無駄のない質実さに惚れる【ミリタリーウオッチ】の歴史をひも解く|No.03

 近年ファッショントレンドにおけるミリタリー人気が時計業界にも波及。タイメックスなどのいわゆるカジュアルミリタリーのみならず、ブランパンやチューダーといった本格メーカーもいまや積極的にミリタリー顔のモデルを投入している。

 こうしたミリタリーウオッチは、質実剛健な意匠はもちろんのこと、その強固なバックボーンも大きな魅力に挙げられる。
 そんなミリタリーウオッチの魅力をさらに深く理解するため、その歴史を改めて解説する本連載。

 3回目となる今回は、技術の進化を背景に、さらに高機能化していった1950〜60年代のミリタリーウオッチにスポットを当てる。

【ミリタリーウオッチ】の歴史をひも解く|No.01
【ミリタリーウオッチ】の歴史をひも解く|No.02

 1950年代以降、科学技術の進歩で高機能な兵器開発が進んだのと同じように、ミリタリーウオッチもさらなる基本性能の底上げと高機能化が果たされた。

 この時代で特に注目すべきは、ブランパンのフィフティファゾムズ(53年)やロレックスのサブマリーナ(54年)、オメガのシーマスター300(57年)などといった本格的なダイバーズウオッチが実用化されたことだろう。

 

フランス海軍特殊潜水部隊からの要請を受け、1953年にブランパンが開発した初の本格ダイバーズウオッチ”フィフティファゾムス”。ファゾムスとは水深の単位で、当時としては画期的な“50ファゾムス”=“約91m”の防水性能を備えていた

 そしてその優れた防水性に各国の軍も注目し、軍用ダイバーズが徐々に登場しはじめたのだ。そのなかには、内部に浸水していないか瞬時に判断できるよう湿度インジケーターを備えたユニークなモデルもあった。

ブランパンが開発したフィフティファゾムズをベースに、アメリカのミルスペック規格に準拠して製造された軍用ダイバーズ。今日、ダイバーズウオッチの基本仕様ともなっている回転ベゼルのほか、文字盤に湿度インジケーターを備える。アメリカ軍

 

 また、同じくクロノグラフにおいても、瞬時のリスタート計測が可能なフライバック機能を備えるタイプ20(フランス空軍)が開発されるなど、高機能なモデルが開発されている。ちなみに、ドイツでは40年代からすでにフライバック機能を持ったフリーガークロノグラフが製造され、空軍パイロットに支給されており、タイプ20はこの性能を求めて仕様を定めたと言われている。

 

フランス空軍に納入されたタイプ20。アウリコスト製で、レマニアベースの手巻きムーヴメントを搭載する。なお、ベースムーヴメントには本来フライバック機能はなかったが、タイプ20の規格に従って追加されている。フランス海軍

 

シンプルな3針モデルも性能の底上げが図られている。これは1960年から運用されたアメリカ軍のタイプ A17A(MIL-W-6433A)。それまでのタイプ A-11などと見た目は大きく違わないが、新たにハック機能と24時間表示が追加された。ブローバ製。アメリカ軍

 しかし一方で、第2次世界大戦が終結したことで、軍事予算の削減に動く国も多く、軍用時計の供給数も減少。そのため、50〜60年代の軍用時計の数は、40年代に比べるとそれほど多くない。

 次回は、コストダウンと大量調達を図って、従来システムから大々的なシステム変更がなされていった1970年代のミリタリーウオッチについて解説する。

 

 

文◎堀内大輔(編集部)/写真◎笠井 修

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