国産時計 最新入荷情報

【セイコー“植村ダイバー”の魅力を考察】購入時にチェックしたいポイントも解説

アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。


セイコー
150mダイバー 2nd

冒険家の植村直己が使用していたことで知られるセイコーのセカンドダイバー Ref.6105-8110。海外では、1979年に公開された映画『地獄の黙示録』にてウィラード大尉役を演じるマーティン・シーンが劇中で使用していたことでも有名なモデルだ。
実はほかにも、カナダの宇宙飛行士デビッド・ウィリアムズ博士が水中訓練で使用したり、伝説のサーファー、エディ・アイカウが装着していたことでも知られており、数多くの冒険家、研究家、ダイバー、サーファーたちに使用されてきた時計なのである。
今回は、過酷な環境に耐えうるセカンドダイバーの頑強さと人気の秘密を考察していこうと思う。

まずはケース構造についてである。
ファーストモデルである通称“62MAS”から、いっそう防水性を高めるために重厚なステンレスケースには分厚いパッキンが装着され、簡易的なピン式のリューズロック機構が備わっている。さらに徹底的に強度を高め、割れにくさを追求し、特殊強化処理をしたミネラルガラス(ハードレックスガラス)をL字断面のパッキンで保持することで、ガラス風防側からの浸水を防いでいるのだ。クッション形のケースは一見すると装着感が悪そうに思えるものの、曲線的なケースと4時位置にリューズを配置することよって装着性を高めている。

【画像:植村ダイバーを様々なアングルから見る】

水中という過酷な環境や強い衝撃、特に尖った岩場や工具に強くぶつかった際に生命線でもあるダイバーズウオッチを守るためには、当時一般的であったアクリル風防よりも耐久性の高い、ピンポイントでの衝撃にも耐えうる風防が絶対条件だったのだろう。そこで採用されたのが、セイコーが開発した風防ガラスの”ハードレックス”である。
ハードレックスガラスは傷が付きやすいものの、十分な厚みをもたせると、衝撃に強く割れにくいため、ダイバーズウオッチの風防として最適であり、また同時に当時はサファイアガラスが普及しておらず、コストを考慮したという側面もあったはずだ。
それを踏まえたうえで市場に出回っているセカンドダイバーを観察すると、風防が傷だらけだったりフチに欠けがあっても、ひび割れを起こしているものや、砕け散ってなくなっているものはほとんど見かけない。

また、ベゼルは逆回転防止機能がない時代のものであるため、両方向に回転する仕様だ。しかし、ベゼル内部のパッキンが圧し潰されて摩擦を生むことで、無駄に回転しない適度な重みを生み出している。さらにベゼル裏に彫られた60カ所の溝に、クリック式のスチールボールを当てることで、1分刻みの正確な動作を確保している。程よい重みで、パチンパチンと小気味良いクリック音を立てるベゼルは、実際に使う用事がなくともついつい回してしまうほどに心地良い。ちなみにあまりにも過酷な環境で使用していた個体はベゼルがガタついてしまっている場合があるため、購入の際にはチェックしたいポイントだ。

そして、ムーヴメントには堅牢さと正確さを両立したCal.6105を搭載。手巻き機能はないものの、パーツ点数が少なく、故障しにくいマジックレバー式の自動巻き機構を採用することで実用性を高めている。Cal.61系は量産化を目的とした薄型のムーヴメントで、主にセイコー5シリーズに使用されていたが、その素性の良さと耐久性から、高振動化と手巻き機能を付与してグランドセイコーにも採用され、さらに自動巻きクロノグラフのベースにまで採用された実績のある大出世キャリバーなのだ。

さらに、文字盤のインデックスはすべてエンボス加工で立体的に成形されている。これは強い衝撃を受けた際に外れることがない(一般的な植字インデックスは外れる可能性がある)ようにするためだ。マットなブラック文字盤上に、シルバーのフチどりがなされた夜光インデックスが良く映り、高級感を演出するとともに視認性の向上にも一役買っている。文字盤に光が入った際に、平滑に加工されたインデックスと針がキラリと光る瞬間に、この時計の作りの良さを実感できるだろう。

内外装ともに、過酷な環境下での使用を想定し、耐圧性と耐久性を重視した素材の選択と設計をしたことで、ほかの時計にはない圧倒的な強度を手に入れたのだ。堅牢性を極めた設計は後のセイコーダイバーシリーズにも受け継がれ、その信頼性の高さから国内外を問わず、多くのユーザーに愛されるシリーズへと昇り詰めていった。

そんな伝説的な話題が絶えないセイコーの歴史的ダイバーは、その人気から年々価格が高騰してしまっている。そんな中でも、非常に状態が良いモデルはかなり減少しつつある。次ページに掲載している2本は全体的に状態が良く、特にこのモデルで破損の多い、リューズロックのピンが健在である点は見逃せない。セイコーのダイバーが気になる人、アンティークウオッチの中でも頑丈なモデルを探している人、初心者・上級者を問わずおすすめできる時計だ。ただし、市場には修理が困難な状態である個体や、社外品のアフターパーツが使用された個体が少なくないため、専門店で整備された個体を購入することを推奨する。

 

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文◎LowBEAT編集部

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