
今回は、1944年に開発されたイギリス軍向け軍用時計のデザインを当時と同じスモールセコンド付き手巻き式ムーヴメントで再現した“ミリタリーType1940”について取り上げる。
イギリス軍の管理コードW.W.W.として知られる当時の軍用時計は、推定製造数が14万本以上といわれており、当時の軍用時計としては圧倒的に多かった。そのため当然1社では製造を賄えず、オメガなど名だたるスイスの時計メーカー12社が担当したことでも知られる。このことから1960年代の戦争映画で第2次世界大戦中のノルマンディー上陸作戦を遂行する12人の囚人を描いた“The Dirty Dozen(邦題:特攻大作戦)”にちなんで “ダーティダース”の愛称でも呼ばれる歴史的な傑作である。
下の写真は当時のダーティダースである。左がシーマ、右はジャガー・ルクルトが製造した個体だ。ご覧のようにムーヴメントこそ違ったものの基本デザインについてはすべて同じに作られていた。これは軍用であるための条件として軍では防水性能以外にも、“手巻きスモールセコンドムーヴメントを搭載すること”、そして“黒文字盤にアラビア数字を使い、数字と時分針ともに夜光とする”といったように視認性を重視した統一規格が定められていたからだ。

例えば、スモールセコンド表示。秒単位で確認しやすいように時分針とは別に6時位置に独立配置されたムーヴメントが選ばれている。インデックスもローマ数字やバーではなく、一貫してアラビア数字でしかも太めの書体。加えて文字盤外周にあるミニッツインデックスもレイルウエイと呼ばれる線路のようにつながったわかりやすいデザインが採用されている。もちろん時分針も視認性を優先して太めのデザインが採用された。
そしてこのデザインはその後も様々な軍用時計に受け継がれている。後に登場するIWCのマーク11や50年代にアメリカ軍が採用したハミルトンやエルジンなどがそうだ。このようにダーティダースによって確立された、ある意味では「時間を知る」道具として視認性を最優先したミリタリーデザインは、まさしく実用性から生まれた究極のデザインとして、変えようがないぐらい完成されたものだったと言える。

アウトライン・ミリタリーType1940は当時のデザインを日常のファッションアイテムとして手軽に楽しめるようにと製品化したものである。ただ開発するにあたってネックになったのがスモールセコンドだった。なぜかというと日本の汎用自動巻きムーヴメントには4時半位置にスモールセコンドを装備したムーヴメントはあったものの6時位置のものは存在しなかったからだ。
1940年代の軍用時計を表現するには6時位置のスモールセコンドは必須。そのため今回は1955年創業と70年もの歴史をもつ中国の機械式ムーヴメント専業メーカー“シーガル”社のスモールセコンド付き手巻きムーヴメントを採用した。それによってご覧のようにダーティダース本来のスタイルだけでなく当時と同じく手巻き式という点も再現することができたというわけだ。

軍用時計のデザインの魅力は見やすいことはもちろんだが、クラシックで落ち着いた趣がある。そのためファッションとの相性はとてもいい。しかも今回はケース径38mmと小ぶりなサイズに加えて厚さも9.5mmと薄いため軽くて着けやすい。そのため筆者もよく着けるモデルのひとつだ。
【画像】スイスの時計メーカー12社は製造したダーティダースの写真を見る
【アウトライン・ミリタリーType1940】
Ref.YK20231-12。SS(38mm径、ケース厚9.5mm)。5気圧防水。手巻き(Cal.2705)。¥50,600
[商品の詳細]
https://outlinewatches.tokyo/collection/military-type1940
[商品の購入]
https://shop.powerwatch.jp/webshop/category/item/item-watch/outline/militarytype1940/
