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【ロレックスよりも今注目はカルティエ!?】旧型モデルの需要が上昇、その人気の背景にあるものとは?|菊地吉正の時計考_005

「あくまでも私の感覚的な見解ですが、2022年あたりから人気が一段階上がった印象です。SNSでの露出だけでなく雑誌でのカルティエ特集記事や、有名人着用による露出の多さも大きな要因かと感じます。特に2022年にBTSメンバーのV(テテ)が愛用するタンク ルイ カルティエが報じられたことも市場に与えるインパクトは大きかったと言えるでしょう。この時期、BTSファンはこぞってこのモデルを探していましたから」

写真はマストタンク。なかでも「タンク ルイ カルティエ」に似ているこのローマンインデックスのデザインが最も人気が高い(写真◎LowBEAT編集部)

 

それにもかかわらず旧型に人気が集まる背景について現行新品の価格が影響していると語る。

「ただ、新品のタンク ルイ カルティエLMサイズは現在200万ほどと高額となるため、30万円台から買える手ごろな旧型のマストタンクが注目されることになったのだと思います。そのためマストタンクの相場は上昇中で、特に大きめのLMとXLサイズでタンク ルイ カルティエと同じローマインデックスの文字盤にノンクラック(ひび割れなし)個体は非常に少なくなっており、年々まともなものは市場に出にくくなっている状況です。
 また、ここ1~2年は一般男性客も増加しており、大きめのLMとXLサイズは相場価格が特に高騰しています。男性アパレル店員なども購入しており、それに誘発された方も多く来店されます」

加えて石井氏は「古いモデルでありながら現在もブティックでメンテナンスできる」という点も人気となっているポイントだと語っていた。

マストタンクは、カルティエの普及版として1976年に開発され2004年まで製造された。文字盤に筆記体で「must de Carier(マスト ドゥ カルティエ)」と二段表記されているのでわかりやすい。アンティークのようなクラシックな味わいが人気のゴールドケースタイプは、価格を抑えるためにスターリングシルバーのケースを20ミクロンの18金イエローゴールドの被膜で覆う“ヴェルメイユ”と呼ばれる金属加工が施されている。そのため購入の際はケースのコンディションとチックタックの石井氏が指摘するように文字盤のクラック(ひび割れ)に注意が必要だ。なおムーヴメントはクォーツと手巻きの2種類あるが実勢価格にはそれほど大きな差はない。

ロレックスのスポーツ系もいいが、たまにはこんな小振りで歴史を感じさせるクラシックなデザインのカルティエ・タンクにちょっと目を向けてみてはいかがだろうか。ロレックスとは明らかに違う新たな時計の魅力が発見できるかもしれない。

【画像】マストタンクの他のデザインをチェック!

菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。
2019年から毎週日曜の朝「総編・菊地吉正のロレックス通信」をYahooニュースに連載中!

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