【WLN女子部発】“三日月が時を知らせる”HERMÈS(エルメス)の新作を実機レビュー

 女性編集者がレディースウオッチの新作を実際に見て、感想を交えて紹介する本企画。今回はHERMÈS(エルメス)の代表的コレクション“ARCEAU(アルソー)”から2019年末に発表されたレディースモデル、ARCEAU RONDE DES HEURES(アルソー ロンド デ ズゥール)を紹介する。

©️Joël Von Allen

【モデル紹介】

 アルソーといえば、ラウンドケースに流れるようなフォントのアラビアインデックスを採用したエルメスを代表するコレクションだ。現行モデルでは、白文字盤に黒字のインデックスを採用したシンプルですっきりとしたデザインがメインだったが、今回はデザインを一新。まるで文字盤を夜空に描いたような特徴的な意匠に心引かれたので、取材を申し込んだ。

 幻想的な三日月の意匠や、特徴的なインデックスなど、思わず興味が引かれるポイントが満載の時計だが、今回の新作の特徴を紹介する前に、まずはアルソーコレクションの基礎情報を紹介していこうと思う。

©️Jo Matson Scott

 “アルソー”は鐙(あぶみ)の象形から着想を得た上下非対称なラグが特徴的。鐙とは、古くから乗馬の際に、人間が足をかける道具として使われてきた馬具だ。ちなみに“アルソー”はフランス語で“アーチ”を意味している。

 “アルソー”が誕生したのは1978年。エルメスの時計製造部門である“ラ・モントル・エルメス社”(現“エルメス・オルロジェ社”)の設立と同じ年に、デザイナーのアンリ・ドリニー氏によって誕生したコレクションである。

 アンリ・ドリニー氏は、これまでスカーフ、シルク、ネクタイなど様々な製品を生み出してきたエルメスと縁の深いデザイナーである。彼が手がけた“アルソー”は、同じく彼が考案した“ケープコッド”と並ぶ、エルメスを代表する時計といえよう。

 “アルソー”の特徴といえばラウンドの文字盤に配された、流れるような細く美しい独自のインデックス。どんなにシンプルな文字盤でもこのインデックスを見ただけで“アルソー”とわかるほど、アイコニックなフォントだ。それは馬がギャロップしたときのたてがみが流れるようなイメージで作られたのだという。細かいディテールにも、馬具工房として発足したエルメスらしいデザインが盛り込まれているのである。

 さて、これまで“アルソー”の基本情報をお伝えしてきたが、改めてこの時計を見ると、インデックスの数字も普段見る時計とは違ううえ、針も1本しかないのが気になる。時刻を見るうえで鍵となるのが、文字盤の10時位置に配された三日月だ。

 円状のアワーリングは稼動式で、12時間で1回転する仕組みになっている。文字盤9時から11時位置に配された三日月のマザーオブパール(以下MOP)のちょうど中央にくる数字(内側の星印が目印になっているのもポイント)が、現在の時間を表している。また1本針は分数を指しており、写真は10時9分を示していることになる。

 ちなみにこのMOPには蛍光ラッカー仕上げが施されており、時間を示すインデックスが影のように浮かび上がる仕様となっている。

 文字盤に月が配されていると一般的には“ムーンフェイズ”を思い浮かべると思うが、本モデルでは三日月はあくまで時間を表示するために使われている。三日月が時を知らせる、なんともロマンティックな意匠だと思った。

 幻想的な雰囲気を盛り立てるのは、MOPの月だけではない。特徴的なアワーリングのフォントは、エルメス独自のもの。文字盤の幻想的な雰囲気とマッチする、繊細な美しいデザインだ。
 この特徴的なアワーリングは、細く細かい線で描くことで、美しいフォントのデザインをより際立たせている。エルメスの加工技術の高さを感じる意匠だ。

【装着感は?】

ケースは大きな正方形のワイヤーのようなラグにケースが乗るような構造になっており、ケース径が36mmとレディース時計のなかでは大きめなので、着け心地が気になっていたのだが、実際はその心配はいらなかった。

 実際に着用してみたところ、着けている感覚と安定感はしっかりあるものの、肌に直接裏ブタが接しないため着け心地が良かった。実寸よりも軽い着け心地だったのも、ケースのこうした特殊な作りが理由だろう。

 ちなみに特徴的なラグは、前述のように馬具からヒントを得ているという。歴史を大切にするメゾンの姿勢はとても素敵だ。

【推しのポイント】

・ブラックスピネルがラグジュアリー感をプラス

 ベゼルに配されたブラックスピネルが、ケースや文字盤、ベゼルをブラックで統一したクールな印象にアクセントを加えている。光の当たり具合でキラキラと光る様子もとても素敵だ。

・ まるで夜空を描いたような文字盤に浮かぶペガサス座

 文字盤にはペガサス座をモチーフした星座が散りばめられている。星座のセレクトもウィットに富んでいてエルメスらしい。またMOPのプレートには蛍光ラッカーが施されており、暗所でも星や月が浮かび上がる、とても幻想的な仕様だ。

 インデックスのフォントやラグなどエルメスらしい要素を盛り込みつつ、美しい夜空をロマンティックに表現した1本。蛍光塗料の効果で、昼夜で違った表情を見せるので、毎日時間を確認するのが楽しみになりそう。
 ちょっとしたデザインにも、エルメスの歴史を反映した、語りどころのある本モデル。今回レディース企画として紹介したが、男女問わず着用できるのでペアウオッチとしてもオススメだ。

*スペック*

SS(36mm径)。3気圧防水。クォーツ。世界限定300本。80万6600円/©️Joël Von Allen

文◎佐波優紀(編集部)

【問い合わせ先】

エルメスジャポン
www.hermes.com
03-3569-3300

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