【機械式時計界の新勢力となるか!?】デンマーク発の本格時計ブランド、“アルカナート・ウオッチ”に注目

》ミニマルデザインと高級感を両立した、デンマーク発の本格機械式時計ブランド

 ミニマルデザインの宝庫、スカンジナビア半島なかで一番南側にある、デンマーク。
ほぼ九州と同じ国土面積でユトランド半島と407の島々で成り立っている海洋国家であり、アルネ・ヤコブセン、ハンス・J・ウェグナーといった有名デザイナーを多数の輩出しているデザイン大国でもある。

 北欧スタイルのミニマルデザインはカジュアルウオッチを中心に時計の世界にも大きな影響を与えているが、今回は北欧の伝統的なデザインの精神に基づいた本格機械式時計を製造している、日本未上陸ブランド“アルカナート・ウオッチ”を紹介する。

 2014年、シモン・ゴールドマン・アンダーセンとアンダース・ブラントによって設立され、アルカナート・ウオッチは、デザイン企画、運営をデンマークの首都コペンハーゲンで行い、製造はスイスで行われている。

 デザインに情熱を費やすシモンと時計の情熱を費やすアンダースは、アルカナート・ウオッチにとって理想的なバランスを備えたチームであり、“デザインだけではなく機能的にも使用感にも優れた真の北欧時計を作りたい”という共通のビジョンをもってウオッチメイキングを行なっている。

 ブランド名の“Arcanaut (アルカナート)”は“知識の旅人”という意味をもっており、その名前が示すように、創業者のシモンとアンダースはブランドの立ち上げから、最初コレクションを発表するまでの間に、時計のデザイン、製造、販売などに関する、幅広く膨大な量の知識を学んでいったようだ。

 15年に約1年の歳月と35,000ユーロ(約450万円)以上の投資を行なってファーストコレクションのプロトタイプを製造するが、彼らはその品質に満足をしなかった。理想とする 時計を製品化した場合、あまりに高い価格設定が必要であったことと、デザイン性はもちろんのことプロトタイプの品質が彼らの基準に達してなかったこと、また消費者に対して自信を持って販売できなかったことが理由だった。


 1年間という長い時間を費やして製作したプロトモデルだったが、シモンとアンダースの両氏は“ゼロからやり直す”という厳しい決断をする。 彼らが理想としているデザインの時計を作るため、母国デンマークで新しいパートナーを見つけ、 製造に関してはジュネーブに拠点を置いて、独自デザインの時計を少量生産しているスイスのメーカーを探し出した。このスイスの時計メーカーは。2015年に作成した最初のプロトタイプの1/4のコストで、彼らが理想とする優れた品質と高いデザイン性を満たした時計を完成させた。



 余計な装飾のないクリアで見やすい文字盤と、 人間工学に基づいたケースフォルムを採用した いかにもデンマークらしいデザインだが、細部にはデザインと品質に対するこだわりが徹底された。 “時計は単に時を告げるだけでなく、純粋に時を告げるプロダクトであるべき”だという考えから、視認性を損なわないように文字盤をデザインし、トーン・イン・トーンに仕上げ、ブランドロゴは抑制的にレイアウトされた。見やすさと高級感を備え、同時に絶妙なデザインのバランスを実現しているのだ。


 ケース、ベルトに関しても、ほかの独立系マイクロブランドとは一線を画すこだわりを追求しており、象徴的な四角いリューズからネジ穴まで、アルカナートはARC 1に採用した29個のパーツを既製品から調達するのではなく、デンマークで自ら製作している。現在はスイスでの製造だが、将来的にはデンマークで製造と組み立てを行うことを目標にしているそうだ。特徴的な四角いリューズは、ARC 1を象徴するユニークなデザイン要素のひとつ。通常の時計と同じように2ポジションに引き出して操作を行い、時間を設定できる。 1ポジションでは、直角に動き、 それを0の位置に押すと、ケースと融合した独特のデザインが完成する。


Arcanaut (アルカナート)
ARC I
 トライアンドエラーを繰り返し、構想から発売までに3年半の歳月を費やしたファーストコレクション。 ブラック文字盤とホワイト文字盤の二つのモデルは発売され、即完売となった。

■SS(42mm径)。自動巻き(ETA 2895-2SS)。各2099ユーロ(約27万円)

》アルカナート・ウォッチ公式サイト
https://www.arcanaut.dk/

 なお、アルカナート・ウォッチのファーストコレクションである“ARC I”は残念ながら完売しているようだが、現在、新シリーズである“ARCII – DM”の製作に取り組んでおり、2021年の第2四半期に納品予定となっているようだ。

 最後に創業者のひとり、アンダース・ブラントがアルカナート・ウォッチ、そして時計全般の魅力に関すて語ったコメントを引用して紹介する。

「合理的なものが重視される世の中ですが、世界をつないでいるのは、実際には合理的に意味を成さない多くのエモーショナルな感覚やものです。時計もその中のひとつだと思います」

 アンダーセンとサイモン、そしてアルカナート・ウォッチがこれからも感情に響く時計をデンマーク・コペンハーゲンから、作り続けてくれることに期待したい。


文◎William Hunnicutt
時計ブランド、アクセサリーブランドの輸入代理店を務めるスフィアブランディング代表。インポーターとして独自のセレクトで、ハマる人にはハマるプロダクトを日本に展開するほか、音楽をテーマにしたアパレルブランド、STEREO8のプロデューサーも務める。家ではネコのゴハン担当でもある。

https://www.instagram.com/spherebranding/

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