アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。
モバード
カレンドグラフ
今回紹介するのは、1940年代にモバードが製造したトリプルカレンダー機能を備えた腕時計“カレンドグラフ”だ。
通常のアナログ式腕時計では、日付けや曜日を表示するカレンダー機能が一般的だが、トリプルカレンダーと呼ばれる時計は、“月”まで表示することを可能にしている。

【写真の時計】モバード カレンドグラフ。SS(32.5mm径)。手巻き(Cal.470)。1940年代製。22万円。取り扱い店/ダイワ時計店
一見、秒針にも見える特徴的な赤いポインターのついた針は、文字盤外周の“日付け”を示し、3時方向の小窓で“月”、9時方向で“曜日”が表示されるデザインで、非常にバランスの取れた配置が魅力。曜日・月表示には同シリーズのなかでも珍しいポルトガル語表記が使用されている。希少なブラック文字盤は、夜空のような雰囲気のあるエイジングが魅力的だ。
SSケースはフランソワ・ボーゲル社の特許でもある“アクバティック”と呼ばれるインナーキャップスクリューバック防水ケースが採用されている。これは、ネジ込み式裏ブタと内ブタを備えた2重構造になっており、防塵、耐磁性能を高めることを目的としていたと考えられる。エッジが立ち、平滑面がしっかりと出たラグやベゼルが美しいケースだ。
がっしりとしたケースのなかには、モバード特有の曲線的な受板が特徴の手巻き式ムーヴメントのCal.470を搭載。ベーシックな3針機械がベースであるものの、主ゼンマイに取り付ける角穴車と、その巻き上げ動力を伝達する丸穴車のネジが特殊な工具を必要とする形状であるため、モバードの修理実績のある専門店で整備することをおすすめする。
現行品ではコストが掛かりすぎて真似できない機構や文字盤の塗装など、こだわりの詰まった仕上がりの時計が30万円以下で購入できる点は、アンティークウオッチならではの魅力と言えるだろう。味わい深いデザインの時計を探している人や、黄金期のモバードの時計を探している人は要チェックの1本だ。
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文◎LowBEAT編集部/画像◎ダイワ時計店