【話題の国産ウオッチを本音レビュー|Vol.13】ザ・シチズン メカニカルモデル

ここしばらくは高級ラインでも光発電エコ・ドライブ ムーヴメントを積極的に推してきたシチズンだが、今年8月にリリースする“ザ・シチズン”の新作には、11年ぶりとなる新型の機械式ムーヴメントを搭載することとなった。

11年前に開発された機械式ムーヴメントCal.0910は、ヒゲゼンマイまで自社製造したという気合の入ったものだった。シチズンとしてはなんと30年ぶりとなる新設計機械式ムーヴメントだったのだが、他社に供給しているミヨタムーヴメントも含めて連綿と機械式ムーヴメントの製造を続けていたこともあり、Cal.0910も長年の製造で培った技術をベースとして生まれたという背景がある。ザ・シチズンに搭載されたCal.0910は中抜きされた大振りのローターがシースルーバックからのぞける仕様で、これが往年のシチズンの雰囲気を強く感じさせる仕上がりとなっており、ファンを大きく喜ばせた。今回搭載されるCal.0200はそこから11年を経て生まれた新作で、それだけにかかる期待も大きい。

シチズンは前作Cal.0910の完成後の2012年に、スイスのムーヴメント製造会社であるラ・ジュー・ペレ社を傘下に収めている。今回のCal.0200では、そのラ・ジュー・ペレの装飾技術を最大限活用しており、Cal.0910より仕上げのレベルが格段に向上している。ちなみにシチズンはマルチブランド戦略の一環として同時期にアーノルド&サン、アンジェラス、フレデリック・コンスタント、アルピナなどの時計ブランドも傘下に収めている。


さて、それではCal.0200の仕様を見ていこう。基本的な構造はスモールセコンド、片方向自動巻きで、緩急針のないフリースプラングを採用、もちろんヒゲゼンマイも自社製造だ。仕様としてはかなりクラシカルで調整の難しい設計だが、シチズンでは6方向の姿勢、3段階の温度で17日間に及ぶ、クロノメーター基準を超える自社検査を行っており、精度に対するチェックは厳格で、実際に日差−3〜+5秒とクロノメーターを超える。機械としての美しさはCal.0910を遥かに凌駕する。ペルラージュ仕上げが入った地板はきれいに面取りされ、受けにも細かくヘアラインが入っている。輪列の装飾も従来のシチズン製ムーヴメントより洗練された印象を受ける。各パーツも肉厚なものが使われており、耐久性はおそらく大幅にアップしているはずだ。11年前のCal.0910を搭載したザ・シチズンが30万円程度だったのと比較すると、今回のザ・シチズンは価格帯もほぼ倍にアップしているが、搭載されたムーヴメントの品質を比較すればその価格差も理解できる。このクオリティのムーヴメントを作れるのは、堂々たるマニュファクチュールの証しである。もちろんこの仕上げの美しさを楽しめるように、裏ブタはシースルーバック仕様だ。

■Ref.NC0200-90E。SS(40mm径)。5気圧防水。自動巻き(Cal.0200)。60万5000円(8月発売予定/特定店取扱モデル)

外装も中身に見合う質の高さを備えている。ラグなしのケースはかなりスポーティブかつ現代的な雰囲気で、フィット感の良いフラットなブレスレットの感触も相まって着け心地も上々だ。厚みは10.9mmと国産機械式時計としてはかなり抑えられている。ブラック文字盤は電鋳加工による砂地模様だが、これが微細な光を乱反射させてパールっぽい輝きを放つのも楽しい。ちなみにブルー文字盤は濃紺の深みを生かしたサンレイパターンを採用している。いずれにしても大人っぽい落ち着きを感じさせるハイクオリティなものだ。

Variation
■Ref.NC0200-81L。SS(40mm径)。5気圧防水。自動巻き(Cal.0200)。60万5000円(8月発売予定/特定店取扱モデル)

60万円を超える価格はいままでのシチズンの製品ラインナップを考えるとかなり思い切った感があるが、その製品クオリティを考えると決して高くはないだろう。とにかくCal.0200という高品位なムーヴメントを得たことはシチズンにとっても大きな意義があり、今後このムーヴメントを発展させてさらなる高級機に組み込んでいくことも眼中に入ってくるし、シチズンとしてもおそらくそうした製品展開を見込んでいるはずだ。そういう意味でも、このモデルが持っている意味は非常に大きいと思う。

 

構成◎堀内大輔(編集部)/文◎巽 英俊/写真◎編集部

【問い合わせ先】
シチズンお客様時計相談室 TEL.0120-78-4807
https://citizen.jp

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