アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。
ミネルバ
クロノグラフ
1930年代にミネルバが製造したクロノグラフの名キャリバー13-20CHを搭載したモデルで、大変珍しいクッションケースが採用されている。ミネルバはストップウオッチやクロノグラフの名門として有名なメーカーであり、数多くの名作を送り出してきた。
搭載するCal.13-20CHは、2カウンターかつ、スタート・リセットのプッシャーがリューズから離れた位置にレイアウトされている点が特徴となったミネルバの自社製ムーヴメントだ。今回紹介するモデルも、通常のクロノグラフと比較すると、プッシャーがラグ側に寄っていることがおわかりいただけるだろう。この配置は、単に設計の違いとも言えるが、一方でリューズの操作時に指がプッシャーと干渉しづらいというメリットがある。

【写真の時計】ミネルバ。SS(33mmサイズ)。手巻き(Cal.13-20CH)。1930年代。154万円。取り扱い店/キュリオスキュリオ
文字盤はブラックミラーに下地出しのシルバーレターで、若干の経年変化と小傷があるものの、ミラー感が残った良い状態だ。外周にテレメーター、中央にスネイルタキメーターが入ったクラシカルなデザインが素晴らしい。ケースはステンレススチール製。クロノグラフにクッションケースは、大きいサイズのケースを連想させる組み合わせだが、コンパクトなCal.13-20CHのおかげで33mm径の小振りなサイズを実現している点も見逃せない。
さらにこの個体の裏ブタにはドイツの航空会社、フェアチャイルド・ドルニエ社のマークと思われるエングレービングが刻まれている。ベルト取り付け部はパリス管(はめ殺し)でオープンエンドタイプの革ベルトを装着しているが、引き通しタイプのベルトに交換しても良いだろう。
実用できる計測機器として作られた時計ならではの機能性と、幾何学的なバランスが美しい逸品だ。
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文◎LowBEAT編集部