
アウトライン・セコンドセッティングは1940年代にロンジンやオメガ、そしてジャガー・ルクルトなど名だたる時計メーカーが製造を担ったことでも知られる、軍用パイロットウオッチから着想を得て開発したモデルである。そこで今回はこのモデル最大の特徴とも言える双方向回転ベゼルを固定する独特なロック機構についてあらためて紹介したいと思う。
60秒表示の目盛りが付いたこの双方向回転ベゼルは、時速数百キロメートルで飛行する航空機では、1秒の違いで距離に大きな誤差が生じてしまうため当時秒単位まで正確に計測できるようにと装備されたものだ。

使い方はいたって単純で、ベゼル上の“60”の位置を計測開始時の分針の位置にセットするというもの。つまり最初の位置から分針と秒針がどれだけ動いたかで秒単位まで経過時間が細かくわかるという仕組みだ。これがいわば“セコンドセッティング”という愛称の由来にもなっている。
しかし、計測後にベゼルが動いてしまうと実際の時間よりも短くなったり長くなったりと正確性に欠ける。それを防ぐために設けられたのがベゼルを固定するロック機構だった。つまりセコンドセッティングはベゼルロック用の大きめのボタン(4時位置)と時刻調整の通常リューズ(3時位置)の二つを装備するのが基本スタイルだ。

左がロックした状態、右がボタンを回して解錠。留め具がベゼルの刻みに噛み合っていないのがわかる。この両サイドの突起部分によって留め具が回転しないようになっている
なお、冒頭でも触れたように、複数の時計メーカーが製造を担っており基本スタイルは同じだが、ロック機構の位置は2時か4時のどちらかでメーカーによって違っていた。加えてロック機構の止め金具の構造もメーカーおよび時代によっても微妙に違っていて、今回アウトラインが再現したのはイギリス空軍に納入された当時のロンジンが開発した構造だ。
実はこれ、なかなか考えられた作りなのである。金具両サイドの二つの爪が2カ所で噛み合うしっかりとした構造が取られている点やその止め金具の両サイドにはロック解除で金具を緩めたときにそれ自体が回転しないように突起が設けられているなど、操作面にもしっかりと配慮されているのだ。
しかもネジを締めて固定したときには、さらに堅牢性が増すよう工夫されているなど、まさにセコンドセッティングウオッチの生みの親でもあるロンジンならではのこだわりが感じられる作りとなっている。

当時のロンジン製セコンドセッテイング。これのロック機構を再現した
文字盤カラーだけじゃない。ベゼルのデザインも微妙に違います!
さて、アウトラインのセコンドセッティングだが、現在、ブラック、ブルーグラデーション、そして通称トロピカルと呼ばれるブラウンと3種類の文字盤カラーで展開している。加えて軍用としても知られるハシゴ型のバンブーブレスが標準装備されていることもあってよりミリタリー色を強めたスタイルもポイントだ(ブラック文字盤のみ革ベルト仕様あり)。
【画像】詳細スペックと3種類のカラーバリエーションをチェック!
また、ベゼルの60秒表示の目盛りと文字盤の表現も微妙に変えている。王道のブラックはロンジンスタイルで、目盛りのアラビア数字は10秒おきの表示。一方のブルーとトロピカル文字盤は当時のジャガー・ルクルトスタイルでベゼルの目盛りは5秒ごとに細かく表示し、文字盤中央のセンターサークルがデザインに程よいアクセントを加えているのだ。ぜひ上のリンク先にある写真で見比べてもらいたい。どれもなかなかの雰囲気で迷ってしまうぐらいだと思う。
搭載するムーヴメントはシチズン傘下のムーヴメントメーカー、ミヨタ製Cal.9039。薄型で毎時2万8800振動の高性能機である。
購入は公式オンラインショップ
https://shop.powerwatch.jp/webshop/category/item/item-watch/outline/second/
