アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。
ラド―
キャプテンクック
今回紹介するのは、ラドーが1970年代に製造したキャプテンクックだ。
キャプテンクックといえば、現在のラドーでも60年代のデザインを再現したコレクションがラインナップされており、ご存じの愛好家も多いだろう。しかし、今回紹介するモデルは、そうしたクラシックな意匠とは一線を画す。70年代のスペースエイジデザインの影響を色濃く受けた、流線型のフォルムが特徴的な1本だ。
ケース内部に回転ベゼルを納めたインナーベゼル構造が特徴で、0~20分の位置に赤いカラーリングを施すことで、経過時間の判読性を高めている。3時位置のリューズはインナーベゼルの操作用、4時位置に埋め込まれたリューズが時刻およびカレンダーの調整用となっている。

【写真の時計】ラドー キャプテンクック。Ref.11773/2。SS(37mm径)。自動巻き(Cal.AS1858)。1970年代製。16万8000円。取り扱い店/米田屋
【画像:インナーベゼルやブレスレットの状態を見る(全5枚)】
黒地の文字盤にクリーム色の夜光が良く映えるデザインが特徴的で、スポーツウオッチらしい顔立ちに仕上げられている。アプライドのインデックスや、ラドーのアイコンでもある12時位置の回転する錨マークが文字盤に立体感を与え、高級感を演出している。
また、非常に希少な純正のジュビリーブレスレットを装着している。加えて男心をくすぐるギミックとして、ワンプッシュで長さを調整できるアジャスター構造を内蔵したバックルが装備されている点にも注目だ。
当時はスポーツユースを意識した防水時計であったものの、アンティークであるため防水性はあまり期待できない点に注意したい。裏ブタのパッキンなどは交換できるかもしれないが、リューズパッキンなどの交換が困難である可能性が高いため、シリコングリスなどを塗布してもらい、湿気や水気を避けて使用することが望ましいだろう。
ムーヴメントにはア・シールド社のCal.1858を搭載。厚みこそあるものの、地板や受け板に十分な厚みがあり、耐久性に優れたムーヴメントだ。この年代の時計としては珍しく、片方向巻き上げの自動巻き機構が搭載されているが、適切な整備を行えば、いまなお十分な巻き上げ効率を発揮するだろう。ムーヴメントの設計次第ではあるが、ローターの慣性を利用した片方向巻き上げ式は、わずかな動きでもローターが空転し、その反動でゼンマイを巻き上げるため、意外にも優れた巻き上げ効率を誇っている。とは言え、安定した精度を維持するためにも、時計を使い始める前に10~20回ほど、手巻きでゼンマイを巻き上げることをおすすめしたい。
アンティークウオッチのなかでも、ひときわ個性的かつアイコニックなデザインの本モデルは、人と被らない1本を探している"逆張り"志向の愛好家にこそふさわしいと言えるだろう。ミリタリースタイルやアメカジといった無骨なファッションとの相性も抜群だ。
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文◎LowBEAT編集部/画像◎米田屋