小スライド 意外と知らない時計知識

【Q112】金無垢時計の裏ブタ、ケースなどに刻印されている数字・デザインにはどんな意味がある?

A.ホールマークと呼ばれる、金の含有率とどこで製造されたかを示した刻印

 ゴールドやプラチナといった貴金属を時計の素材として用いる場合、そのままの状態だと非常に柔らかく加工に適していないため、銅や銀、パラジウムなどを混合させて色味や硬度などを変えて使用される。
 時計を含むこれらの金属製品には品位試験(製品に含まれる貴金属の純度の割合を調べること)が行われ、この試験に合格した製品には“ホールマーク”と呼ばれる刻印が施される。
 ホールマークとは1300年代、ロンドンのゴールドスミス社が金銀の偽造を防ぐために貴金属を検定し、認定した貴金属製品に刻印したことに始まる。
 刻印があることで製品の信用を保持したということである。

 ホールマークは一般的に複数個のマークで構成されている。例えばスイスメイドの時計であれば、天秤マークに純度を示す数字が打刻されており、さらに年代によって犬のセントバーナードや女神が数字の近くに施されている。
 このマークをもとに時計がいつ、どこで作られ、どんな品質のものかがわかるようになっているのだ。

とても小さい刻印のため画質がやや荒いが、写真は上下ともに天秤マークに750の数字、そして犬のセントバーナードが刻印されたもの

 なお冒頭で述べた金属の比率は、1000分率で品位(純度)を表している。
 例えば、金に750という数字があれば金の品位が75%であることを意味し、プラチナに950Ptという数字があれば、プラチナの品位が95%であることを意味する。

ゴールドの場合
・1000...24金(金100%)
・835...20金(金83.5%)
・750...18金(金75%)
・585...14金(金58.5%)

プラチナの場合
・Pt1000/Pt...プラチナ100%
・Pt950/Pt...プラチナ95%
・Pt900/Pt...プラチナ90%
・Pt850/Pt...プラチナ85%

 

<参考文献>
・独立行政法人造幣局 公式サイト>造幣事業を知る>試験検定事業>貴金属製品の品位証明 - https://www.mint.go.jp/operations/exam/operations_certification-01.html

 

文◎松本由紀(編集部)

 

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