アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。
テクノス
スカイダイバー
今回紹介するのは、1960年代に製造されたテクノスのスカイダイバーだ。
現在では、クォーツ式を中心としたリーズナブルな時計を手掛けているブランドだが、かつては高品質な腕時計を数多く手がけていたスイスの名門ブランドだ。日本市場においても、70年代頃に、テレビ番組へ商品提供をすることで、スイスの高級時計としての知名度を高めていた。
今回紹介する個体も、60年代当時にスイスで製造が行われていたものだ。スカイダイバーは日本国内での知名度こそ低いものの、アンティークダイバーの愛好家や海外のコレクターを中心に高い人気を集めるシリーズで、いまなお高値で取引されている。同社のアンティークウオッチは基本的に10万円以下の手ごろな価格で手に入る一方で、スカイダイバーは15万円から20万円を超える価格で取引されることも多く、その人気の高さがうかがえる。

【写真の時計】テクノス スカイダイバー。SS(37mm径)。自動巻き(Cal.AS1700)。1960年代製。23万8000円。取り扱い店/ジャックロード
【画像:スクリューバックの裏ブタやケースの状態を見る(全4枚)】
本個体はインデックスやフォントのバランスが美しく、深みのあるブラック文字盤とクリーム色に経年変化した夜光の色合いがアンティークらしさを感じさせる風合いだ。また、真鍮(しんちゅう)にメッキを施したアンティークダイバーも数多く存在するなかで、オールステンレスのケースを採用している点も魅力のひとつと言えるだろう。
長く伸びたラグが特徴的なステンレススチール製ケースには、ネジ込み式のリューズと裏ブタを採用し、ダイバーズウオッチとして実用的な性能を実現していた。この防水ケースはテクノス以外にも、タイタスやエドックスのダイバーズウオッチで採用されていたため、同一のケースサプライヤーから供給されていたものと考えられる。ただし、裏ブタやリューズのパッキン、風防の劣化が考えられるため、現状では非防水として扱うことを推奨する。
ムーヴメントには、ア・シールド社製のCal.1700を搭載。当時のスイス製腕時計に幅広く採用されていたムーヴメントであるため、適切な整備を行えば安定した性能を発揮するはずだ。整備性についても、非常にシンプルな設計であるため、強い衝撃や振動、湿気を避ける適切な使用を心掛ければ、トラブルの起こりにくい優秀なムーヴメントと言えるだろう。
当時のダイバーズウオッチとしては標準的なスペックであり、特筆すべきギミックこそ備えていないものの、優れたデザインバランスと実用性を兼ね備えたサイズ感が魅力。重厚感あふれるブラック文字盤、エイジングによって落ち着いた風合いを見せる回転ベゼル、そして堅牢でコンパクトなケース。武骨でツール感あふれるこの1本は、アンティークのダイバーズウオッチを楽しむうえでぜひ手に取ってほしい1本だ。
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文◎LowBEAT編集部/画像◎ジャックロード
