサークル」は“MMダイアル”、ミラーダイアルだけの場合は“Mダイアル”の通称で呼ばれている。

 また、後期型でも生産最終期に製造されたシリアルナンバーにRやLが付いたものは製造数が少なく、こちらもグンと高額になるため覚えておいてほしい。

 さて気になる現在の相場だが、エクスプローラーは、サブマリーナーやGMTマスターよりも残念ながら高額となる。コンディションによっても違うが、狙う目安としては筆者の感覚だと200万円台半ば前後といったところだろうか。

筆者は1016(後期型)のブレスレットを、児島ジーンズの協力で開発し、9月から当Watch LIFE NEWSオンラインSHOPで販売中のアウトライン・クラッシュデニムベルトに付け換えて楽しんでいる

 冒頭でも触れたが、エクスプローラーは、サブマリーナーやGMTマスターなどと違い、36㎜径と小振りなサイズでしかも薄く、着けやすく使用シーンが広い。加えて顔も適度にスポーティでとにかく飽きないし、ファッションにも合わせやすい。簡単に手の出せるレベルの価格ではないが、ロレックスの日常使いできるアンティークモデルとして楽しむうえではオススメである。

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菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。
2019年から毎週日曜の朝「総編・菊地吉正のロレックス通信」をYahooニュースに連載中!

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