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そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。
カルティエ
サントス ガルベ
今回紹介するのは、1980年代に製造されたカルティエのサントス ガルベだ。直線的なケースとブレスや、ビスの多用されたアイコニックな外装デザインから、ひと目でカルティエだと判別できるものの、文字盤上にブランドロゴすら見当たらないのだ。
しかし、よく目を凝らしてグレーの文字盤に注目すると、光の角度によって“CARTIER”の文字がふんわりと浮かび上がる。この文字盤は愛好家たちに“ゴーストダイアル”とも呼ばれ、1980年代に製造された個体のなかでごく希に確認できるとされる。

【写真の時計】カルティエ サントス ガルベ。Ref.0902。SS×YG(24mmサイズ)。自動巻き。1980年代製。98万円。取り扱い店/MOTIF
【画像:アイコニックなケースやブレスレットの状態を見る(全6枚)】
うっすらと印刷されたブランドロゴ以外、インデックスすら存在しない文字盤だが、縦方向の筋目仕上げが、ヘアライン仕上げのケースに溶け込むことで、ほかのモデルでは見られない、ソリッド感にあふれたデザインへと昇華させている。
本個体は比較的小振りなSMサイズのモデルだが、ブレスレットのように細身で軽やかに着用できるサイズ感は、ぜひ男性にもおすすめしたい。現状のサイズで、腕回り17.7cmまで対応可能だ。
外装のコンディションに注目すると、使用にともなう小傷やサビが確認できるものの、ヘアライン仕上げのおかげであまり目立たない状態だ。研磨などによるエッジのダレや、ケースシェイプの崩れは見られないため、比較的良好なコンディションと言えるだろう。
ムーヴメントには、同年のレディースウオッチや小径モデルに数多く採用されたETAの自動巻きキャリバーを搭載。整備性に優れており、定期的なオーバーホールを行うことで、長期にわたって使用できるムーヴメントだ。レディースサイズの小径ムーヴメントでありながらも、優れた精度を発揮するため、実用を考えている人にとってはうれしいポイントだ。
そして、このモデルを購入する際に注意が必要なのが、ベセルを固定するビスやブレスレットのサビと固着だ。メンテナンスを怠り、ベゼルのビスなどが固着してしまった場合、オーバーホールが困難になり、非常に高額な修理を必要とする場合がある。加えて、サビはブレスレットの破損リスクも高めるため、販売店や販売者に直近のメンテナンス歴を確認することをおすすめしたい。また、使用後にはケースやビスのサビを最低限に抑えるために、乾いたクロスなどで汗をよく拭きとることを推奨する。
カルティエの腕時計を代表するアイコンモデルのなかでも、洗練されたゴーストダイアルとなった本個体は、長く愛用できる1本として非常におすすめだ。
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文◎LowBEAT編集部/画像◎MOTIF