アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。
ゼニス
Tipo CP-2 クロノグラフ
今回紹介するのは、1960年代に製造されたと思われるゼニスのTipo CP-2 クロノグラフだ。
本シリーズは、ローマに拠点を置くカイレリ社が、イタリア軍向けに製造を依頼したパイロットウオッチとされている。およそ2500本が製造されたものの、イタリア軍の発注が途中でキャンセル、または縮小されたことで未支給在庫がカイレリ社に残り、その一部が民間向けに販売されたと言われている。
そして今回紹介する個体は、裏ブタに軍支給品であることを示すAMIの刻印がないことから、民間向けとして市場に流通したものであると思われる。とは言え、“A. Cairelli Roma”とプリントされた文字盤や回転ベゼル付きのケースなど、構成されるパーツに関しては軍用モデルと同一のものが使用されているようだ。

【写真の時計】ゼニス Tipo CP-2クロノグラフ。SS(43mm径)。手巻き(Cal.146DP)。1960年代製。165万円。取り扱い店/ジャックロード
【画像:回転ベゼルのインサートや文字盤の状態を確認する(全6枚)】
60年代当時としては大振りな43mm径のケースを採用し、3時・9時位置の2カウンターや回転ベゼルを備えたパイロットウオッチとして仕立て上げられている。スクリューバックの裏ブタを採用した、堅牢で気密性の高いケース構造も、ミリタリーウオッチに由来する本個体ならではの魅力だ。
軍で使用されていなかった民生品であるため、目立ったキズや打痕も見られず、文字盤・針・ベゼルの全体的なコンディションも非常に良好である。イタリア軍の支給品として納入された個体の中には、F-104パイロットが装備していたという逸話も残されているそうだ。
裏ブタに刻印されたTipo CP-2とは、イタリア軍の装備仕様を示す名称であり、直訳すると“腕用クロノグラフ・タイプ2”という意味になる。タイプ2があるということは、もちろんタイプ1も存在し、Tipo CP-1という表記で分類されていた。
この二つは主にサイズに違いがあり、Tipo CP-1はやや小ぶりでブライトリングやレオニダスが製造を担当し、Tipo CP-2はゼニスやユニバーサル・ジュネーブが製造していたとされている。
ムーヴメントには、ユニバーサル・ジュネーブが開発した手巻きクロノグラフムーヴメントをベースに、ゼニスとモバードが共同開発したcal.146DPを搭載。コラムホイールによってクロノグラフの動作を制御する重厚な設計も魅力的だ。
ミリタリーウオッチとして誕生したものの、偶然が重なって民生品として使用されることとなったゼニスのTipo CP-2。製造から半世紀以上が経過しているが、ミリタリーウオッチとしての確かな実力を備えているため、現在でも実用に耐えうるアンティーク時計として注目したい。
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文◎LowBEAT編集部/画像◎ジャックロード
