アンダー20万円で買えるハンハルトの新作  【1回】勝手に実機でインプレッション

 新作だけに限らず現行の定番モデルなども含めて、ちょっと気になる時計について、今後は少しずつインプレッションさせていただこうと思う。その1回目は、入荷が始まったハンハルトの新作、パイオニア ワンについて。

 ハンハルトと聞いて真っ先に思い浮かべるのは、第2次世界大戦時のドイツ海軍砲兵部隊で使われたと言われているワンプッシュのクロノグラフ、プリムス(写真❶)だろう。視覚的に判別しやすいようにプッシャーのみを赤くペイントしたリセットボタン、回転ベゼルに設けられた、滑り止めのためとおぼしき、コインエッジの装飾など、まさに軍用としての操作性を考慮した傑作である

写真❶/1940年代に製造されたワンプッシュクグラフ(Cal.40搭載)。2時位置にあるプッシャーに塗られていたレッドペイントは経年で落ちてしまっている。ドイツ腕時計 No.4に掲載(コレクター私物)

 このパイオニア ワンは、そのDNAを宿す後継機にして、1950年代に西ドイツ空軍に供給された417ES(2カウンタークロノグラフ)の意匠を3針にアレンジしたものだという。実は、現在ハンハルトが展開するコレクションは、軍用クロノグラフで名を馳せた当時に倣って、そのほとんどが2カウンタークロノグラフ。

写真❷/固定式スムースベゼルにアラビアインデックスという、軍用パイロットウオットのスタンダードなデザインを採用したプリヴェンダー9。SS(40mm径)。10気圧防水。自動巻き。20万5200円

 3針モデルはパイオニア プリヴェンダー9(写真❷)のひとつだけだった。そう考えると、スタンダードなラインに選択肢が増えたことはユーザーにとっては喜ばしいことなのではないか。さて、既存の3針モデル、プリヴェンダー9との違いはベゼル。固定式のスムースベゼルなのに対して、新作はハンハルトの軍用クロノグラフを象徴するコインエッジの回転ベゼルが採用された。つまり、往年のハンハルトらしさが楽しめる作りになったというわけである。

 3針に回転ベゼル。機能というよりもデザイン的な意味合いが強いが、これはこれで雰囲気的には悪くない。ただ、やはり軍用時代のディテールのため主張は強い。そのためスーツスタイルというよりは、ジャケパンスタイルに合わせたいところだ。古典的なベゼルの放つ適度な存在感が、たとえビジネスシーンであっても、ファッション的にいい感じでアクセントになるに違いない。

手袋の上からでも回転ベゼルの操作が行えるように、滑り止めとして設けられた装飾。硬貨のフチのキザギザのように見えることからコインエッジと呼ばれる。一箇所だけ赤に塗られているのは、経過時間を把握するための目印。時間が制約されている会議などに活用するとよい

 

 

パイオニア ワンのケースサイズは既存のクロノグラフコレクションと同じ40mm。とかくインダイアルがないとデザイン的に間延びしがちなのだが、そう感じさせないように、文字盤に凹凸を付けてアクセントを加えている

 

 

シースルーバックからはムーヴメントが見られる。10気圧防水なのもポイント

 

 

 

実測値だがケース厚は12mm。ドレスウオッチではないので、数字的には悪くない。着けていてもそれほど邪魔にならない厚さだ。ベゼルは主張が強いが、基本デザインはシンプルなためカッチリしたファッションでなければ、だいたい合うだろう(着用写真は編集部スタッフ)

 

 

パイロットウオッチの雰囲気を強調するリベット付き革ベルト。個人的なことで恐縮だが、手首の細い僕の場合、海外ブランドの時計の大半が、穴の位置が合わない。この革ベルトは、それが既存の穴でもちゃんと合ったことに驚いた(笑)

 

 

INFORMATION
ブランド名 HANHART/ハンハルト
モデル名 パイオニア ワン
品番 Ref.762.210-0010
ケース素材 ステンレススチール
ベルト素材 レザー
サイズ 40㎜
防水性 10気圧防水
ムーヴメント 自動巻き(Cal.セリタSW200、毎時28,800振動)/約38時間パワーリザーブ
税込み価格 19万4400円
問い合わせ リンクアップ TEL.075-693-1236 hanhart.jp

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そのほかのレビュー記事はコチラ(GERMAN WATCH.jp)

 

菊地 吉正 – KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。

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