アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。
ハミルトン
イギリス陸軍 W-10
今回紹介するのは、1970年代にハミルトンがイギリス陸軍に支給していたミリタリーウオッチである。
近年、ハミルトンが“カーキ アビエーション パイロット パイオニア メカ”として復刻したため、どこか見覚えがあるという方もいるのではないだろうか。斜体のブランドロゴに独特のミニッツマーカーは復刻モデルでも忠実に再現されていた。復刻版のアビエーションという名前からも空軍パイロット用を連想させるが、陸軍や海軍でも同じものを使用しており、今回紹介する個体はそのなかでも製造数が多い陸軍用だ。

【写真の時計】イギリス陸軍 W-10。SS(32.5×35.5mmサイズ)。手巻き(Cal.649)。1973年頃製。19万8000円。取り扱い店/キュリオスキュリオ 商品ページに移動
陸軍、海軍、空軍を区別するには裏ブタに刻印されたNATOコードを見れば明らかで、陸軍では“W10”のコードが用いられた。ちなみに、空軍の場合は“6BB”、海軍は“0552”と表記されている。またそれぞれにシリアルナンバーも与えられており、この個体の“1205/73”という数字から1973年に納入されたことも読み取れる。
ステンレスの塊をくり貫いて成形したワンピースケースに防水型のテンション風防で防水性を高め、ムーヴメントにはインカブロックの耐震装置が装備されているため、日常的な使用にも耐えうるスペックを備えている。
ムーヴメントにはシンプルな手巻き式のCal.649(ETA2750)が搭載されており、量産されていたことも相まって非常に信頼性が高い。
大量生産を意識して製造された時計ではあるが実用性と耐久性の高いこのモデルは、アンティークウオッチの入門機としてもオススメできる逸品だ。
また当時のミリタリーウオッチの特徴として、バネ棒の破損などによる脱落を防止するために、ベルトの取り付け部分がはめ殺し式になっている。そのため、基本的にはNATOベルトや引き通し式のベルトを装着することを想定して作られている。装着できるベルトは限られてしまうが着脱が容易なため、ベルトでコーディネートを楽しみたいという人にもうってつけの時計と言えるだろう。
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文◎LowBEAT編集部/画像◎キュリオスキュリオ