中村 敦夫 -男の肖像時計の選択(パワーウオッチVol.36-2)

右が毎日映画コンクールの賞品だったボーム&メルシエ リビエラ。左は海外取材時によく使ったシチズン アテッサの最初期モデル

 

中村敦夫さんの愛用する腕時計は、1994年に毎日映画コンクールで助演男優賞を受賞したときに賞品としてもらったボーム&メルシエのリビエラだ。

「宝石が入っていたりギラギラしているような時計は好きじゃないんです。これはシンプルだし丈夫だから使いやすいですよ」

この年は毎日映画コンクールのほか、ブルーリボン賞でも助演男優賞を獲得した。『木枯し紋次郎』に代表される時代劇俳優として人気を博した中村さんとしても、現代劇という新境地で評価を得たことはことのほか嬉しかったという。


宝石が入っていたりギラギラしているような時計は好きじゃないんです。
これはシンプルだし丈夫だから使いやすいですよ

「若い頃は本当に売れない俳優で、30歳過ぎて『紋次郎』の人気が出るまではずっと貧乏だったから、時計に凝るようなこともなかった。『紋次郎』がヒットしたとき、記念にオメガを買ったくらいでしたね。時代劇をずっとやっていると、大抵の役柄は経験しちゃって面白味がなくなる。だからどこかで転換を考えて、現代劇に関わるようになったんですよ。現代劇だと企業人や官僚みたいなスーツを着る役柄が多かったんです。しかし僕のような俳優にとって、そこは一番不得意なんですよ。俳優になるような人間はアウトロー的な要素が強いですからね。スーツなんか嫌いだし、真面目に会社勤めした経験もない(笑)。それでも何とかやっていると成功作もぼちぼち生まれてきて、ある程度現代劇でも評価をいただけるようになったんです。おまけに時計までいただけた(笑)。そういう意味でも思い出深い時計ですよ」


それでも何とかやっていると成功作もぼちぼち生まれてきて、
ある程度現代劇でも評価をいただけるようになったんです。おまけに時計までいただけた(笑)

我々にとっては俳優としての中村さんと同時に、『地球発22時』などドキュメンタリー番組での中村さんも印象深い。もう1本取り出してくれた時計は、世界を飛び回る番組のなかで使われていたシチズンのアテッサだった。

「あの番組では本当に世界中を飛び回っていたから、格好もアウトドア仕様でポケットが多い服ばかり。レコーダー、カメラ、メモなど荷物もいっぱいだし、時計はとにかく軽くて頑丈なものが良かったんです。それでたまたま見つけたのがこの時計。チタン製でとにかく軽いんですよ。当時はまだ珍しかったけど、見つけてすぐに買いましたね」

参院議員時代は環境問題などに真摯な姿勢で取り組んでいた中村さんらしく、その時計の好みも質実なものだった。

 

中村 敦夫俳優・小説家
ATSUO NAKAMURA 1940年2月18日、東京都生まれ。大学中退後に劇団俳優座に所属するも、幹部と対立して退団。1972年放映の『木枯し紋次郎』で大人気を博して一躍人気俳優に。『チェンマイの首』などの国際小説執筆の経験から、1984年にはドキュメンタリー番組『地球発22時』の司会に抜擢され多くの海外取材を経験。1998~2004年には参院議員を務め、環境問題などに取り組む。

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