なぎら 健壱 -男の肖像時計の選択(パワーウオッチVol.33)

右はタグ・ホイヤーの前身であるホイヤーの70年代製のカリキュレーター。オリジナルブレスでこれだけの美品はかなりレアだ。左はエコ・ドライブ搭載のシチズン・プロマスター。新旧パイロットウオッチの名品がそろい踏み

 

「昔は中学校に上がるときに万年筆と時計を持つというのが、大人の男への入り口っていう感じで一種のステイタスでしたね。自分で初めて買った時計はタイメックスだったな。20歳のときにコンサートでまとまったギャラを貰って、いつもだったら飲んじゃうんだけど、たまには形があるものを買っておいたほうがいいなってことで銀座で買ったんですよ。なんでよく覚えているかっていうと、同じコンサートに出たヤツが、同じ日のギャラで、同じ店で、同じ時計を買ってるんだよね。偶然だけどビックリした」


このホイヤーは10年くらい前にデッドストックが何本か出て手に入れたんですよ。
大きいし日本人の手には似合わないだけど、そのいやらしさがいい。

時計の思い出を懐かしそうに語るなぎら健壱さん。趣味人として有名なだけにさぞや時計にもこだわりが、と思わせるが、その愛用品は何とパイロットウオッチだった。

「このホイヤーは10年くらい前にデッドストックが何本か出て手に入れたんですよ。大きいし日本人の手には似合わないんだけど、そのいやらしさがいい。でも普段使っているのはもっぱらこっちのシチズンです。電波時計は狂わないから楽なんですよね」


計算尺とかいろいろ付いていると得した気分になるから(笑)
機能なんか使いこなせないけど、そういう意味では一貫してますよ。

航空ファンなのかと尋ねてみるとさにあらず。

「計算尺とかいろいろ付いていると得した気分になるから(笑)。機能なんか使いこなせないけど、そういう意味では一貫してますよ。こういう雑誌見ても、いいなって思うのがブライトリングだもん。逆にすごくシンプルで高い時計ってあるじゃないですか。ああいうのダメ(笑)」

「いっぱい付いていると得」という意見は初めて聞いたが、こだわりがあるようでなく、ないようであるのがなぎら流。

「基本的に時計は安いものでいいと思ってるし、そんなに高いものは持ってないんですけどね。電池の時計は電池が切れちゃうともうしないし、そんなのが20~30本転がってますよ。時計は好きだけどそんなに執着もないんです。昔のことだけど、飯塚文男さん(ドンキーカルテット)が『ロレックスを10万で売ってやるよ』って声をかけてきたことがあるんですよ。GMTマスターね。でもニセモノじゃないかって恐くて。10万円っていう数字もなんとなく不安だし(笑)。結局買ったんだけど、友達の時計ショップに持ってったら『十中八九、ニセモノ』って言うんですよ(笑)。調べてみたらちゃんと本物だったんだけど、あのときはドキドキしたな」

なぎらさん、次はぜひ本物のブライトリングも手に入れてください。

 

なぎら 健壱フォークシンガー
KENICHI NAGIRA 1952年4月16日、東京・銀座生まれ。高校時代からアングラフォークに目覚め、ギターを弾き始める。1972年にビクターから『万年床』でアルバムデビュー。コミカルな楽曲から生まれ育った下町を叙情的に描いた楽曲までさまざまな作品を発表しており、ライブも積極的に行っている。さらにバラエティ番組やドラマ出演、執筆など、その活動は非常に多岐に渡っている。下町文化、自転車、落語、カメラ収集など、多趣味で雑学に長けていることでも有名。

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