【話題の国産ウオッチを本音レビュー|Vol.12】セイコー プロスペックス 1959 アルピニスト 復刻デザイン

 高度経済成長を背景にした1960年代には、時計に求められる機能やファッション性も徐々に変質してきて、仕事のために使うだけでなく、登山などのレジャーやアクティビィティで使えるタフな時計が求められるようになった。いまで言えばいわゆるスポーツウオッチだが、こうした市場のニーズを受けてセイコーが生み出したのが、59年の“ローレル アルピニスト”だった。

1959年に登場したローレル アルピニスト。白文字盤仕様は特に希少だ

 ペットネームからわかるようにベストセラーモデル“ローレル”の発展形だが、防塵性の高いスクリューバックケースを採用し、黒文字盤に夜光塗料の入ったバー&くさび型インデックスをあしらった視認性の高さなど、当時の登山用時計としては優れた機能を誇るモデルであった(白文字盤モデルも存在するが、こちらはかなり希少)。ただし、やや時代に先駆け過ぎていたのかそれほどヒットすることもなく、セイコーのラインナップ再編の流れで埋れていった徒花的なモデルだった。

 アルピニストの名前が復活したのは1995年のことで、200m防水と堅牢性を大幅に向上させたこの再発版はアウトドアファンだけでなく時計ファンからも人気を集め、現在でも人気を集めている。ただ、文字盤はグリーンになってアラビア数字が採用され、ケースフォルムもかなりがっしりしたものに変更されており、デザイン的にはオリジナルの面影がほとんどない。この再発モデルは2006年にもさらにブラッシュアップされて再々発されたほか、最近はプロスペックスのデジタルウオッチにもアルピニストの名を冠したモデルが多く登場している。

Ref.SBEN001。SS(36.6mm径、11.1mm厚)。10気圧防水。自動巻き(Cal.6L35)。33万円(2021年8月6日発売予定)

 今回リリースされた“プロスペックス 1959 アルピニスト 復刻デザイン”は、その名のとおり、59年リリースの初代モデルを忠実に復刻したものだ。ケースサイズは36.6mmとかなり小さめで、厚みも11.1mmと現行スポーツウオッチとしては薄い。レトロな雰囲気を漂わせたこのサイズ感だけでも、オールドセイコーファンにはたまらないだろう。全体の雰囲気としては、スポーツウオッチ独特のゴツさは感じさせず、かなりシックでスマートな印象だ。


 文字盤は3・6・9・12時位置にくさび型、そのほかの時刻位置にバーインデックスを合わせたデザインで、初代モデルの雰囲気をうまく再現しつつ、ドットを追加するなどして現代的なテイストを加味している。ちなみに3・6・9・12時4カ所のインデックスに施されたくさび型の意匠は、“アルピニスト”の語源ともなった峰々の景色をイメージしたものだそうで、デザイン的なバランスの良さが視認性の高さに通じている。
 4時半位置にはオリジナルにはなかったカレンダー表示も搭載。風防はボックス型のサファイアクリスタルで、シンプルなベゼルのケースとも相性が良く、ぱっと見はきれいな段差がステップベゼル風にも見せる。ストラップもオリジナル同様のクラシカルなブンドタイプのカーフ革ベルトを採用している。ステッチのパターンなどはオリジナル同様のモデルを採用しており、かなり凝った作りだ。また革自体がかなり薄めに仕上げられているので、時計自体の薄さと相まって装着感も上々だ。


 ムーヴメントはセイコーが2018年に開発したCal.6L35を搭載。現行のプレサージュなどに使われている26石ムーヴメントだが、3.9mmという極薄設計が特徴で、これが時計自体の薄さにもつながっている。オリジナルモデルと比較しても厚みは1.0mmのサイズアップに抑えており、近年は厚みのあるモデルが目立つセイコーとしては、かなり薄くてスマートなデザインといえるだろう。防水性能は10気圧日常生活防水で、実用にはまったく問題ない。

 33万円という価格はやや高めに感じるが、ディテールまでこだわった仕上げのクオリティはかなりハイレベルで、クラシカルかつ洗練されたデザインの時計を求めているセイコーファンにはかなり響くだろう。1959本限定で裏ブタにシリアルナンバー入りというプレミア感もコレクター心をくすぐる。実際のリリースは8月の予定だが、気になる人は早めにチェックしておきたい。

 ちなみにもっとリーズナブルなモデルが欲しいという人には、“初代アルピニスト 現代デザイン”と銘打ったモデルもリリースされる予定だ。こちらは38mmサイズで、初代アルピニストのデザインをもっと現代風に解釈。ヘアラインと鏡面の使い分けで立体感を演出したケースを採用し、文字盤は初代モデルの雰囲気を生かしつつ、全体の雰囲気はかなりスポーティブに仕上げている。搭載ムーヴメントの違いなどはあるにせよ、価格はステンレスブレスモデルが8万2500円、レザーベルトモデルが8万300円とかなりお値打ち感は高い。

1959 アルピニスト 現代デザイン
Ref.SBDC147。SS(38mm径、12.9mm厚)。20気圧防水。自動巻き(Cal.6R35)。8万2500円(2021年8月6日発売予定)

 

【問い合わせ先】
セイコーウオッチお客様相談室 TEL.0120-061-012
https://www.seikowatches.com/

構成◎堀内大輔(編集部)/文◎巽 英俊/写真◎編集部

オススメ記事

  1. 【実機レビュー】1969年の潜水時計を完全復刻。グラスヒュッテ・オリジ…

  2. 実機レビュー!何が買いなのか調べました。【予算10万円以下①】

  3. 【10〜20万円台】第1回・編集部が注目した6機種を実機レビュー「ラド…

  4. 【10〜20万円台】最終回・編集部が注目した6機種を実機レビュー「ハミ…

  5. 【実機レビュー】思わず2度見する! 60周年でリバイバルされた静電誘導…

  6. 【ロレックス】通信 No.065|これは確かにカッコいい! GMTマス…

  7. 菊地の【ロレックス】通信 No.076|新旧サブマリーナーデイトを実機…

  8. 勝手に実機でインプレッション【3回】ノモス・グラスヒュッテ

人気の記事

ロレックス

国産時計

スマートウォッチ

ドイツ時計

カジュアル時計

アンティーク時計

レディース時計