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【名門時計ブランドの地力に驚嘆】オープンワークの秀逸さが光るヴァシュロン・コンスタンタンのトラディショナルを実機レビュー

 創業266年を超える伝統を有し、世界3大時計ブランドの一角に数えられる一方で、現代的な遊び心も感じさせる製品作りで時計ファンに強く支持されているヴァシュロン・コンスタンタン。特に旅のスピリットを表現しているオーヴァーシーズが2020年頃から急激に人気を上げているが、もともとプロダクトの質が高いことは時計愛好家の間では広く認知されている。そんな同ブランドのウオッチメイキングのなかでも、複雑なカレンダー機構とムーヴメントの動きを見せるオープンフェイスのふたつはとりわけ得意とするジャンルであり、今回紹介するトラディショナル・コンプリートカレンダー・オープンフェイスは、その2大ポイントをフィーチャーした非常にヴァシュロン・コンスタンタンらしいモダンなモデルだ。

トラディショナル・コンプリートカレンダー・オープンフェイス
■Ref.4020T/000R-B654。K18PG(41mmサイズ/10.7mm厚)。3気圧防水。自動巻き(Cal.2460 QCL/2)。563万2000円

 まず全体的なスタイリングから見ていこう。ケースサイズは41mmとまずまず標準的で使いやすい大きさ。ピンクゴールドのケースはオーソドックスなラウンドで、ラグのフォルムなど非常にシンプルだが、全体的なバランスがよく計算されているため美しい。厚みは10.7mmと複雑機構を搭載した時計としては薄く仕上げられており、そのためかドレッシーで、装着しても金無垢独特の重々しさは感じさせない。高度に計算された着け心地の良さはやはりヴァシュロン・コンスタンタンらしいポイントだ。

 オープンフェイスが特徴であり、文字盤からはムーヴメントがむき出しの状態で鑑賞できる。しかし、この種のオープンフェイス時計の多くは、“機械を魅せる”というギミックに注力するあまり、文字盤の視認性が良くないこともある。時計の基本的機能である時刻が読み取れず、実用性が著しく低いのでは本末転倒だ。だが、このモデルは、しっかり時刻が読み取れるように随所に工夫が凝らされ、デザインされている。太めのドーフィン針とインデックスはブラックベースのダイアルの上でよく映えるし、全体に立体感があるため、一見情報量は多く見えるが、機能的で見やすい。外周部のレイルウェイトラックとデイト表示も、クラシカルなデザインで見やすい。こうしたデザインの時計でも実用性を損なわないように配慮されている点は流石である。


 さらにもうひとつの特徴であるコンプリートカレンダーにも技が光る。コンプリートカレンダーとはいわゆるフルカレンダーと同義で、日付け・曜日・月の表示に加え、ムーンフェイズ表示も装備している。アニュアルカレンダーやパーペチュアルカレンダーとは異なり、月の大・小を判別することはできないため、月末にはデイト表示の操作が必要だ。ただ、このモデルの特徴的なところは、曜日と月の表示ディスクに極薄のサファイヤクリスタルを採用した点にある。オープンフェイスの見栄えを最大限生かすためだが、ここまで薄くガラスをスライスして文字を印字するのは相当な加工技術が必要だろう。ガラス加工に長けたヴァシュロン・コンスタンタンならではだ。ちなみにブランドロゴも、ダイアル盤面ではなく風防ガラス上に印字されている。


 搭載されているムーヴメントは、完全自社製造のCal.2460QCL/2。同社のコンプリートカレンダーモデルに使われているムーヴメントで、122年間調整不要というムーンフェイズの精度は高く評価されている。8振動で安定した精度を生み出すが、やはりオープンフェイスということで仕上げの美しさにも注目したい。地板と受けに美しい表面コーティングのNAC処理を施して、アンスラサイトグレーの深みあるカラーリングに仕上げている。地板のヘアライン加工も美しいし、ケースバックの肉抜きした上にメゾンを象徴するマルタ十字をあしらったローターもかっこいい。

 フルゴールドのケース、コンプリートカレンダーという機能性、デザイン性の高さ、さらにヴァシュロン・コンスタンタンというブランドの価値まで合わせて考えると、500万円台という価格はむしろ納得である。丁寧に作られたプロダクトだということはディテールから十分伝わってくるし、いわゆる“あがりの時計”にふさわしい風格が十分に備わっている。出荷数を考慮すればプレミア化する可能性も高いので、興味をもたれたのなら早めにチェックしてみてほしい。

【問い合わせ先】
ヴァシュロン・コンスタンタン TEL:0120-63-1755
https://www.vacheron-constantin.com/jp/ja/home.html

 

構成◎堀内大輔(編集部)/文◎巽 英俊/写真◎笠井 修

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