森本 レオ -男の肖像時計の選択(パワーウオッチVol.29-2)

中央左のイラスト時計は15年ぐらい前にウイーンで購入。これがきっかけで「オモシロ時計」にハマってしまったという。中央と手前はロレックスのアンティーク、中央奥が珍しい紙製の腕時計

 

腕時計に限らず、とにかくアンティークな物が好きだという森本レオさん。その気持ちの裏には「記憶に対する憧れ」があるのだという。

「オーディオやカメラには『思い出記憶』に対するオマージュがある。かつて誰かが見たり聴いたりしていた事実に思いをはせ、そこに感動を覚えるわけです。一方、時計には『未来記憶』に対するオマージュがあるような気がしますね。『この時計を巻いて出るときは、この時計の時間になるはずだ』という予感みたいなもの、感じたことありません? 僕はあるんですよ(笑)。未来というのはそもそもイメージした瞬間から記憶の一部になってしまうもの。だからこそ、みんな時計にお金を使うんじゃないのかなぁ、と。『キンキラキンのダイヤモンドな未来にしたいから、この時計』というように」


『この時計を巻いて出るときは、この時計の時間になるはずだ』
という予感みたいなもの、感じたことありません? 僕はあるんですよ(笑)

もしそうだとすれば、森本さんはどんな未来を願っているのか?

「なんだろうねぇ。どれも中古で10万円前後ぐらいだからなぁ。しかも、気に入ってるのはこの紙で作った腕時計(右ページで身に着けている物)。吉祥寺で時計のデザインをしている篠原さんという友人がいてね、その方の作品なんだけど、5000円ぐらいじゃなかったかなぁ。もちろん高い時計に憧れはあるけれど、だんだん背伸びしてそういう物を買うのが照れ臭くなってきてしまって。むしろお茶目な明日のほうがいいじゃん、という気持ちになってきたの(笑)」


時間というのは『壮大なフィクション』だと思うんですよ。
だって、宇宙の果てまで地球と同じ1日24時間の流れが続いているとは思えないですから。

肩肘張らずに自然体のまま過ごす。それが森本さんにとっての理想の『未来記憶』なのかもしれない。

「結局、時間というのは『壮大なフィクション』だと思うんですよ。だって、宇宙の果てまで地球と同じ1日24時間の流れが続いているとは思えないですから。そういう意味で、一種のフィクションなんです。でも、同じフィクションの要素を持つ『神様』と違い、時間はなかなか疑いにくい。無神論者はたくさんいても、無時間論者はあまり見かけませんもんね(笑)。でも神様というのが、罰せず救わずただ見てるだけ、の存在だとしたらまさに『ザ・時間』こそが神様じゃないですか。ということはつまり、時計というのは一番ちっちゃな神殿なんですよ。とってもリーズナブルなね」

そして、どんな神殿を建てるかがその人の信仰の深さと志の高さを表すのでは、と森本さんは言う。

「もちろん、ぼくにも未来記憶に対する憧れはすごくありますけど、犬が骨を追っかけてる時計を見つけてからは、いいかー、田舎のほこらくらいで、みたいな気分になっちゃってるんです(笑)」

そこまで言って、ポリポリと頭を掻き出した森本さん。最後に「なんだか大げさな話になってごめんなさい」とひと言呟き、いつものあの無邪気な笑顔に戻った。

 

森本 レオ俳優)
LEO MORIMOTO 1943年2月13日生まれ。愛知県名古屋市出身。日本大学芸術学部放送学科卒業。俳優として映画『花心中』(1973年)、TV『黄色い涙』(1974年)、『キッズ・リターン』(1996年)など数多くの代表作を持つ一方で、ナレーター・声優としても活躍。独特の温かみのある語り口調で、お茶の間の人気を博している。

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