【第9回】ポストヴィンテージ時代の腕時計|1980年代にユニークな発想を時計界に持ち込んだ“ポルシェ・デザイン”

コンパスウオッチはその名のとおり時計本体を上に跳ね上げるとコンパスが装備されている

 ドイツを代表するスポーツカーブランド、ポルシェ。その代名詞でもあるクルマ“911”のデザイナーとしても知られるフェルディナント・アレクサンダー・ポルシェが、1972年にドイツで立ち上げたのがポルシェ・デザインである。

 そして、同社が最初に手がけたプロダクトデザインは実は腕時計だった。とりわけ多くのヒット作を生み出したのが、設立から3年後の75年よりはじまったIWCとの提携時代だ。

 70年代といえばクォーツショックとスイスフラン高騰のあおりを受けて、スイス時計産業自体が窮地に立たされていたちょうどその頃である。IWCももちろんそんなスイスの時計メーカーのひとつだった。ポルシェ・デザインとのコラボレーションがなければ存続は難しかったのではないか、とまで言われたほど状況は深刻だったようだ。

右から78年のコンパスウオッチ、80年のチタニウム クロノグラフ、82年のオーシャン2000

 そんなIWCとのコラボレーションによって誕生したポルシェ・デザインの代表作が、78年のコンパスウオッチ、80年のチタニウム クロノグラフ、82年のオーシャン2000である。コンパスを装備したりと従来にはなかった様々なユニークな発想を時計界に持ち込んだポルシェ・デザインの功績は大きく、次第にその存在感を強めていき、80年代を代表するブランドのひとつとなった。

 もちろん、これら多くのヒット作を生み出した背景には、ポルシェ・デザインのデザイン力ももちろんあるが、マークシリーズやインヂュニアなどの優れた実用時計を世に生み出してきたIWCからの技術協力があったればこそと言えるだろう。

 さて、次回からは代表作であるこれら三つのモデルについて、一つひとつさらに詳しく見ていきたいと思う。

菊地 吉正 – KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。

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